大阪YWCAは、女性のエンパワメント、子育て支援、またNGO/NPOリーダーの育成、国際交流等の社会貢献活動をしています。

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大阪YWCA機関紙(2012年11月号) アーカイブ一覧へ
大阪YWCAでは機関紙を年9回(4/5、12/1、8/9月が合併号)毎月1日発行しています。
抜粋して内容をご紹介します。
「集団的自衛権」 解釈の変更は戦争への道
DV・性暴力救援センターを全国に!〜とりもどそう性の自己決定権〜
社会福祉法人大阪YWCAシャロン千里 地域の拠点として 地域包括支援センターに
YWの窓「福島にお詫びしたい」
近畿中国帰国者支援・交流センター 日本語コース学習発表会
京都・神戸・大阪 3市YWCA交流会
ここにYあり(30) 大阪の中高YWCA 大阪女学院中・高等学校 学校YWCA部

「集団的自衛権」 解釈の変更は戦争への道

 総選挙を前にした各政党の動向の中で、「領土問題」で緊張する東アジアの情勢への対応とあわせて、集団的自衛権の行使に関する改憲の主張がかまびすしくなっている。
 自民党の総裁選では、5人の候補者全員が相次いで集団的自衛権行使の主張を繰り広げた。呼応して、新党「日本維新の会」の党首になった橋下徹大阪市長も集団的自衛権の行使と靖国参拝を宣言した。従来からの「集団的自衛権の行使合憲論」者である野田首相も国家戦略フロンティア分科会報告書が集団的自衛権行使を提言すると、それを積極的に評価した。自民党も「国家安全基本法案」を作成して集団的自衛権の行使をうたい、改憲を次期衆院選の公約とすると発表した。

 8月15日、アーミテージ元米国務副長官らによる対日戦略報告書「日米同盟〜アジア安定の支え」(第3次アーミテージレポート)が発表された。報告書は「日米両国は中国の台頭と核武装した北朝鮮の脅威に直面して」いること、「これに対して、集団的自衛権の行使を念頭に、米軍の『統合エアシーバトル(統合空海戦闘)』構想と自衛隊の『動的防衛力』構想の連携で、米軍と自衛隊の相互運用能力を高めるべきだ」とした。
 野田政権とオバマ政権は先の森本・パネッタによる日米防衛首脳会談(8月3日)で合意した近いうちの「日米安保のガイドライン(War Manual)の再々改定」によってこれを担保しようとしている。

  冷戦終焉後の改憲論の特徴はターゲットが日本の「集団的自衛権の行使」に向けられていることだ。90年代からの9条明文改憲運動の台頭は、1981年、鈴木善幸内閣によって「憲法第9条の下では集団的自衛権は権利としては有していても、行使することはできない」という政府解釈の定式化が行われたことに起因する。この政府解釈の下では9条改憲なくして、米国が要求する集団的自衛権を行使することは出来ないからだ。
 この9条改憲の野望は2000年代の安倍晋三内閣を頂点として強まったが、教育基本法の改悪や改憲手続き法の強行に危機感を強くした全国の市民運動の高揚が世論の変化を作り出し、安倍部内閣を自壊させ、9条明文改憲の企てを頓挫させた。
 今日の改憲動向の特徴は、難事業である9条明文改憲だけに依拠せず、従来の政府解釈の変更で集団的自衛権の行使への道を打開することと並行して進めるところにある。この道は戦争への道だ。

高田健 (許すな!憲法改悪・市民連絡会事務局次長 )

DV・性暴力救援センターを全国に!〜とりもどそう性の自己決定権〜

 第15回全国シェルターシンポジウム2012inはんなん・近畿が、「性暴力救援センター・大阪」(SACHICO)の加藤治子さんを実行委員長に10月13日〜14日の2日間、延べ1500名近くの参加者を集めて行われました。全国から民間シェルターの活動家、専門家、行政関係者等が集結して熱く盛り上がった2日間の模様をお伝えします。
 国内で活動している民間シェルターの多くが加盟しているNPO法人全国女性シェルターネットが、毎年、全国規模で行っている「全国シェルターシンポジウム」。15回目となる今回の大会テーマは「女(わたし)のからだは女(わたし)のもの DV・性暴力救援センターを全国に! 〜とりもどそう性の自己決定権〜」です。
 会場となった大阪府阪南市は人口約2万8000人の小さな街ですが、2011年には「住民生活に光をそそぐ交付金」を活用して、全国に先駆けて行政が民間シェルターの支援を行った画期的な街です。

