虐待を予防し、早期に対処するために大切なことは、保護者を、特に母親を孤立させないことです。まずはおかあさんがリラックスして、ハッピ―な状態にあること。女性のエンパワーが、子どものエンパワーを可能にするのです。
大阪YWCAでは長年、この考えのもとに子育て支援の講座などを実施してきました。2010年からは、女性エンパワメント部<当時>と社会福祉法人大阪YWCA大宮保育園との共催で、「地域における親子のDV&虐待の予防とケアへの総合的取組み事業」を実施。またシャロン千里子ども館では、「親子でイキイキ リレイションシップ」などに力を入れています。
今年10月6日には、大阪Yで、「虐待防止と早期発見〜子ども虐待予防とケアの支援者トレーニング・基礎コース」を開催。ステップハウス委員会と大阪YWCA大宮保育園の共催で、保育士、教員、民生児童委員、支援団体の専門家対象の一日集中研修でした。
前半は、講師の西澤哲さん(山梨県立大学教授・子ども虐待防止学会理事)による、児童虐待の現状等についての講演会。
後半のワークショプでは、@虐待予防や早期発見において保育園のもつ可能性と役割。虐待がもっとも起こりやすい乳幼児期で、送迎にくる親と毎日接点がある、親支援ができる場である、などを自覚して、A虐待への敏感さをもつ、気づいたら、園内でかならず相談、B虐待対応チームをつくる、C親支援(おかあさんへのハッピースタディーズなど)の実施D中学校区レベルでの幼保小中学校の連携の重要さ。
大阪YWCAの特徴をさらに生かして、多文化にルーツをもつ女性や子どもへの支援も含め、総合的な取り組み(ホリスティック・アプローチ)がますます必要とされています。これからも多様な関係者や機関と協力しながら、「幸せな子ども時代」のために力を合わせていきましょう。
最後に、女性エンパワメント部と大宮保育園が協力して作った冊子より、一部転載します。
『おかあさんが幸せで元気に生きていると、子どもは必ず、幸せで元気になります。それくらい、子どもは本当に、おかあさんが大好きなのです。
そして、「幸せな子ども時代」を生きた人は、おとなになっても、自分らしく、幸せに生きていくことができます。
あなたの子どもたちが、幸せな子ども時代を生きるためにも、まずは、おかあさんから幸せに元気になりましょう。
あなたはひとりぼっちではありません。私たちがいつも一緒にいます。』
(金 香百合 HEALホリスティック教育実践研究所所長
大阪YWCAステップハウス委員会顧問)
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