2015年7月のある土曜日、子どもたちが昼寝をしている間に、Facebookで「安保関連法案に反対するママの会」を立ち上げました。安倍首相や大臣たちが、答弁とも言えないような答弁を繰り広げ、強行採決ありきの国会が開かれていることに、わたしは我慢ができなかったのです。いま声を上げなければ、取り返しのつかないことになると思いました。70年前の戦争では、あれだけの焼け野原になるまで、人々は戦争をやめることができませんでした。そして、そういうことを二度と繰り返さないために「憲法」を作りました。こうした人々の歩みを、政治家たちが土足で踏みにじろうとしているときに、ただ眺めているわけにはいきませんでした。
わたしには現在、3歳、6歳、9歳の子どもがいます。子どもというのは、ほんとうに不思議な存在です。それぞれ、数年前には「いなかった」人たちなのです。産んだのは自分なのですが、それにしても、この子たちはどこから来たんだろうと思うことがあります。毎日の育児は目が回る大変さですが、やっぱり「ママだいすき!」と言ってもらえる瞬間は幸せです。いま世界には、そんな日常を、爆撃で引き裂かれている親子がいます。内戦が終わらないシリアでは、石畳が美しかった街並みも、廃墟となってしまいました。子どもたちは、どこへ行ったのでしょう?どうしてそんなところにたくさんの武器が流れ込んでいるのでしょう?いったい誰がそんな兵器を作ったのでしょう?
これは「世界の向こう側」のお話ではありません。わたしたちが納めた税金が何に使われるのか、わたしたちの日々の仕事が何を作り出すのかという、まさに「足元」の問題です。安保関連法の成立と同時に、防衛装備庁というものができました。ロゴマークは、戦闘機や戦車が地球をぐるっと取り囲んでいる図です。わたしは、MADE IN JAPANの技術を、どこかの誰かの命を奪うことに使ってほしくありません。そんなことで儲かっても、ちっとも豊かではありません。
ママの会では「だれの子どももころさせない」を合言葉に、全国のママで手を取り合おうと呼びかけています。この合言葉が絵本になりましたので、ぜひ手にとってみてください(『だれのこどももころさせない』かもがわ出版より4月刊行、1600円)
西郷南海子(さいごうみなこ)(安保関連法に反対するママの会・発起人)
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