2011年1月、国連改革の一環として次の女性関係4機関を統合し「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連組織:UN WOMEN」が発足した。
@国連女性の地位向上部(DAW)
1946年設置 国連女性の地位委員会事務局として、国際婦人年、国連婦人の十年、世界女性会議の開催と検討。2006年まで国連女性差別撤廃委員会事務局。
A国連女性開発基金(UNIFEM)
1976年に設立された「国連婦人の十年基金」を改称して1984年に発足。途上国の貧困女性の所得、生活向上のための資金・技術援助を行った。
B国連国際女性調査研修所(INSTRAW)
1976年設置
C国連女性の地位向上ジェンダー問題に関する事務総長特別顧問室 (OSAGI) 1997年設置 国連の他の専門機関とも連携し、ジェンダー主流化を推進した。
UN WOMENの運営のために、41カ国で構成される執行理事会(日本は理事国)が設置され、2011年6月の第1回年次会合で2011-2013年の戦略計画及び次の6つの優先分野が発表された。
1.女性の参画の拡大
2.女性の経済的エンパワーメント
3.女性に対する暴力の撤廃
4.平和・安全・人道対応における女性のリーダーシップ
5.政策・予算におけるジェンダーへの配慮
6.グローバルな規範・政策・基準の構築
事務局長に任命された元チリ大統領のミシェル・バチェレ氏は、医師・政治運動家で、保健大臣、軍事大臣の経験もある。極めて活動的で草の根の女性への配慮もあり、カリスマ的な存在。大統領退任時の支持率80%を納得させる魅力的な女性である。
UN WOMENは総職員数246名で、4機関を合わせた職員数よりは多いが、国連機関としては小規模で、資金的にも厳しい状況である。
これまで国連が進めてきた世界の女性地位向上は、YWCAのような国際NGOの活動と連携の成果である。したがって、国際NGOに期待される役割は、UN WOMENが限られた資源を効果的に使えるように、事業の計画・実施・評価など全てのプロセスでこれまで以上に、提言、連携・協力することだと考える。UN WOMENが、世界の女性の地位向上に貢献できるか否かは、NGOとの連携にかかっている。
橋本 ヒロコ (十文字学園女子大学教授・副学長、国連女性の地位委員会日本代表)
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