大阪YWCAは、女性のエンパワメント、子育て支援、またNGO/NPOリーダーの育成、国際交流等の社会貢献活動をしています。

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大阪YWCA機関紙(2016年7月号) アーカイブ一覧へ
大阪YWCAでは機関紙を年8回発行しています。
抜粋して内容をご紹介します。
報道の自由 重要性とその危機
参院選だ!選挙に行こう!
でも、国政選挙のしくみってどうなってるの?
加盟YWCA中央委員会報告
全国の仲間で支え合える温かさと心強さ
YWの窓 「18歳選挙権」を考える

報道の自由 重要性とその危機

 私たちは、テレビ、新聞、雑誌、インターネット等によって、娯楽や生活情報、さらには政治、経済、社会で起こった出来事など様々な情報を得て生活しています。たとえば、4月に熊本地震がありました。49名の犠牲者と一人の行方不明者、今も続く避難所暮らしなど深刻な被災者の状況が連日報道されています。これらの報道を見て、ボランティアに行くことや募金しようと考えた人もいるでしょう。
 このように、私たちは、マスコミの報道を受けて情報を知り、これをきっかけに、自分の力を発揮し、考え方を深めていきます。それゆえ、マスコミがどんなことを、どんなふうに報道するか、あるいは報道しないかは、とくに重要な問題です。日本国憲法は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と言っています。
 報道の自由にとってとりわけ重要なのは、「権力を批判する自由」があるかどうかです。政府を批判することで圧迫を受け、処罰されるなど不利益を受けることがあれば、報道を萎縮させ、政府にとって不都合な情報がスルーされることも起こり得ます。
 しかし、今の日本では、報道の自由が十分守られていると言える状況ではありません。国境なき記者団が毎年発表する報道の自由度ランキングによれば、日本は2010年に11位でしたが、2016年には72位になってしまいました。国会では、高市総務大臣が「政治的公平性を欠く放送を繰り返した場合、電波停止もありうる」「(電波停止するかどうかは)その時の大臣が判断する」と答弁し、マスメディアに対し、その権力行使をちらつかせました。また、2014年には特定秘密の保護に関する法が施行され、外交・防衛等に関する重要な情報が国民に知られないようすることが可能となってしまいました。
 民主主義社会は報道の自由があってこそ成り立つものです。政府の暴走を止めるには、私たちの厳しい目が必要です。来る参議院選挙では、報道の自由が守られているか、政府が不都合な事実を隠し、国民の知る権利を侵していないかという観点からも、政党や政治家をチェックする必要があります。

田崎 俊彦 (弁護士)

参院選だ!選挙に行こう! でも、国政選挙のしくみってどうなってるの?

 まもなく3年に一度の参議院議員選挙が行われます。院議員選挙が行われます。今回の選挙から選挙権年齢が20歳以上から18歳以上になり、若者向けの選挙キャンペーンや解説をメディアでよく見かけるようになりました。これまで投票に行ったことがある人もない人も、これを機会に選挙のしくみと意味について見直してみませんか。


参院選は衆院選とどう違うの?

  参議院議員の任期は6年ですが、3年に一度定員の半数ずつ選挙が行われます。参議院と衆議院の選挙が重なって国会議員が誰もいなくなるのを防ぐためです。そのため参議院は任期が3年ずつずれた2つのグループに分かれています。一方、衆院選では毎回全員を選挙で選びなおします。それで衆院選は「総選挙」、3年ごとに必ず行われる参院選は「通常選挙」と呼ばれているのです。
 参院選は都道府県ごとに(鳥取県と島根県、徳島県と高知県は合区)2?12人を選出する「選挙区選挙」と全国を1つの選挙区として政党が集めた票の数によって議席を分け合う「比例代表選挙」が行われます。比例代表選挙は得票数と議席獲得率がほぼ一致し、死票(落選者に投票された票)がなくなるのに対し、衆議院で行われている1つの選挙区から1人を選出する「小選挙区」では死票が多く、大政党に有利になります。2014年末の総選挙では52.7%という戦後最低の投票率と48%の得票率で自民党は76%の議席を占有できるという小選挙区マジックがおきました。

参議院の存在価値は?

