大阪YWCAは、女性のエンパワメント、子育て支援、またNGO/NPOリーダーの育成、国際交流等の社会貢献活動をしています。

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大阪YWCA機関紙(2013年11月号) アーカイブ一覧へ
大阪YWCAでは機関紙を年8回発行しています。
抜粋して内容をご紹介します。
原発再稼働と再生可能エネルギー
ジェンダー女子会 思春期の子ども
今こそ、知ってほしい−放射能の不安と生きる被災地−
YWの窓「憲法カフェ」
大阪府留学生ボランティア
大阪の教会(3) 日本基督教団大阪教会

原発再稼働と再生可能エネルギー

 福島の原発事故から2年半、日本は原発エネルギーへの依存について、大きな方針を決めかねている。一時期熱心に語られた再生可能エネルギーへの転換はどうなっているのか。国会や政府による事故報告書に先立ち、民間の事故調査委員会を率いて、現場の多くの証言をとりつけ、事故の真相を調べ公表した北澤宏一氏に、国際的視野で今後のエネルギー政策の可能性を寄稿していただいた。

 30年前のチェルノブイリ事故以来、欧州諸国は脱原発を目指しては挫折するという繰り返しでした。福島事故を機に、ドイツは「現世代の利便のために未来世代に負の遺産を遺すことはできない」として、数年以内の脱原発の意思を固め直しました。スイス、イタリア、ベルギーなどもこれに続きました。原子炉は冷却水を注入できないとどうしても暴走します。その意味で、どうしても残余リスクも残ります。
 「日本よりも国土の狭い経済先進国は脱原発する」。これは私の提唱した経験則です。国の存亡が懸るからです。その国の観光も終わりです。小さな国は「確率の問題」などと悠長なことを言っていられません。一方、中国とアメリカは、国土は広いのですが、ここ3年風力や太陽光発電導入に非常に熱心になり、世界最大の導入速度競争を繰り広げています。
 欧州ではすでに再生可能エネが原子力のシェアを抜いた国々が多くなりました。スペイン、スウェーデン、デンマークもそうです。EU政府は2008年トリプル20計画で2020年までに再生可能エネの全エネルギーに占める比率を20%に高めるよう域内諸国に指示しています。欧州諸国はこれまで値段の高い再生可能エネを買い支え、量産効果によってコスト低減の努力をしてきました。ちょうど福島事故の起きた2011年、最も高価だった太陽光発電も家庭が購入する電気代と競合できる設備価格に下がってきました。これが中国と米国の本格参入を招いた主要因です。
 にもかかわらず、日本がぐずぐずしている理由は何でしょう。それはさら にその後のことにまだ政府や産業界が自信を持てないからと思います。すなわち、原子力を置き換えるだけなら再生可能エネと省エネで十分やれる。問題はその後で、化石エネをほぼゼロにしていこうとするときに、原子力抜きで再生可能エネだけでやっていけるかどうか。原子力をいったん放棄してしまうともはや再開できないとする恐怖感を持っているからです。その意味では、欧州もまだ放棄に至っていません。
 私は、数年のうちにその先が見えてくると思います。再生可能エネの導入を日本でも素早く進め、欧州の状況と照らし合わせて、その次の計画の準備ができるでしょう。

(北澤 宏一 東京都市大学学長、前民間事故調(福島第一原発事故独立調査委員会)委員長、前科学技術振興機構理事長)

ジェンダー女子会 思春期の子ども

 昨年度までの女性エンパワメント部と統合して新たな歩みを始めたステップハウス委員会では、ステップハウス委員会では直接支援だけでなく、女性と子どもの人権にまつわる講座を行い、理解を深める啓発活動も行っていくことになりました。

 “ジェンダー女子会”と名付けてスタートした連続学習会では、ジェンダーの視点以外にも女性と子どもに関わる全般の課題を取り上げていきます。
 第2回目は橋詰知子さん(臨床心理士)を講師に迎え、「思春期の子ども」についてお話を聞きました。思春期の心理的特徴には不安、刺激に対する過敏性、自意識過剰、いらいら感ともやもや感があり、これらは健康な人間発達の上で必要なことであり、当たり前のことだというお話になるほどと思いました。
 特に印象深かったのは、学童期(6〜12歳)に、頑張ってやってみたらできたという達成感や報われた経験によって自信や他者に対しての信頼感が培われ、思春期(12〜18歳)に感じる孤独感に耐える力がつくというお話です。こうした経験は学業のほかに子ども同士の遊びを通して学んでいきますが、これが希薄だと思春期の危機を乗り越えていくことが困難になるそうです。
 はるか昔、学童期の私は鬼ごっこで膝小僧を擦りむき、ドッジボールは逃げ専門で運動神経のなさと格闘していました。練習することを覚えた思春期は球技大会のたびにメンバーと相談して頑張っていた記憶があります。ケータイもパソコンもない時代、親の目を気にしながら友だちと長電話をし、調べ物をするときは図書館へ通っていました。自分なりに心地よいと感じる人との接し方はこの頃に形成されたように思います。
 体験することが減った今の子どもたちはストレス耐性や人間関係力が弱いと言われていますが、頑張れというだけでは解決しない社会的な問題だというお話から、YWCAが提供する子どもプログラムの意義を考えました。
 次回は「高齢者から見たDV(仮)」を予定しています。高齢社会が抱える重要な課題の1つです。ぜひご参加ください。

