CSWとは国連の「女性の地位委員会」のことで、毎年2月下旬から3月上旬にかけてニューヨークで開催。世界YWCAが国連・経済社会理事会に特別諮問資格をもつ「国連NGO」なので、日本YWCAからも毎年人を送っています。今年はテーマに「農山漁村の女性」が入っていたことから、田舎町で有機野菜を作って10年になる私にお鉢が回ってきました。
CSW本体は、政府代表の協議の場です。「合意結論」をまとめ、各国政府の出す決議案を採択するプロセスですが、そこに、NGOを通して市民社会の声を取り入れようというのがポイント。国連周辺で開かれる何百ものイベントに参加したり、合意結論案や決議案に対してNGOから注文をつけてそれを各国代表にPRしたり(=ロビー活動)、刺激的な2週間でした。
「農山漁村」とひと言でくくっても、水汲みや薪集め、高い妊産婦死亡率、女児の早すぎる結婚…といった重い課題をもつ国々と、日本の私がどんな土俵で話せるのか。考えた末、「地方に押し付けられてきた軍事基地や原子力発電所、特に女性への影響」について訴えることにしました。
原子力発電所は、一旦事故を起こしたら女性の性と生殖の健康に恐るべき影響を与えるだけでなく、たとえ事故を起こさなくても、ウラン採掘から放射性廃棄物の処理・管理にいたる全プロセスで放射能被害をもたらす、これは「人権の問題」だ。多種多様な有機物を投入して土づくりに励んできた者として、福島の農業者の心を思うと胸が痛い、農業者にとって「除染」で土を取り除くことは、自らの歴史・誇り・尊厳を取り去ることに等しい、と。「フクシマ」が世界の注目を集める中、期待した以上の共感が得られたように思います。
今回、日本政府が『自然災害における ジェンダー平等と女性のエンパワーメント』 という決議案を出しましたが、これは放射能災害に全く触れていません。このことについては、日本のNGO参加者と政府代表団の会合の際、民意との隔たりを指摘し、遺憾表明しました。この決議には「防災、災害対応、復旧復興の全ての段階における女性の参画や、女性のニーズへの配慮」等いいことが沢山書かれていますが、東北3県の復興会議や全国各自治体の防災会議の女性委員率などを思うと、現実に女性の声は生かされていません。「日本が提案してこんな国連決議を通したんでしょ!」と、現状改善に活用する必要を感じます。
世界各国から参加したYWCAのメンバーとは、毎朝のミーティングから始まって課題を共有。私がフォーラムや並行イベントで話すときは、心から応援して支えてくれました。‘世代を超えたリーダーシップの共有’のお手本のようなチームワークに感激でした。「合意結論」案や決議案を読みこんで、提案事項を練り込む緻密な作業をしたかと思えば、KARAOKEに繰り出して歌い踊りまくるタフさ。米国YWCAによるレセプションで余った食べ物は、でっかいビニール袋に入れて持ち帰る心意気。どこへ行ってもYはY!とうれしくなりました。
(会員 雀部真理) |