DV 被害を受けた女 性たちの支援場所であったステップハウスを、2019年3月末をもって閉じることになりました。
DVは今でこそ、女性に対する犯罪、暴力であると認知されています。
しかし1995年北京女性会議以前には、国内では夫婦喧嘩との認識でした。その後、配偶者暴力防止法などが制定、改正されていくなかで、被害者支援の法律や制度が整っていきました。DV加害者のもとから逃げる女性たちのための緊急避難先のシェルターもそのひとつです。ただ公的シェルターでは2週間程度しか滞在できず、心身の回復には不十分でした。大阪YWCAは、95年の震災ボランティア、こころのケア・ネットワークの活動を土台に、女性や子どもに対する対人援助者養成事業やDVについての学びを重ねていました。そして2005年、関係者の深い思いと祈りが結実して、緊急避難の次のステップを支える「ステップハウス」を開始しました。
14年間の活動の中で、のべ19人を受け入れ、新生活に巣立っていかれました。ささやかな活動ですが、ひとりひとりの傷ついた人に寄り添い、見守り、励まし、そのエンパワーを心こめて応援してきました。そのプロセスでは、支援者も人間の回復力(レジリエンス)の大きさに触れ、エンパワーされました。
しかし、近年の全国的状況は、DV相談件数は増加する一方で、支援施設への入所者が減少しています。複数の原因が考えられます。@被害者支援の制度が全般に整ってきたA一般住宅や公営住宅が条件面で入居しやすくなったB共同生活やスマホの使用に関するルールなどを嫌う傾向が高まった、などです。私たちのステップハウスもここ数年は、入居の件数も減少しておりました。関係者で、この2年間、協議を重ねて、ステップハウスの終結を決断いたしました。今後はこのセーフスペースの活用方法を検討していきますと同時に、女性全般、とりわけ若いうちからのエンパワー活動に重点をおくために、新規チームを立ち上げました。
ステップハウスの活動に、多くの方から、長らくのご支援ご協力をいただき、本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。現地でかつての入居者の方々と共に最後のお別れ会もしました。次なる新たな活動にもぜひ関心を寄せて頂きますようお願いします。
(ステップハウス スーパーバイザー 金 香百合)
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