大阪YWCAは、女性のエンパワメント、子育て支援、またNGO/NPOリーダーの育成、国際交流等の社会貢献活動をしています。

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大阪YWCA機関紙(2013年7月号) アーカイブ一覧へ
大阪YWCAでは機関紙を年8回発行しています。
抜粋して内容をご紹介します。
このまま進んでホントにいいの?! 選挙の前にもう一度考えてみよう憲法のこと
伊藤真弁護士講演会
アクションする人この指とまれ 加盟YWCA中央委員会報告
沖縄の声にどう応えるか
YWの窓「自分ノート」
専門学校あれこれ 日本語学科全日制コース
大阪の教会(1) 日本聖公会川口基督教会

このまま進んでホントにいいの?! 選挙の前にもう一度考えてみよう憲法のこと
伊藤真弁護士講演会

1票の格差
 今夏の参議院議員選挙で、鳥取県の一人1票に対し大阪府は0.27票、北海道に至っては0.21票の価値しか持たない。これは政治に対する1票の影響力に5倍の格差があることを意味する。1票の不平等は、個人の尊重・尊厳の問題であり、一人1票の実現は民主主義に不可欠な前提条件である。各地の高裁で違憲・選挙無効判決が出されているが実現はほど遠く、このような中で憲法改正を議論すること自体に正当性がなく、国民主権の国の憲法改正として許されないことだ。

憲法とは
 権力行使に憲法で歯止めをかけるという考え方を立憲主義と言い、国王の横暴に歯止めをかけるために生まれた。民主主義社会においては多数派による権力行使に歯止めをかけるという意味を持つ。多数意見が常に正しいわけではないからだ。一般の法律が国民の自由を制限して社会の秩序を維持するための、国民に対する歯止めであるのに対し、憲法は、国家権力を制限して国民の権利・自由を守るための法であって、あくまでも人権保障が目的だ。

自民党改憲草案の危険性
  ところが、自民党改憲草案を仔細に読み進むと、現行の3つの義務(納税、教育、勤労)に加え、国防、家族の助け合いなど新たに10の義務を国民に課し、憲法を国民を支配する道具に変質させてしまっている。また、憲法尊重擁護の義務は天皇・政治家にあるとの定め(99条)を、国民にも尊重義務があるとし、逆に天皇を義務を負う者から外している。国を縛る憲法から国民を縛る憲法へ変えようとしていることは明らかだ。
 日本国憲法の根本価値は、「すべて国民は個人として尊重される」(13条)にあるが、これも自民党案では「個人」から抽象的な「人」に替えられている。
 そしてなにより9条の改変。平和的生存権、戦力不保持、交戦権否認を削除し、国防軍創設を挿入。国際協力の名の下に世界で武力行使が可能になる。市民社会は殺人を目的とする組織を抱えることとなり、私たちの生活はまったく異質のものとなるであろう。
 また、改正要件を緩和するための96条改訂は、政権与党だけの強行採決による発議の可能性を暗示している。

想像してみよう
  憲法を理解する上で重要なこと、それは想像力だ。多数派(強者)から少数派(弱者)へのイマジネーション、人間には強いところも弱いところもあるというイマジネーションだが、改悪を阻止する上で重要なのも想像力だ。自民党草案実現によって私たちの生活はどう変わるのか、権力の危険性、戦争の悲惨さ等々、具体的に想像してみてほしい。今を生きる者として、憲法を知ってしまった者として、今できることをしよう。

(文責・編集部)

アクションする人この指とまれ 加盟YWCA中央委員会報告

加盟YWCA中央委員会報告

 5月25日、東京で行われた加盟YWCA中央委員会のオープンプログラム。一見難しそうな憲法の課題を、女性たちが愛とユーモアをもって語り合おう!と「女性たちの憲法フォーラム」を開催した。第1部では佛教大学教授の若尾典子さんとの対話セッション、第2部では「全日本おばちゃん党」と「ピースボート」の2つの団体の取り組みが紹介され、広く憲法を伝えるノウハウを提示された。