■1日目
 弁護士・雪田樹里さんによる基調講演「性暴力被害者への法的支援の現状と課題」に続いて、雪田さんを含む4名のシンポジストが、医師の、弁護士の、カウンセラーの、民間支援者の立場から、性暴力被害者の救済について現状と問題点を語りました。
 その中で明らかになったのは、警察捜査で受ける二次被害はもとより、加害者を検挙する側の性暴力被害に対する無知・無理解から、現状の法律や制度では被害者の本当の救済は望めないということです。雪田弁護士が、明らかに強姦であるにもかかわらず無罪判決が出た判例を具体的に挙げていくと、会場からは大きな憤りの声。それらの声を受けて、近藤恵子全国女性シェルターネット共同代表が「刑法改正」を強く訴えられたのが印象的でした。
 同時に、非情とも言える現状にあっても、全国の「女」達が、それぞれの立場で知恵をしぼって、被害者救済のために日夜奮闘していることに、心強さを感じました。1500名の「女」達のパワーを持ってすれば、一滴のしずくが岩を穿つ(うが)ように現状を打破していけるのではないかとの希望を持ちました。

■交流会
 飛び入りで元担当大臣福島みずほ議員が壇上に。「今、社会現象となっている様々な問題、女性に関する問題の解決は女性の手で!女性力を発揮して頑張りましょう!!」との熱いエールに会場は大いに盛り上がり、明日へのエンパワーとなった一時でした。

■2日目 分科会
 2日目は午前中に8つ、午後に9つの分科会が行われました。
 私達大阪YWCAは「暴力の連鎖を断つ」というテーマで分科会を担当。「DV家庭で育ったこどももDV被害者」「DVと児童虐待は表裏一体」と言われるように、DV防止と児童虐待防止を切り離して考えることはできません。
 今回の分科会の発題者・荒巻(あらまき)仁(じん)さんはDV家庭で育ち、自身も父親から暴力を受けて育ちました。自分の存在価値や生きる目的を見出だせず、一時は「この世で幸せになることは不可能」とまで思いつめました。
 そんな荒巻さんが、現在は福井県で「父子笑伝」を合言葉に、父親として、地域の子育て支援や東日本大震災で被災したこども達の支援を行っています。また、保育園・幼稚園・小中学校での絵本の読み聞かせを通して、DV・虐待といった暴力にさらされているこども達の心のケアも始めました。
 DV家庭のサバイバーでありながら、「暴力ノ―」を訴え、生き直しを実践する荒巻さんから、暴力の連鎖を止める意思と知恵、具体的な実践のあれこれをお話して頂きました。サバイバーとして、良き男性モデルとして、今回の荒巻さんとの出会いが暴力に苦しむ女性や子ども達を救う助けになればと願います。
 もう一人の発題者は、皆さんよくご存知の金(きむ)香(か)百合(ゆり)さんです。金さんは自ら構築した「自尊感情栄養理論」を暴力の連鎖を止めるためのひとつの知恵としてお話しくださいました。
 分科会の会場は、荒巻さんの壮絶な生い立ちに声も出ないほどの緊張感に包まれたり、お二人のユーモアあふれる語り口に思わず笑い声が上がったりし、最後には暖かい涙で癒される空間になりました。そして終了後、荒巻さんの絵本「あらじんのまほう」を買うための長蛇の列ができました。

■全体会
 2日間の大会は、包括的な「性暴力禁止法」の制定やDV根絶事業の予算拡充、医療機関をベースとするDV・性暴力被害者回復支援センターの設置等の要望を盛り込んだ共同アピールを採択して、幕を閉じました。

文責 女性エンパワメント部

社会福祉法人大阪YWCAシャロン千里 地域の拠点として 地域包括支援センターに

 シャロン千里は、2012年10月より吹田市の委託を受け地域包括支援センター(介護や高齢者福祉の相談窓口)を開設しました。 名称は「吹田市古江台・青山台地域包括支援センター」で、高齢化率の高い千里ニュータウンの古江台・青山台地域を担当します。
 2006年地域包括支援センター創設時に、吹田市は4か所の直営型包括を開設し、市内を6ブロックに分けて運営していました。地域包括の下には、在宅介護支援センターがブランチとしての機能を持って活動していました。シャロン千里在宅介護支援センターは、その一つとして吹田市の直営型包括と連携を図ってきました。(吹田市よりの委託は今年の3月末で終結)
 5月に吹田市で7か所の委託型の地域包括支援センターの公募があり、シャロン千里も応募し、書類選考とプレゼンテーションを経て受託が決定しました。今までの地域での活動が認められたものであるとともに、さらに質の高い活動が求められているのを実感しています。
 センターの具体的業務内容は、
@高齢者の方が要介護状態にならないよう介護予防のマネージメントを行うこと
A介護・生活全般にわたるさまざまな相談業務を行うこと(介護保険事業所、民生委員や福祉委員、ボランティアとの連携が大切です)
B虐待の早期発見、防止、成年後見制度を利用して高齢者の方の権利を守ること
C高齢者の方を援助するケアマネジャーを支え、地域の機関とのネットワークを作ることです。
 この4つの業務を行うため地域包括支援センターには、社会福祉士、保健師(看護師)、主任ケアマネジャーの3職種の配置を義務付けています。3職種がそれぞれの専門性を活かし、在宅の高齢者の方が安心して地域で暮らせるよう援助する事を目的に、チームとして地域の福祉活動を推進します。
 地域の保健医療の向上及び福祉の増進をはかる拠点として信頼されるセンターを目指して努力しますので、皆様応援してください。
(シャロン千里施設長 川ア一代)

