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TOP PAGE > YWCAについて > ニュースレター > アーカイブ一覧 > ニュースレター13.4・5月号
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大阪YWCA機関紙(2013年4・5月号) アーカイブ一覧へ
大阪YWCAでは機関紙を年8回発行しています。
抜粋して内容をご紹介します。
96条改悪に反対を
今そこにある「憲法の危機」
YWの窓「東北に思いをはせる集い」
第96回定期会員集会報告

96条改悪に反対を

 憲法第96条が変えられそうになっています。この96条がかえられると、第9条だけでなく、すべての人権条項と天皇条項が簡単に変えられるようになってしまいます。現在、自民党も日本維新の会もみんなの党もこの96条を変えようと言っています。今の憲法の改正手続きがきびしすぎるので、新しい時代に対応できないので、まず改正手続きを変えようというのです。現行憲法の改正手続きは、衆議院ですべての議員の3分の2以上の賛成、そして参議院ですべての議員の3分の2以上の賛成で改正の発議を国民にすることができるというもので、それに従って国民投票がされ、過半数の賛成を得れば改正できる、というものです。そして、今のところ、三つの政党が、この3分の2以上を過半数にしようと言っています。3分の2以上は厳しすぎるというのです。しかし、3分の2以上にしているのには、それなりのわけがあります。憲法がそう簡単に変えられたら困るのです。そうなると皆さんもよくご承知の9条も簡単に変えられてしまいます。それと、憲法の人権条項も簡単に変えられてしまいます。一例をあげます。第21条はこうなっています。

第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。A検閲は、これをしてはならない。

  自民党の『日本国憲法改正草案』では、第1項に次の第2項を加えるというのです。

2 前項の規定にもかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは認められない。

 私はここを読んで、ただちに治安維持法を思い出しました。最近、現在の憲法下でさえ言論の自由を侵す逮捕事件が頻発しています。それなのに自民党案のようになってしまうと言論の自由はないも同然になってしまうでしょう。その他たくさんの条項に手がいれられています。96条をかえるのは9条を変えるためだと言われてきました。そうではありません。全面改「正」が目的なのです。自民党の改正案は、全面改「正」案です。自民党は、結党以来、全面的に変えようと志してきたのです。96条を過半数にすれば、そのことはあながち不可能ではありません。一度ではできないでしょうが、何回かで、かなり実現するでしょう。それと、わたしが心配しているのは、過半数にしてしまえば、憲法はほとんど憲法としての重みを失ってしまうのでないか、ということです。「変えやすくする」というのは安定性と堅牢さを失うことになり、ひどい混乱が日本社会を襲う恐れさえあるでしょう。過半数にするということは、憲法を憲法でなくすることになるのではないでしょうか。この文章を読まれた方々が、夏の参議院選挙で賢明な投票行動を取られるように切に願います。取り返しのつかないことにならないように。

古かく莊八 (こかくそうはち、高石教会牧師 )

