進む法整備
2005年に発達障害者支援法が施行され、2007年には特別支援教育が始まりました。それ以降、わが国における支援教育は進化し続けてきました。近年、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの推進の取り組みも始まっています。また、今年は障害者差別解消法が4月より施行され、発達障害者支援法も改正されます。今後、合理的配慮のもとで障がい児・障がい者にとって生きやすい環境が整っていくと思われます。
教育現場の課題
しかし、教育現場においては、これらの体制の流れについていけていないのが現状です。毎日、夜遅くまで、生徒指導や教材研究、事務作業、保護者対応に追われ、十分な研修や取組みがなされていません。限られた時間の中で、生徒一人一人の特性を把握しニーズに応じた教育を行っていくのは並大抵のことではありません。全教職員の共通理解、保護者連携のもと、早急の対策をとることが喫緊の課題です。
障がいを持つものにとって、学校卒業後の就労への道は非常に困難です。自立して社会参加し充実した生活を送らなければなりません。学校と社会とは全く違います。成績よりも生活力、体力や就労意欲、助けを求める行動力、報告・連絡・相談、断る力、余暇の過ごし方を身に付けていることが大前提です。これらのスキルは学校生活の中で成功や失敗を重ねながら身に付けるしか方法はありません。そして、支援者、当事者が福祉と連携して、社会資源を利用しながら地域で自分自身の力で生活してかなければなりません。
見守りながら楽しんで
それでは、私たちは、どのように支援に関わればいいのでしょうか。私は「見守りながら楽しんで支援する」ことだと思います。過剰な支援や自己満足支援になってはなりません。彼らの力をできるだけ生かして、例えばパソコンやタブレット、ゲームを使用するなど、楽しんで課題に取り組める方法を独自の感性で考え実践することです。そして、粘り強く特性を説明し、理解者の輪をつくって下さい。
彼らは、ゆっくりでも日々成長しています。失敗は多いかもしれません。でも、真面目で一生懸命です。支援者の個性溢れるユニークな方法があれば、無理なく困難を乗り越えて行けると信じています。
上好 功 (近畿情報高等専修学校)
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