  前回2013年の参院選は自民党が大勝しました。自民党は政権の連立を組んでいる公明党と合わせると全議席の過半数を占め、衆議院と参議院で多数派が異なる「ねじれ国会」の状態が3年ぶりに解消されました。決められない政治の元凶のように言われていたねじれ国会ですが、解消されたことによって安保関連法が昨年の国会で成立しました。一度立ち止まって考え、慎重に審議を進めるために国会は二院制を採用しているのです。
   最近では「良識の府」としての役割を果たしていない、衆議院のコピーと化した参議院に対して不要論も出ています。しかし参院選は政権への中間テスト評価としての側面を持っており、国民の意見を政権へ直接突きつける唯一のチャンスです。

今回の選挙での一票はどう決める?

   年金や医療、子育てなどの社会保障、日本の安全保障、経済政策などそれぞれに一番の関心は異なりますが、「安倍政権への通知表」としての側面を忘れないことです。「アベノミクス」「一億総活躍」「改憲」「安保法制」「消費税引き上げ延期」など、よく耳にした言葉の中身をじっくり検証することが大切です。
 パソコンやスマホからでも政党や候補者の考えや選挙の情報を得ることができます。せっかくの一票を「誰に投票していいかわからない」「どうせ誰に投票しても同じでしょ」と言う前に、自分や大切な人の未来を託すのだ、という自覚を持って、選挙へ行こう! 


(文責 編集部)

加盟YWCA中央委員会報告 全国の仲間で支え合える温かさと心強さ

  全国24地域YWCA代表が一堂に会する加盟YWCA中央委員会が開催された。先立つ20日(金)には地域YWCA会長会があり、各会長は自分たちの強みをアピール。各地域主体の活動と地域間の連携の可能性を話し合った。
  委員会では、2015年度事業・決算報告、2016年度事業計画・予算承認などに加えて、今回は第31総会期最終年にあたり、11月開催予定の全国会員総会に向けて次総会期へ提案する事項が議論された。
  決議された提案事項は4点。@日本YWCAへの加盟条件の見直し(会員20名以上→10名以上)、A一総会期4年間の内1回を「拡大加盟YWCA中央委員会(仮称)」とする、B次総会期の「主題聖句」を「平和を実現する人々は幸いであるーマタイによる福音書5章9節」とする、C次総会期ミッションを「イエス・キリストに学び、共に生きる世界を実現する。 世界の人々と共に人権・平和・環境の問題に取り組む」とする、以上。
 次総会期ビジョン案については、動議が出されるなど白熱した議論がなされたが決議に至らず、運営委員会へ持ち帰り継続検討となった。
  最終日には武井由起子弁護士(明日の自由を守る若手弁護士の会・通称「あすわか」所属)を講師に、「日曜憲法カフェ」を開催。若くて活力溢れる言葉の数々に大いにエンパワーされ、権力者である為政者を縛る憲法を守ることの大切さを再確認した。
  全国の仲間と共に各地域で色々な活動をしていることを肌で感じる中央委員会。今回は、4月14日・16日に起きた大地震により、まだまだ困難の中におられる熊本YWCA会長が震災直後から現在までの状況を報告。「全国に仲間がいる、それが今回とても嬉しかった」と述べた。何か不穏なこのご時世、普段の活動だけでなく、事が起きた時にも、全国の仲間で支え合える温かさと心強さを感じた3日間になった。

(副会長 津戸 真弓)

YWの窓 「18歳選挙権」を考える

   参議院選挙が7月におこなわれる。この参議院選挙から18歳以上の男女が有権者となる。選挙権の年齢引き下げの発端は、2007年に成立した「国民投票法」で憲法改正の是非を問う国民投票を「原則18歳以上」と定めたことだ。
 世界的に見ても18歳以上の選挙権の国が9割と一般的であり、高齢化社会を突き進む日本の施策は、年金・介護問題等に重点がおかれているが、若い世代が積極的に政治にかかわれば、教育・子育てといった施策ももっと充実してくると期待が持てる。
 現在の高校3年生は、誕生日の関係で選挙権の有る無しが分かれるが、初めてのことで個々の意識も分かれている。「政治はわからないのでいかない。人気投票になるような気がするから」という子もいれば、「必ずいく。政治のことがわからなければ勉強すればいい」という子もいる。
 この「18歳選挙権」になったことから、文部科学省では、高校の新科目「公共」(仮)も検討し、今年度から高校生には『私たちが拓く日本の未来』(総務省・文部科学省)という副読本が配付された。今後のディベートや模擬選挙などの取組みが政治参加へのカギとなるだろう。
 「18歳選挙権」になったことで、高校生を含めた若い世代の人たちが、「自分が社会の一員」であることを自覚し、政治に関心を持ち、未来の担い手になってくれることを期待する。

(会員 大畑 知子)
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