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芹野与幸さん(株式会社一粒社ヴォーリズ建築事務所史料・広報室長)からの応援メッセージ |
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2015年秋から2016年春までNHK朝の連続ドラマで放送された「あさが来た」のヒロインが大阪YWCAの設立委員長でもあった「廣岡浅子」の生涯を下敷きにしたものであった。そして、このことは創立100周年に向かえようとしている大阪YWCAにとっては大きな事件であったようだ。
ドラマでは主人公の廣岡浅子がYWCAの設立に関与した部分までは取り上げられなかったが、大阪YWCAとしては「存在をアピールするこの絶好の機会を逃すまじ!」と大張り切りだった。
かつての大阪YWCAの建物が建築家としても知られているW.M.ヴォーリズ率いるヴォーリズ建築事務所の設計であったこと、ヒロインである廣岡浅子とヴォーリズ夫妻が深い関係があったことから、話しはいきなり「ヴォーリズ講座」へと発展した。放送メディアの影響力がいかに絶大かを思い知らされたものである。3回の連続講座には新聞公告の効果もあって、多くの方々が大阪YWCAに足を運ばれた。極めつけは作家の玉岡かおるさんを交えてのトーク・セッション、そしておまけとして「ヴォーリズ建築をめぐるバス・ツアー」にまで発展した。講座では廣岡浅子がヴォーリズと繋がるのは建築だけでなく、廣岡家の跡目をつぐために迎えた婿養子の実妹(一柳満喜子)がヴォーリズの妻となったこと。身分の違いや当時の社会の慣習のゆえに阻まれた彼らの結婚を支援したというドラマチックなエピソードを講座に集まった聴衆の方々にお伝えした。
今日では女性の社会進出、社会貢献は当然の風潮となってきつつあるが、かつて廣岡浅子が世の女性たちの先頭に立って旗を振り、声高に叫んでも男性中心の社会構造や慣習を突き崩すことの困難さは多大であったに違いない。あの朝のドラマを通じて多くの女性たちだけでなく世の男性たちの中にも元気をもらったかもしれないが、歴史の中でややもすれば封印されがちな歴史上の弱い立場で生きるしかなかった多くの女性たちがいたことを忘れてはならないと思わされた。そして、YWCAは100年前にこの女性たちの後押しをするために誕生したのだということにもう一度目を向け、新たな一歩を踏み出すことに改めてエールを贈りたい。 (2016年8月)
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プロフィール |
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芹野与幸(せりの ともゆき) |
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株式会社一粒社ヴォーリズ建築事務所 史料・広報室長。公益財団法人 近江兄弟社 嘱託研究員。
1951年(昭和26年)東京生まれ、1974年桜美林大学文学部英米文学科卒、1989年より現在のヴォーリズ建築事務所経営管理に参加、現在に至る。今回のNHK朝ドラ「あさが来た」のモデル広岡浅子の本『浅子と旅する。』(いのちのことば社フォレストブックス)の書籍出版にも協力し、紹介されている。
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