◆『100人村』原案者のドネラ・メドウズさんが、「幸せの5つの条件」の5番めに「伝統文化」を挙げています。 伝統文化と言うとき、例えば先住民だったらそれが自分たちの尊厳や抵抗や独立のよすがになります。よすがになる伝統文化っていうのはものすごく狭いものだったりする。だから、国全体の伝統文化とか言い出すと、それはいんちきなのね。「私、真正保守主義者よ」って言いふらしています。日本の場合はお上の言うことに間違いはない、アメリカに楯突くなんてとんでもないっていうのが保守主義みたいだけど、本来は全く逆で、自分が属しているコミュニティのためならば、いつでも国家に弓を引く覚悟があるのが保守主義者です。 だから、今だったら祝島[山口/原発立地]とか辺野古[沖縄/米軍基地移設]でやっている人が保守主義者。何よりも自分の身近なものを大切にする。伝統文化と聞いて、たとえば天皇制や日の丸・君が代を連想する人は偽物ですね。
◆伝統を強調されると、女性には不利な印象もありますが。 江戸時代、乳離れしたら子育ては男のやることだった。幕末の日本に来たヨーロッパ人たちがびっくりしていたんです。 封建主義の時代っていうのは、家業存続最優先。家業に向かない男はいつでも廃嫡[相続人としての地位を解くこと]されるから、男にとっては恐怖だった。そこに働いているのは女の意志だったりする。近代です、男が威張り始めたのは。なぜかといえば、近代は国民皆兵。兵隊になれる市民が一等市民で、なれないのは二等市民。そこで男が威張り始めた。でも男の命が軽くなったのも近代なのよ。おだてられ、羽毛のように軽く。
◆若い女性へのエールをぜひ! なんで女性だけがいまだに家庭と仕事の両立とか言ってなきゃなんないか、本当に腹立たしいですよね。今度の政権交代で例えば夫婦別姓とか、シンボル的なものからでも、早く変えなきゃいけない。男に、介護か仕事かとか悩んで欲しいですよね。 都合のいい時だけ仕事に動員しておいて、景気が悪くなったらもういらないとか、本当に私たちの世代でそういうのは終わって欲しいと思う。これは、私たちが作っている政治の問題。しっかり声をあげ、わあわあ、騒いでいきましょうよ。
インタビュー詳細
聞き手=山高万寿子(やまたか ますこ) 大阪YWCA会員暦25年。80年代に世界YWCA機関紙の翻訳に関わったことで、平和やジェンダーへの思いを深める。昨春までJICA研修監理員として世界各国からの研修員との出会いを経験。