ジェンダーの視点で憲法を生かす

 若尾典子さんは、なぜ憲法が制定以来70年変わる事がなかったのかを、「それは中身がすごいから。9条も両性の本質的平等をうたう24条も、世界から評価される先見性と独自性をもっている」と明言。「しかし、いい憲法というのは時の権力、政府にとって都合が悪い。この素晴らしい憲法をおとしめようと憲法が破壊される日が96条を変える日だ。自民党の改憲姿勢は、何でもいいからどこでもいいからかえてみよう、と言っているのに等しい。それに20〜30代の男性が呼応して、そうだ、何でもいいからどこでもいいから変えてみよう、だって変わらない事はおかしいから、と」。

自民党の改憲案にある家族条項について
 「性の不平等というのは家族制度に起因しているから、両性の本質的平等を入れる必要があったが、自民党案の家族助け合い義務は別もの。DVなどがあれば家族を壊す権利もあるはず。家族のことは自己責任とし、国の責務を放棄し、家族の介護、高齢者や障害者のケアを担ってきた女性にこの先もその責任をおしつけるものだ。人が人を支援しケアするという事は、女性だけの仕事ではなく、人間として、男女一緒にするべき。男性の伝統的役割を変えるという事が必要。橋下大阪市長の”慰安婦発言”と問題の根っこは同じ。世界が戦後積み上げてきた人権擁護の歴史を否定し、若い男性に男らしさ、外国人差別、女性差別を植え付けようとする。自信をなくしている若い男性が暴力で相手を征服することを正当化し、自己決定を成し遂げようとするのは不安の表れ。自分を大事にして、相手を大事にするにはコミュニケーション能力が必要。世代を超えてそこを鍛えていかなければ」。
 若尾さんのユーモラスで平易な語り口は、私たちを守る最後のとりでが憲法なのだという事を実感させられた。
憲法を楽しくピースアクション
 「全日本おばちゃん党」は政党ではなくフェイスブック上のグループで、2012年に結成。オッサン政治にもの申すユニークなアイデアで仲間を増やし、フェイスブックの参加者は1000人以上。その「はっさく」前文には「おばちゃんは政治のことを自分のこととしてとらえ、日本の未来を真剣に考えています。おばちゃんは、自分だけが幸せ、自分だけが安全、自分だけがよい生活はいやです」その1で「うちの子もよその子も戦争には出さん!」その7では「力の弱いもん、声が小さいもんが大切にされる社会がええねん」最後に「おばちゃんの政治参加が世界を救う!」と高らかにうたいあげている。副代表、早乙女智子さんから活動紹介がされた。
 「ピースボート」は9条世界会議の事務局を担い、グローバルな視点で9条をとらえ、無関心層の若者たちを巻き込み活動中。今回は核のない世界をめざす「おりづるプロジェクト」担当スタッフの上(うえ)泰歩さんが、ご自身の無関心時代の経験から、若者たちに関心を持ってもらうためには、彼らを理解する事が必要、と語った。
 「おばちゃんパワー」と「若者パワー」に元気をもらい、身近なところから憲法を伝えていく大切さを再確認した。
(会長 小澤 裕子)

沖縄の声にどう応えるか

 米軍の欠陥機オスプレイが普天間基地に強行配備されて半年以上が過ぎた4月末、沖縄の友人から電話がかかってきた。「今日、日米の防衛相がオスプレイを夏に追加配備すると正式に“確認”したのは知ってる? もう沖縄だけで声をあげてもだめ…大阪の、本土の方々の力を貸して!!」という切迫した電話。友人は、悲痛な声で「沖縄と本土には“温度差”がある。みんなにこのことを広めてほしい」と絞り出すように言った。私は、うん、うん、とうなずくことしかできなかった。平和を求め日々パワフルに飛び回っている友人をここまで追い込んでしまったんだ、という現実。追い込んでいるのは、米軍基地のない本土の街に暮らす多くの私たちの“無関心”“他人事感”なのだと突きつけられた。翌日、沖縄の地元紙はオスプレイ追加配備について一面で報じたが、本土の大手新聞の紙面を隅々まで探しても、その記事はどこにもなかった。“温度差”をまざまざと感じさせられた。
 多くの沖縄県民、全市町村長、知事があらゆる方法を尽くして「NO!」と声をあげても、オスプレイは今沖縄の空を飛びかっている。爆音と墜落の恐怖をまき散らし、空の下で営まれている人々の暮らしを破壊しながら。
 何度も何度も踏みつけられてきた沖縄の人たちの声にどう応答するのか、そして“温度差”をどう埋めるのか…。隣の友人に沖縄の状況を伝えることも、沖縄の声を届けることのできる政治家を選挙で選ぶことも、私たちにできることのひとつ。ずっと踏みつけてきた側にいる現実を見つめ葛藤を抱えながら、でも今こそ、本土の私たちが「変わる」時だ。
(会員 吉田智里)

