大阪YWCAは、女性のエンパワメント、子育て支援、またNGO/NPOリーダーの育成、国際交流等の社会貢献活動をしています。

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大阪YWCA機関紙(2014年7月号) アーカイブ一覧へ
大阪YWCAでは機関紙を年8回発行しています。
抜粋して内容をご紹介します。
積極的平和主義と嘘
「むらさきつゆくさ」20周年 〜手で見るいけばな〜
全国の仲間と決意を新たに 加盟YWCA中央委員会報告
YWの窓「ジェンダー女子会・夜の部はじまりました」
日本語学科 全日制コース
ニューヨークの女性たちと交流

積極的平和主義と嘘

言葉のすりかえ
 最近盛んに安倍首相は「積極的平和主義」と口にする。それは肯定的な意味合いのように語られる。憲法を学習したものなら、この言葉は憲法前文の精神をいかんなく発揮して、武力によらない平和に熱心に取り組むことを意味するものだと知っている。しかし、安倍首相はまったく違う意味でこの言葉を使っている。狙いは解釈で同盟国(米国)への武力援助ができるようにする、集団的自衛権の行使容認である。このように言葉の意味をすり替えてあたかもいいことかのように国民をだますのは卑劣である。
誰を守るのか
 安倍首相は、国民ではなく米国を守るために自衛隊員が血を流す事態を考えているのだ。
 昨年末に成立し、今年の末に施行予定の秘密保全法。日米が共同軍事行動をするためには米国と同程度の秘密保護基準を要求される。米国は、現在150を超える国々に軍隊を派遣していて、その多くの国と秘密保護の協定を結んでいる。日本も2007年米国に対し、秘密保全の法制化を約束した(GSOMIA=軍事情報包括保護協定)。安倍首相はブッシュとの約束を果たしたのである。
誰のための秘密か
 ウィキリークスが米国の内部資料を暴露したが、例えば、日本と米国が共同開発した海上発射ミサイル、これを東ヨーロッパに売り込む計画がある。日本の武器輸出三原則(最近安倍首相が撤回した)が障害になるからと修正を求めると、前もって政府間で秘密裏に交渉をしている。これが秘密なのだ。誰のための秘密なのか明白ではないか。
 日本が参考にした米国のNSA(国家安全保障局)。ここの職員であったE・スノーデンが昨年の6月、米国が世界中の電子通信をスパイしていたことをリークした。同月7日の『ワシントンポスト』は「米英の情報機関は米国の9つのインターネット企業から秘密裏に広範囲な情報を抜き取っている」と報道している。米国のNSAには世界何十億の人々の情報が筒抜けなのである。諜報の結果は米国の秘密外交のカードとなる。参考にした先輩がこの状態である。日本での秘密法は、当然このような違法行為も含め核の持ち込み合意などを「秘密」として国民から遠ざけられることになる。
 日本は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した(憲法前文)」。武力によるのではない、人間の安全保障(貧困の撲滅・教育支援など)や共通の安全保障(核の削減・廃絶へのイニシアチブ)の分野で活躍をすることこそが、真の積極的平和主義なのだ。
(上山 勤 弁護士)

