私は多分典型的な中東人ではありません。まず声が大きくないので、皆さんの前で話すのにマイクが必要です。さらに、私は政治好きではありません。文学や音楽、映画などを語る方が好きです。けれども、私の住むパレスチナは、政治を避けては生きられない地。生活に関わるすべてが政治色を帯びていて、「政治的なこと」が創り出す現実に向き合わざるを得ないのです。
大学時代の私は、イスラエルによるチェックポイントを毎朝4つ通り、何度もバスから降りてはきまぐれな「保安検査」を受けました。学校、病院、仕事に行こうにも、時間通りに行動するのはまず無理。03年以降は、チェックポイントのいくつかが金属探知機などの揃った「ターミナル」と呼ばれるものになりました。入り口の回転ドアは狭く、太った人や大きな荷物を持った人が通れないほどです。
パレスチナ自治区・ヨルダン川西岸地区の住民は、特別な許可証がないと境界を越えることさえできず、エルサレムに入ることを禁じられた状態です。東エルサレムの人が西岸の人と結婚したくても、移動の制限がそれを阻みます。
パレスチナYWCAがめざすのは、正義、平和、寛容、人権の尊重、ジェンダー平等、多元性と多様性、女性のリーダーシップが促進される状態です。この数年、YWCAでは「国連安全保障理事会決議1325号」を広めることに力を入れています。これは、紛争の予防や解決における女性の役割を重視し、平和や安全の維持・促進には「女性の平等で完全な参画」が必要であることを、加盟国に対して求めるものです。
パレスチナ人の多くは国連決議に対して冷めています。パレスチナ人の権利に関してこれまでに採択された数多くの決議が、どれ一つ実現されていないからです。状況が悪化する中、今日の若者は国際的な動きに対しても国内政治に対しても冷笑的です。
安保理決議1325号は、政治だけでなく社会的なことに大きく言及し、女性が声を上げることを促します。私たちは、冷笑や受け身の姿勢を克服し、新たなスタートを切る道具(ツール)として、この決議の活用に希望を見出すのです。
(翻訳・文責 編集部)
|