(ステップハウス委員  勝 美恵)

今こそ、知ってほしい−放射能の不安と生きる被災地−

 日本基督教団大阪教区派遣医師として福島で定期的に健康相談を行っている山崎知行氏に同行した横内会員からの報告を紹介します。

 オリンピックが決まり多くの方が喜んでいる。でも被災地の今を知って欲しい。
 宮城県にある教会の幼稚園は毎日園庭の数カ所で放射線量を測定し、ブログに載せている。給食の食材にも気をつけていると園長は話される。父兄は「近くの山の線量が高いので風のある日は布団や洗濯物は外に干せない。」「子どもの被曝状況を知りたい、どうすればいいのか。」と問われる。
 会津放射能情報センターに集う方々から聞いた話では、学校では校庭の草引きや花壇の手入れをまだ放射能の不安がある中で低学年からさせているそうだ。子ども達は、外で遊ぶことが出来ず、生活経験が乏しい。花の名前、虫の名前を知らない。しかし、命を守るためには仕方ないのか。給食の食材に対する心配、甲状腺の検査、福島の子ども達への差別等々、被災地で苦しむ多くの方々がおられる。
 母親たちは、放射線量の高い中で生活しなければならない子ども達の将来を考え、悩み苦しむ。「子どもは結婚できますか?」と聞く人、日々の生活の中では公に口に出せないことが多く、センターに来て、どうすることも出来ない心の中の思いを話すと涙する人。様々な方がおられることを忘れてはいけない。憲法の基本的人権は誰のためにあるのかと問いたくなる。

(会員 横内 いづみ)

YWの窓「憲法カフェ」

 与党の圧勝が予想されていた参議院選挙の3日前、平和・環境部委員会は、気軽に憲法を語り合うために「憲法カフェ」を開きました。
 講師としてお招きした上山勤弁護士からは、「自民党草案」の問題点を話していただきました。憲法とは、国民を縛るものではありません。暴走しがちな権力者を国民が縛るためのものです。しかし、「自民党草案」では、「家族は互いに助け合わなければならない。」など、国民の生活にまで踏み込んでいます。また、多数決でも決して犯すことのできないはずの「基本的人権」は、国が定めた「公益」や「公の秩序」の範囲内でしか認められていません。そして、第二次世界大戦の教訓から「『戦争をするかしないか』の判断を国家の政策判断に任せない」とした平和的生存権は前文から削除されています。あらゆる戦争と武装平和を否定した9条を変え、国防軍を持つ、戦争の出来る国にしようとしているのです。
 選挙直後、麻生副総理は、「ドイツではある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。」と発言しました。権力者は、国民が憲法について知り、考え、議論をすることを恐れ、その前に自分たちの都合の良い憲法に変えてしまおうとしています。「憲法カフェ」は、またオープンします。一緒に憲法の話をしませんか?美味しいお茶を淹れてお待ちしています。

(会員 西村 由紀子)

大阪府留学生ボランティア

今年も元気いっぱい
大阪府留学生ボランティア12名で始動

 大阪府国際化戦略アクションプログラムの一環である「外国人材活用システム構築」事業のうち、留学生ボランティア育成のカリキュラム開発を、今年も大阪YWCA専門学校が担当しています。
 アディラン、セジン、ハイジ、イネ、ココ、ヨウ、リ、リョウ、8人の女子。ハクセン、もも、ワンちゃん、たまちゃん、4人の男子。
 平均年齢21.8歳。中国、韓国そしてカンボジアからの留学生たちです。日本語学校在籍中で、大学院進学準備を進めている人、1年間の交換留学生として大学で勉強中の人、建築士めざして専門学校で学ぶ人など、大阪留学の目的はさまざま。
 そんな12人が、ボランティア活動を通じて大阪をさらに深く理解しようと、現在、研修や会議を重ねながらボランティアを体験しています。
 ある日の課題「ボランティア活動をするために大切なこと」から、かれらの回答をいくつか紹介しましょう。
 「おもてなしの心」
 「気配り」
 「長く続けること」
 「話を聴くこと」
 「人間への信頼」
 これらにまじって「お金・設備・施設」というなかなかシビアな答えも。
 そして、いちばん多かった答えは「笑顔」でした!
 クリスマスバザーでも笑顔いっぱいで活躍してくれる予定です。会員の皆さん、仕事をたっぷり用意しておいてくださいね。

(職員 白川 啓子)

大阪の教会(3) 日本基督教団大阪教会

 

1874年(明治7年)、アメリカ人宣教師O.H.ギュ―リックとM.L.ゴルドンの熱心な伝道によって創立された、日本プロテスタント教会の中で最も長い歴史を持つ教会の一つです。現聖堂は、1922年(大正11年)、W.M.ヴォーリズ設計によって建造されました。1996年(平成8年)、国の「登録有形文化財」に登録されました。ロマネスク様式の赤レンガ建築で、重厚なアーチや尖塔、切妻屋根、美しいバラ窓(円形飾り窓)などが特徴です

(日本基督教団大阪教会 牧師 岡村 恒)
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