これまで大阪YWCAで行ってきた「夫や恋人との関係を考える講座(通称くれよん)」のフォローアップ・グループである“くれよん月例会”を今年度からリニューアルし、くれよんの元受講生以外の女性も自由に参加できるようにしました。
講座では年間テーマを1つ決めてカウンセラーがミニ講義を行います。そして安心できる空間で、参加者同士が気軽なおしゃべりを通して自己を見つめ、元気になるようお手伝いをしています。
今年度は女性の生涯における心理的発達をテーマとしています。発達心理学者であり、精神分析家のエリクソンの発達理論に基づき1回に1つの発達段階を取り扱うという形で女性の心理的発達を追い、4月から乳児期、幼児期、児童期、青年期、成人期の発達まで取り扱ってきました。女性は、生まれてから死ぬまでの間、年代ごとにさまざまな心理的課題を達成して人格的成長を遂げていきます。しかし従来の発達理論は男性を想定してつくられたものばかりで、女性の特性はほとんど考慮されていません。昔は女性が独立した人格をもつ存在とは認識されず、男性に従属し、主体性をもたないのが当然とされていたことが影響しています。残念ながら現在においても女性の発達理論は確立されているとは言えません。そこでこの講座では、様々な研究者が指摘している内容を統合して講義をしております。
講座参加者からは、人生を振り返るいい機会になる、当時は否定的に考えていたことが実は意味のある経験であったことを確認できて良かった、子どもとの関わり方を考える上でとても参考になるなど、好評をいただいております。
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現代において、定年退職まで働き続ける生き方を典型とする男性に比べると、女性の生き方は多様です。学歴やキャリア、結婚や出産など、さまざまライフイベントについて自分はどうすべるきかという選択に迫られることになります。その意味で、女性はどのような生き方を選択するにせよ、本当にこの選択で正しかったのかと悩むことも多いのではないでしょうか。女性が独立した人格をもって生きることが肯定される時代になってまだ日が浅く、女性たちが自身の生き方を模索する日々は今後も続くことが予想されます。最近、初の女性東京都知事が誕生し、女性がリーダーシップをもつことが実現しやすい社会にもなってきております。まだ参加されていない方も、この講座に参加して自分自身の生き方を見つめなおしてみませんか?
<講座参加者より>
この講座に参加して感じることは、己を見つめることで、他者や社会が見えてきたことです。そして、自分自身の思い込みやジェンダーが少しずつ剥がれていく様に感じます。この講座を受け、私は私らしく咲こうとしています、女性が生きにくい社会だからこそ、しっかり自己理解を深め、他者、社会を見つめて生きていきたいと思います。
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