「阪神・淡路大震災支援活動報告書」より
ビタミンI(あい)プログラム
(子どもの活動)
[「ビタミンI」の名称の意味]
ビタミンは体外からしか補給できない栄養素。人と人とが関わる中で元気の栄養素を補給し合うことと、「私(Iあい)」と「愛(あい)」両方の回復を願って名付けられた。
- プレプログラム
福池小学校子どもカーニバル(3/13 180人)
避難所内外に住む子どもたちに、遊びの場と感情を発散する機会を提供。
心のケアをサポートするためのプログラムが工夫された。
- リーダーの募集とトレーニング
子どもの心のケアに関わるための新たなボランティアを募集。
100人を超える応募のうち、書類選考と面接選考会を経て12人を決定。
リーダー会(週1回)、研修会、仕事会を実施。
- こうべキッズ・ビタミンI(あい)キャンプ
時 :5月3〜5日
所 :兵庫県立三室高原野外活動センター
共催:朝日新聞大阪厚生文化事業団
参加者総数:110人
(被災地域に住む小学生70人)
組織:キャンプディレクター 金香百合
プログラムディレクター 早坂美恵子
スーパーバイザー 西澤哲
医療班チーフ 岡田幸之
キャンプリーダー 神戸YWCA・大阪YWCAのリーダーと今回公募したリーダー
- プログラム
- 第1日目
- オリエンテーリング、インド舞踊練習
- 三室シアター{アメリカンゲーム、インド舞踊、パペットショー(テーマ/地震)、テディベアのプレゼント}
- 第2日目
- 仮面づくり、鳴物づくり、うどんパンづくり
- キャンプファイアー(地震おばけと神様をテーマに)
- 第3日目
- グループタイム
- 特に工夫したこと
- 子どもの募集に際して、第1段階では避難所を個別訪問し、より状況の厳しい子どもたちに参加してもらおうとした。しかし結果的は、避難所からの参加者は2人にとどまった。
- ヒーリング・プログラムの開発に努め、専門家やスーパーバイザーの協力のもとで、効果的なプログラムが実施された。
(例)インド舞踊、テディベア、仮面づくり、うどんづくり、など
- ボランティア希望者の多い社会的状況を考えて、ボランティアリーダーを公募し、新たにトレーニングを実施して組織づくりを行った。その結果、被災していた青年リーダー自身の癒しにもつながった。
- 保護者のためのヒーリングを考え、説明会や思い出会では専門家からの「こころのケア」に関するお話や相談の時間を設けた。
- 評価・検討
- ヒーリング・キャンプの名にふさわしい内容が準備でき、その結果、保護者のアンケートから読み取れるように、子どもの心の癒しに効果があった。
- (例)落ち着きが取り戻された
- 妹や弟にやさしくできるようになった
- 家での台所の手伝いを積極的にするようになった
- 夜尿症がなおった
- どもることが減った など
- このキャンプの準備段階から、被災地域の青年を巻き込んでいくことによって、子ども(小学生)以外の人々の癒しにも効果があった。
- 保護者会の企画でも、保護者の不安や悩みを専門家が聴くことにより、安心を与え、心の癒しに効果があった。
もちろん、キャンプ中の3日間が保護者のリフレッシュになったことはいうまでもない。
- 準備期間が短いにもかかわらず、リーダーを公募したことで主管者・事務局は大変であったが、上記の効果を考えると、そのことの労苦は報われた。
- 公募リーダーが今後も継続して被災地域の子どもの活動(月1回)を実施していくことになり、キャンプの広がりは着実に実を結んでいる。
- 1996年1月の阪神大震災1周年の時まで、子どものための活動は続けていくことになった。月例会・一泊キャンプ・一周年メモリアルプログラムなど
- こうべキッズ・ビタミンI座〈夏キャンプ〉
- ちびっこ芸人を養成し、仮設住宅を訪問・公演活動するという構想のもとにビタミンI座(いちざ)を旗あげした。
- I座のモットーは「元気、勇気、やる気、笑い、そしてまごころ」。
- 目標は、子ども達がパフォーマンスの練習を通して元気を回復することと、公演を通して被災地の大人達に元気を回復してもらうこと。
- 時 :8月18〜20日
- キャンプ地:くるみ幼稚園(西宮市/園長・大阪Y会員所佳子)
- 公演地 :王子南仮設住宅(神戸市中央区)
- 参加者 :キャンプ32人(子ども17人)、公演約110人
- こうべキッズ・ビタミンI座〈秋冬キャンプ〉
夏と同様の目標をもって、新しくI座を結成。
- 練習 10/29,11/11,11/23,12/9,1/13(くるみ幼稚園)、1/14(神戸YWCA)
- クリスマス公演 12/23 神戸平安教会(神戸市灘区)116人
12/24 御旅仮設住宅(神戸市兵庫区)64人
12/25 くるみ幼稚園(西宮市)65人
- 地震1周年追悼公演「じしんがきても、春くるもん」
1/15 神戸YWCA 110人
・特別出演/南京玉すだれ(馬場たかし)
・夏よりも長期にわたったのでリーダーの準備は大変であった。しかし、子どもたちの成長や心の癒しという点では目をみはる効果があった。加えて、リーダー自身(被災体験をもっている人も多い)の癒しと成長がはかられた。
・報道関係取材/日経新聞、NHK週間こどもニュース、NHK衛星放送、CATV
- 子どもの活動への助成団体
朝日新聞大阪厚生文化事業団、毎日新聞大阪社会事業団、NCC教育部(日本キリスト教協議会)
[こころのケア活動]|
[こどものためのプログラム]|
[被害者相談室の開設]|
[全体をふりかえって]
こころのケア・プロジェクト活動概要 目次
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