みなさん、「ひまわり」という映画をご存知ですか?私は昨年、この映画「ひまわり」の製作に深く関わりました。
この映画は、1959年に沖縄の宮森小学校に米軍の戦闘機が墜落し、児童11名(後に後遺症で亡くなった児童を含めると12名)、住民6名が亡くなり、また210名の負傷者を出したことをテーマに描いたものです。私の家は宮森小学校から車で5分の所にあり、幼い頃からこの事件のことを母から聞いていました。それ以来、戦闘機の爆音を聞くたびに、私の所に落ちてくるのではないかという恐怖に見舞われ続けています。
毎年、宮森小学校では慰霊祭が行われています。慰霊祭で、当時の先生が子どもを亡くされた母親に声をかけていました。「ごめんなさい、私があの子を守ってやれなくて・・・。私のせいです。」この言葉に対し「先生のせいじゃないよ。私はあのジェット機が憎い。」と、このやり取りの最中も頭上を飛んでいる戦闘機を指差して母親が応えました。私は二人の姿に、事件から50年以上たった今でも癒えることのない遺族の悲しみを痛感させられました。そしてこのやり取りを「ひまわり」の中でも再現しています。
昨年10月には、世界各地で死亡事故を何度も起こしている欠陥機のオスプレイが、沖縄の圧倒的多数の人たちが反対していたにもかかわらず、強行配備されました。その後「学校や病院を含む人口密集地域の上空はさける」という運用ルールさえも無視して、毎日市街地の上空をわがもの顔で飛んでいます。米兵による女性や子どもへの暴行事件も立て続けに起こっています。さらに日本政府は、オスプレイを普天間、嘉手納にも追加配備し、本土にも配備する方向で進めています。
私は「宮森小の事件を悲しみで終わらせてはいけない。事件を風化させず、絶対に平和を創っていくんだ。」という想いを抱き、この映画のシナリオ作りに参加しました。特に力を注いだのは、沖縄の人たちの悲しみ、怒り、葛藤をどう表現するかでした。本当に多くの方々の協力があって、うちなーんちゅの平和への熱い想いが込められた作品となりました。
みなさん、ぜひご覧になって、沖縄のことを知る、考える、語り合うひとつのきっかけにしていただきたいと思います。そして不都合なもの、いのちを脅かすものは、中央から遠く離れた沖縄へ、福島へ、・・・という日本の差別構造を変える力にしていきましょう。
宜野座由子 (『ハーフセンチュリー宮森』のメンバー、名古屋YWCA会員、沖縄在住 )
|