「むらさきつゆくさ」20周年 〜手で見るいけばな〜

20周年に寄せて

 視覚障がい者のためのいけばな講座「むらさきつゆくさの会」が今年で20周年を迎えることになった。
 最初は、流派の40周年を迎えるにあたり、未生流の流祖が中途失明してからも教えていたという逸話から、視覚障がい者の方の活動に対して寄付をするということから始まった。YWCAとの話の流れで、いけばなの講座ができるかということになり、運営方法、指導方法などさまざまな検討がなされ、現在までほぼ変わらぬ流れで月に一度この講座が行われるようになった。
 多くの方が疑問に思うのが、どのように教え、習っているか、ということのようで、どこにいってもよく聞かれる。受講生の皆さんは、私から注意点を聞きながら見本花を触り、それから自分の花をいけていく。私にとっては、見るが触るにかわるだけで普段の教室と大差ない光景だ。いけ上げる間も、みんな和気あいあいと花を介して会話を楽しみながら講座は進んでいく。
 これまで、5年ごとに発表会も兼ねて記念イベントを開催してきた。10周年、15周年と、「手で見るいけばな」と題して、受講生の皆さんのいけばな作品の展示、いけばな体験、トークショー、朗読といった内容で行ってきている。中でもいけばな体験では、受講生が見えない人にも見える人にも教えるということと、見える人はアイマスクをして体験する、という趣向で行っていて、これがとても好評だ。花を「手で見る」体験は、見える見えないに関わらず新鮮な感覚を体験者にもたらしてくれる。そして私には先生となった受講生の皆さんの頼もしい姿がとてもまぶしく感じられる瞬間でもある。
 今回の20周年でも同様のイベントを行い、受講生、私たち教える側、ボランティア、そして運営に係わるすべての皆さんと共に、イベントを心より楽しんだ。
 5年後、10年後は分からないが、これまでも一月に一度を積み重ねてきたように、これからもその一度を大切に積み重ねていきたいと思う。

(未生流中山文甫会 中山 高昌)
花とふれあい 人と交わる

 「むらさきつゆくさの会」は大阪YWCAの活動の一環として、未生流中山文甫会のご支援を受け、1994年6月に誕生した視覚障がい者のためのいけばな講座です。花とのふれあい、人との交わりを大切に活動を続け、今年20年の節目を迎え、6月10日に集会をもちました。
 「手で見るいけばな」は「心の目でみるいけばな」です。手先に神経を集中し、花や茎、葉のやわらかさや形、香りを感じ、それを心に描く。考えてみれば、目が見える人でも「やわらかい花びらで」とか「とがった痛そうな葉っぱで」というように、触覚におきかえて植物を説明することがよくあります。そう考えると、目が見えないからいけばなができないというより、違う感性でいけばなを楽しむということが、それほど難しいことではないように思います。このことはこの日、アイマスクをしていけばな体験したみなさんも実感されたようです。受講生、ボランティア、指導される方々の明るい笑顔が印象的な一日でした。
 中山高昌先生と山野一甫先生の献身的なご指導をはじめ、送迎に付き添ってくださったガイドヘルパーや教材音訳ボランティアの皆様のご支援なくして20年の日を迎えることはできませんでした。改めて活動に関わってくださった全ての皆様に感謝申し上げます。

(会長 小澤 裕子)

全国の仲間と決意を新たに 加盟YWCA中央委員会報告

 5月24日(土)〜25日(日)東京代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで、今年も加盟YWCA中央委員会が開催された。年に一度、日本全国の地域YWCAの会長および総幹事、全国の職員代表である代表幹事、日本YWCA運営委員および職員が一堂に会する場、今年は50名弱の人々が集合した。
  2013年度の各種報告、2014年度計画・予算の協議が例年通り行われた他、全国運動の大切な課題として今総会期チームを設けて取り組みを進めている「ジェンダー」・「基地」・「核」・「憲法」4チームからの報告を聞いた後のグループディスカッションでは 、熱く活発に議論が繰り広げられた。発表の時間には溢れる想いが噴出したり、函館、京都、呉YWCAの工夫が凝らされた活動や人材助成の活用事例にヒントをもらったりした。オープンプログラムでは、弁護士・海渡雄一(かいどゆういち)さんによる講演「もうダメ?まだ間に合う! 女性がつくる『戦争しない国』―秘密保護法& 集団的自衛権」を聴き、まさに「まだ間に合う、諦めずに声を上げ続けよう」と決意を新たにしたり、ひと言アピールの時間には、アピールしたいことがあり過ぎて早口に熱弁したり…、全国の仲間との出会いと語らいに元気をもらった。
 東日本大震災から3年余りが過ぎてなお、苦しみから解放される見通しの立たない地にある福島YWCA、広大な土地を米軍基地に占拠され今もまた新たな基地建設と闘う地の沖縄YWCAの悲痛な訴えもあった。各地域に苦難を抱える仲間がたくさんいることを覚え、距離的には遠く離れた大阪の地にある私たちだが、心だけはいつも寄り添い、せめて元気を届けたいとも思った3日間だった。

(会員 津戸 真弓)