YWの窓「自分ノート」

 大阪YWCAでは、20年前から「生と死を考える会」や「エンディング講座」などを実施してきました。これらはすべて、将来を見据えたうえで「今」をいかに生きるか、ということにつながっています。そして、このことは高齢者だけでなく、まだ若いと思っている人にとっても大切なことです。
 大阪YWCAは、現在「より良い社会の実現のために働く人を育て、女性のあらゆるライフステージの課題に包括的に取り組みます」というビジョン2020を掲げて活動しています。このライフステージを考えるツールとして、広報部委員会は『自分ノート』を作成しました。
 来し方を振り返り、現在を総括し、これからの生き方を考える。それらを文字にすることによって、自分の思いや考えも定まり、これからどう生きていくべきか、何をしておかなくてはならないか、方向性を見出すことができるでしょう。
 何年か経って書き直したり加筆したりすることがあるかもしれません。常に身近に置きながら、一人ひとりがこれからの人生を心安らかに豊かに生きていくために使われることを願いつつ、試作の段階です。実際に書き込んでくださった皆さまからご意見をいただき、よりよいものに仕上げたいと考えています。どうぞ忌憚のないご意見をお寄せください。お申し込みは担当職員木下まで。
(広報部委員会)

専門学校あれこれ 日本語学科全日制コース

 大阪YWCA専門学校の日本語学科には、週2回、午後7時から8時半までの「イブニングコース」や、毎年7月から8月にかけて3週間開催する「日本語夏期集中コース」など、バラエティーゆたかなコースがあります。

 毎週月曜から金曜までの昼間に日本語を勉強している日本語学科全日制コースには、4月から新しい学生が入学しています。中国、台湾、韓国、ベトナム、フィリピン、ブラジル、珍しいところではブータンなど、休み時間には色々な言語が飛び交います。来日目的も様々で、日本の大学・大学院への進学や就職を希望する人、夫の仕事の都合で来日した人、日本に住む母と暮らすためなど十人十色。そんな彼らに少し質問をしてみました。

日本の印象はどうですか?
 「日本は雪がたくさん降ると聞いていたけど、大阪は雪が積もりませんね(ベトナム)」、「タイをイメージしていたけど、街が綺麗で驚いた(ブータン)」、「僕は納豆が大好きです!(中国)」。この納豆発言には、他の学生たちから驚きの声があがりました。

故郷の有名なものを教えてください。
 「家の近くを黄河が流れています。とても大きくて向こう岸が見えません(中国)」、「さくらんぼやリンゴが有名。日本ではとても高いです(中国)」、「パイナップルケーキも有名だけど僕は太陽餅が好き(台湾)」、「狗(いぬ)肉(にく)!とても体に良くて1ヶ月に2回ぐらい食べます。スープにするとおいしい(中国)」。

  そんな彼らも、スマートホンを自在に操り、なか卯の定食がお気に入りという今どきの若者です。故郷を離れ奮闘する学生たちにぜひ会いに来てください。

(職員 坂田 阿キ子)

大阪の教会(1) 日本聖公会川口基督教会

   日本聖公会大阪教区の主教座聖堂(大聖堂)。教会の歴史は、アメリカ聖公会の宣教師C.M.ウイリアムスが外国人居留地内で礼拝を始めた1870年に遡ります。現在の礼拝堂は1920年に完成した赤れんが造りの建物(登録有形文化財)で、川口居留地の面影を留める唯一の建築物です。140数年の長きにわたって、宣教の拠点として用いられ、今も、信徒の祈りの中心、また府市民の文化財として愛されています。コンサート等の地域活動にも積極的です。  
(日本聖公会川口基督教会 牧師 ペテロ 岩城 聰)
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