今そこにある「憲法の危機」−各党の「憲法改正草案」のめざすもの

 連日大きく報道されている原発再稼働やTPP加盟といった政治課題に比べ地味に進行しているのが改憲の動きだ。

 前の安倍政権の際に成立した改憲手続き法に基づいて、国会の中で「憲法改正案」を出し審議する機関としての「憲法審査会」が2011年11月から始動した。憲法改正案を提出し、憲法審査会にそれが通って、国会の総議員の3分の2で可決されればいつでも「国民投票」にかけられる情勢が生まれている。自民党、維新の会の改憲案の内容は?改憲の狙いは何?
『自民党憲法改正草案』
(前文)日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を頂く国家であって、〜中略〜日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに,和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
(第1条)天皇は、日本国の元首であり、日本国及び、日本国民統合の象徴であって、その地位は主権の存する日本国民の総意に基づく。
(3条)2日本国民は国旗及び国家を尊重しなければならない。
(第9条の2)我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。〜中略〜
国防軍は,第1項に規定する任務を遂行する活動のほか、法律の定めるところにより,国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命もしくは自由を守るための活動を行うことができる。
(24条)家族は社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は互いに助け合わなければならない。
(98条)内閣総理大臣は我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律に定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、 閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
(第100条)この憲法の改正は衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し,国民に提案してその承認を得なければならない。(維新の会改憲構想もこの憲法改正要件の緩和をめざす)
ウルトラ復古調
 前文や1条の天皇元首制は、天皇を頂く家父長制の再現をねらっているかのようだ。そして24条は「家族は互いに助け合わなければならない」と、一見もっともなようだが、国の社会保障を整える義務を家族に押し付けているだけだ。憲法は道徳ではない。戦前の天皇制国家は、天皇が主権者として法的正義の担い手であると同時に道徳正義の担い手であるというしくみがささえていた。その典型的例が「教育勅語」だ。「親子、夫婦、兄弟は仲良く、むつまじく暮らしなさい」というような当たり前のことを、わざわざ天皇が国民に命令し、権力を持って強制した。
 国民は国家の指し示す道徳に従っておれば良い、というこの天皇制国家の伝統は、その後の日本ファシズムをもたらした要因ともなった。
憲法とは何か
 そもそも法とは少数者の権利を守るために始まったものだ。力の強い多数者が強引にものごとを決めるなら、法は必要ない。とはいえ、民主政治は多数決で、結果として少数者を切り捨てしまう事もある。
 多数決が民主的であるためには、決定までに十分に議論が交わされ、少数者の意見も尊重され、ときにはその過程で少数と多数の意見が入れ替わるという事もあり得るということが前提となっている。
 現行の憲法改正要件が「衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成で発議」と厳しく設定されているのは、その時々の国会における多数者の意見によって簡単に変えては、この法の精神に背くということでもある。
 独裁には手続きは必要ないが民主政治に手続きは不可欠だ。時間のかかる参議院はなくす、簡単に憲法を改正できる、という手続きの軽視は法の支配を軽視することにつながる。法とは権力を持たない国民の権利を保障するために、国家権力の行使が一方的、恣意的にならないよう、これを拘束するルールをもうけるということなのだ。
いつでも戦争ができる国へ
 自民党案といえどもあまりにも露骨すぎるということで、9条の1項は残さざるを得なかったようだが、現憲法の「戦力はこれを保持しない」という2項をとってしまって「自衛権の発動を妨げるものではない」とした上で「国防軍を保持する」とした。
 狙いは2つある。1つは「集団的自衛権の行使」。9条の今の政府解釈では、日本の本土にあるアメリカ軍基地が攻撃されたり、日本の国民を襲ってきた国に対して、自衛隊はその国に対して反撃できる。しかしそれでは不十分だ。アメリカは中国や北朝鮮に対する牽制としても、日本に能動的に動いてもらいたい。
 さらにアメリカと一緒になって戦争するために「国際平和の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」について国防軍は出動できるとしている。この2つさえあれば、どんな時でもどんな場所にでも行って、国防軍は戦争できるということだ。
 日本を取り巻く国際情勢や領土問題から国民の不安をあおり、9条改訂も仕方ないのでは、という世論操作がなされているが、国防軍を持つ事が本当に日本の安全と平和につながるのだろうか。かえって周辺諸国の警戒と疑心暗鬼をよび、国民を戦争に引きずり込む道につながる、つまりもっとも国民を危険に近づけるということだ。戦後67年、日本が平和で外国から攻撃されなかったのは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」からだ。
 現行憲法第12条では、国民の自由と権利は「不断の努力」によってこれを保持しなければならないと規定し、同じく13条では幸福を追求する権利をうたっている。幸福は向こうからやってくるものではなく、つねに追求の対象である。民主主義の精神とは、一人一人の主体的に追求する精神であり、その主体性を放棄すれば民主主義は絵に描いたもちになる。今こそ、憲法改悪を阻止するために一人ひとりが考え、行動する事が必要な時だ。
(文責 編集部)

YWの窓「東北に思いをはせる集い」

 3月11日、千里と梅田でそれぞれ「東北に思いをはせる集い」がもたれました。千里では、バザー、古本市、cafeイーハトーブの開店、最後に宮沢賢治のお話会をし、収益は「ワイワイステイプログラム」に寄付されました。今、福島の子どもたちにはさまざまな問題がおきているとのことで、新聞には、運動不足による肥満も深刻な問題として伝えられていました。「ワイワイステイ」は、少しの間でも福島を離れ、戸外でのびのびと生活してほしいとの願いで生まれたプログラムです。
 子どもたちの健康を気遣い、毎日心を痛めているであろう福島の親御さんたちのことを思います。離れて暮らす私たちは、日常の雑事にまぎれて忘れてしまうこともあります。でも、せめて1日のうち1分でも、いえ1週間に1度でも福島の子どもたちのことを心馳せたいと思います。
 震災後、反原発の声は、いたるところからあがりました。その声が今、とても、とても小さくなっているような気がします。原発事故によって健康を蝕まれている子どもたちのことを考えれば、再稼働などもってのほか。それでなくても、大変な数の原子力発電所というお荷物を、私たちはすでに負っているのですから。「雨ニモマケズ」にうたわれているヒデリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ ということの意味を深く考えます。共感すること、連帯することの厳しさとともに。
(会員 広瀬 圭子)

第96回定期会員集会報告

3月2日(土)、大阪YWCAシャロン千里において「平和、平和、遠くにいる者にも近くにいる者にも」(イザヤ書57章19節)を標語とし、第96回定期会員集会が開催された。開会礼拝では日本基督教団千里聖愛教会の中井大介牧師を迎え、「平和の心を持ち、この世へと出てゆきなさい」をタイトルにメッセージをいただいた。出席会員73名、委任状提出129名、計202名。

2012年度事業報告
 事業部門では、毎年のように新たな事業を展開している中国帰国者支援事業の様々なプログラムや、苦戦を強いられている日本語学科の現状等について報告があった。ボランティア・社会貢献活動部門については、各部から代表が1分報告を行った。1分ではおさまりきらない報告の数々は、YWCAでの活動の多様さをうかがわせ、今後の可能性を感じさせられた。
2013年度事業計画
 ビジョン2020の具現化に向けて、活動の見直しを図り、組織改編に取り組むためのタイムスケジュール、ファンドレイジング部新設についても提案がなされ、承認された。大阪YWCA創立95周年記念事業として「仲道郁代ピアノコンサート」を10/11(金)いずみホールで開催予定している。

 昨秋の日本YWCA全国会員総会にて行われたY’s wonderful women賞を受賞した小林和子・永井千代子両会員を、定期会員集会の議事終了後に紹介。大先輩のユーモア溢れるメッセージに、出席者一同は元気をもらった。定期会員集会後は近隣の人たちも参加し約100名が「わいY亭おたのしみ落語」で大いに笑い、明日への活力となった。

(文責 編集部)
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