2014年7月8日から8月26日の、パレスチナ・ガザ地区へのイスラエルからの軍事攻撃は記憶に新しい。2006年にガザ封鎖への動きが活発化してから、2008〜9年、2012年、そして今回と、イスラエルによるガザへの大規模な武力攻撃は4回目となる。ガザの人々が苦難と屈辱に耐えて行ってきた復興、また繰り返される戦争に、人々の平和な生活は埋没し、ガザの人の言葉を借りていえば、「ガザはすっかり年老いてしまったように見える」状況である。今回のイスラエルからの攻撃で殺されたパレスチナ人は2133人、破壊された家は1万8千戸、怪我をした人は1万人を超え(2014年9月国連情報)、現地では雨季でもある冬を迎え、避難所や半壊の家で暮らす11万人の避難民にも疲労感が蔓延する。
10月12日、90以上の国の代表が集まって、ようやくガザ復興支援のためのカイロ会合が行われた。復興の第一歩として重要な会合で、ガザの人にとっては必要不可欠な会合である。しかし、7千億円とも言われる膨大な復興費用の拠出の目途は未だ4割に満たず、ガザの封鎖解除の問題も、またイスラエルの戦争犯罪の究明についても今のところ進展がなく、いつ再発するかもわからない無差別の殺戮に、人々の恐怖と絶望はぬぐえない。
ガザに世界の目が集まる一方、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムでは、入植地の拡大が進んでいる。エルサレムのシンボル、アル・アクサ・モスクへのパレスチナ人の出入りも厳しく制限され、両者の衝突も絶えない。2014年だけでも、10月末までに西岸と東エルサレムで殺されたパレスチナ人は44人、怪我人は4300人以上にもなる。ガザが騒がしい間に西岸とエルサレムを奪い取る。これがイスラエル側の真の目的だと感じる事がしばしばある。93年のオスロ合意以降、こうして接収・破壊されたパレスチナ人家屋は実に1万5千戸、建設された入植家屋は4万5千戸になる。イスラエルによるパレスチナの占領は、確実に、悪化の一途をたどっている。20世紀以降、国連を中心として作り上げられた人権を保障する枠組みは、ここでは意味がないように見える。「Stay Human(人間で有り続けよう)」、ガザで殺された活動家、ヴィットリオ・アルゴーニ氏の言葉が胸に刺さる。
(JVC(日本国際ボランティアセンター)パレスチナ・ガザ事業担当 金子由佳 )
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