YWの窓「ジェンダー女子会・夜の部はじまりました」

 世界YWCAのホームページを読むと、ジェンダー(社会的・文化的に期待される性役割)の課題が度々取り上げられています。ツイッターで世界の人々が「少女たちを返せ」と声を上げるナイジェリアの少女誘拐は、根強く残る少女の強制結婚、教育機会の不平等、人身売買の問題を端的に表しています。日常の暮らしや幸せを奪う人権侵害に憤りを覚えます。
 ボランティアとしてDV被害者の支援に関わる中で、ジェンダーの格差がコントロール関係の中で悪用されていると知りました。ステップハウス委員会はDV防止の啓発活動として講演会や講座を昼間に行っていますが、今年度からジェンダー女子会をグループ活動とし、仕事帰りに参加できる夜に行います。1時間だけの会です。第1回は「ケンカ?DV?違いを知る、子どもへの影響を知る」というテーマで発題の後、はじめましての方もおなじみの方も短い時間をフルに使って意見を述べ、鋭い質問にタジタジになりましたが心地よい緊張感がありました。その後YWCA御用達の店へ移動し、さらに盛り上がりました。
 DV社会の問題です。暴力を生み出さない社会をつくる仲間の輪を広げていきたいと思います。毎月第1金曜が定例日。7月のテーマは「ジェンダーの意識って何だろう?」、8月は「DV防止法について〜DVD解説を見よう〜」です。年齢問わず参加歓迎です。

(会員 勝 美恵)

日本語学科 全日制コース

 日本語学科では、様々な国籍の学生が、先生方の熱心な指導のもと、日本語能力試験や日本留学試験に向け日々頑張っています。そんな彼らに、日本で生活したからこそ分かる自分の国の良いところ、また、日本の良いところについて聞いてみました。

Q.自分の国の良いところは?
中国:「国が大きいので、景色に変化があり、旅行するにはとても良いです。」
カナダ:「家も庭も広い。観光地では、ナイアガラの滝がとてもきれいです。」
韓国:「Wi-Fiの環境が日本よりも進んでいます。通信速度も速い!」
中国:「物価が安く、朝ご飯は100円以下で食べることができます。」
メキシコ:「人が明るいです。お祭りやパーティーが好きで、盛大にします。仕事より力を入れているかもしれません。」

Q.日本の良いところは?
韓国:「交通ルールやマナーが守られているところ。歩行者が優先でとても安全です。」
カナダ:「商店街や駅など、人の集まるところにアーケードがあり、雨に濡れないのでとても良いです。」
中国・韓国:「皆仕事に対してとても真面目。人が見ていなくても、自分に厳しく取り組んでいます。また、どんな仕事でも熱心にしています。」
台湾:「空気がきれいです。日本は車が少なく、自転車が多くて驚きました。」 

 学生達は、7月に日帰り旅行に行きます。その様子はホームページにアップしますので是非そちらもご覧下さい。      

(職員 藤田 実余子)

ニューヨークの女性たちと交流

 4月14日(月)夜、アメリカ合衆国・ニューヨークのウィメンエデュケーターズクラブの女性たち44名が大阪YWCAを来訪し、交流のときをもちました。彼女たちの多くは教育関係者で、関西旅行中のYWCA訪問。この旅行のコーディネーターが、昨秋たまたま大阪YWCAに立ち寄ったことが、今回の交流のきっかけでした。
 交流会では、東日本大震災の被災者支援を中心に大阪YWCAの活動紹介、世界的なYWCA運動の紹介、YWCA大宮保育園太田園長と職員によるお点前でお抹茶と和菓子のおもてなし。その後、グループに分かれての歓談を行いました。英語を楽しむ会員グループのブリッジズや英会話サロンのメンバーも加わり、和やかな会となりました。訪問団の1人から、1年半年前にアメリカ東海岸を襲ったハリケーン・サンディによる被災状況と行政の支援の問題についてアピールがありました。
 訪問団の中に、ニューヨークYWCAのメンバーだと自己紹介された方がいて、偶然の驚きと嬉しい出会いもありました。大阪YWCAの活動を広く世界に知ってもらえるよい機会となりました。

(会員 佐藤惠津子)
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