YWの窓「福島にお詫びしたい」

 「原発は核である」「核と人類は共存できない」と訴え続けても運動が広がらないもどかしさの中で、福島原発事故が起こった。夢であればと何度思ったことか。
 9月17・18日、日本YWCAの福島訪問プログラムに参加。
 東北新幹線が福島県に入ると、なだらかな山並を背景にのどかな田園風景が続く。福島Yの会員さんが開口一番「風景が自慢のうつくしまが汚されてしまった」と。函館から熊本から26人が集った夕食交流会で、若い福島の会員さんが名前を言ったきり絶句。言葉にならない思いが私を直撃した。これを受けとめるのが今回の‘チーム福島’の目的だと言われたが…。
 阿武隈川を見下ろす旧御倉(おぐら)邸での現状報告会。福島大学の朴(パク)教授は、放射能汚染の中の農業と風評被害の詳細な話をされた。親子の支援活動をしている佐藤さん夫妻は、様々な情報を自分で判断して避難するか否かは個人任せ、それによって家族・地域・学校生活などに分断が起きている。特に幼少期の野外活動制限の影響は大きい。全国からの支援は有難いが、もっと多くの子どもたちを県内の安全な会津地方へ滞在させてやる支援もあれば、と話された。  
 現地に留まる子育て世代の苦労や本音を直に聴き、これからの支援の仕方や活動への沢山の宿題をもらった。福島に詫びつつ、まずは原発ゼロという候補者を選ばなくては!               
(会員 原 紀(とし)子)

近畿中国帰国者支援・交流センター 日本語コース学習発表会

 厚生労働省からの委託事業として、毎週日曜日、中国帰国者のための日本語クラス、パソコンクラス、資格取得対策クラスなど合計16クラスが開かれています。そこで、現在、約150名の中国帰国者の人達が熱心に学習に励んでいます。
 その成果を発表する「学習発表会」が、毎年7月に開催されます。スピーチや歌の発表がされる中、今年はなんと大阪弁を使った「漫才」や、学習者本人が台本と演出を担当した「劇」などがあり、発表のたびに大きな拍手が起こりました。また、あるクラスは「ダンスは健康にとてもいいです。さぁ、みなさん一緒に踊りましょう!」と社交ダンスを日本語で指導しました。これが機会となり、受講生によるダンスの自主活動グループが誕生し、10月から、毎週日曜日、約30名が集まり社交ダンスを楽しむ活動が始まっています。
 また、今年の学習発表会では、仙台市にある東北中国帰国者支援・交流センターの所長を招き、東日本大震災発生当時の様子を聞くことができました。地震直後の写真とともに、直接お話しを聞くことにより、私達にも大きな悲しみが伝わると同時に、東北の人々を忘れないという気持ちをまた新たにすることができました。聞き終えた後、ある受講生から募金の呼びかけがあり、多くの受講生がそれに応えてくれました。
 日本での生活において、一方的に“教えられる”また“与えられる”立場に置かれる事が多い中国帰国者の人達ですが、今年の発表会では、受講生自ら発信し、行動する姿が所々で見られました。大阪YWCAの日曜日は、ますます賑やかになっていきそうです。
(職員 坂東 暁子)

京都・神戸・大阪 3市YWCA交流会 2012年9月22日@神戸YWCA

 毎年持ち回りで開催されている3市Y交流会、今回はソウルからゲストを迎えて神戸で開催された。すてきなゲスト、ハン・ミミさんは、韓国Yで若い女性のリーダーシップ養成に力を入れていると同時に、今年8月ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した韓国映画『ピエタ』のプロデューサーでもある。貧しい少年時代、その後の肉体労働の過酷な日々を経て30歳から映画作りを始めて金獅子賞を獲得するまでになった金基徳(キムギドク)監督の半生や、朴正煕大統領軍事独裁政権下、弾圧を逃れて一家でアメリカに亡命した自身のマル秘エピソードを披露しながら、生きていく上でメッセージをもつことがいかに大切さをダイナミックに語った。
 私たちはなぜその方向(目的)に進むのか、YWCAが若い世代に対して果たす役割は、この『羅針盤の見方』を示すことではないか。楽しい学びと交流の一日となった。
(文責 編集部)

ここにYあり(30) 大阪の中高YWCA 大阪女学院中・高等学校 学校YWCA部

 私たち、大阪女学院の学校YWCA部は、中学生と高校生合わせて22名の部員で活動しています。毎回手話を学び、公開クリスマスでは手話通訳を行います。ワールド・ビジョンを通して4人の子どもを学校でサポートしているので、チャイルドスポンサーのお世話もしています。校内で献米のアピールをし、釜ヶ崎に炊き出しのボランティアにも出かけています。これからも、『愛と奉仕』の精神で楽しく活動していきたいです。
(文と写真/大阪女学院)
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