大阪YWCAは、女性のエンパワメント、子育て支援、またNGO/NPOリーダーの育成、国際交流等の社会貢献活動をしています。

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大阪YWCA機関紙(2011年2月特別号) アーカイブ一覧へ
大阪YWCAでは機関紙を年9回(4/5、12/1、8/9月が合併号)毎月1日発行しています。
抜粋して内容をご紹介します。
スペシャルインタビュー 映画監督 鎌仲ひとみ
「探検から映像へ−もう一歩踏み出してみる」
ハロハロワールドスクール ごちゃまぜを体験しよう。
私たちにできること パレスチナとつながり、平和を創り出す

スペシャルインタビュー 映画監督 鎌仲ひとみ「探検から映像へ−もう一歩踏み出してみる」

 意欲的な創作を続けておられる鎌仲ひとみさんは「自分の出会いを誰かとシェアしたい」という思いに突き動かされ、映画という旅をしてきたと語られる。その思いや、最近の作品について聞いた。
◆映画監督になられたのは?
 子ども時代、狭い田舎での暮らしに焦燥感・渇望感が強くて、外に出て世界に触れたいと。それで、大学時代は探検部でした。
◆探検部がずっと続いているんですね!
 そうそう。世界で初めてドキュメンタリー映画を作った人も探検家だったし、探検と映画というのは実は近しい。
 当時はアジアにすごく興味があって、多様な民族の暮らしや考え方が知りたくて、インドネシアとかタイとかに出かけて行った。80年代ね。アジアに出かけると、日本が何をしているか、歴史的に何をしてきたのか見えてくるのね
外から日本を見る
 当時日本がなりふり構わず、謙虚さだとか、慎み、自然への畏敬などを科学の名の下に捨てていっているときに、アジアではそういうものを大切にする人たちがいた。貧しいんだけれど、アジア的なエネルギーとか温かさが魅力的で。
 ただ行ってみたい・会って話したいみたいな、向こうにしてみれば迷惑だろうに、すごく温かく受け入れてもらって(笑)。懐が深いですよね。
◆アジアで世界を見る目の基本を養われた。
 そう。そして大学を卒業で、自分が食べていく仕事を選ばなきゃいけないというときに、映画を作りながら生きて行けたらいいな、探検もできるし、って(笑)。
他の人とシェアしたい
 個人的な出会いで終わらせず、他者とシェアしたいという欲望はありました。ほら見て見て、こんな人がいたよ、こんなことがあって…とか。伝えることで起こる化学反応というか、誰かに伝えた途端に何か違うエネルギーが生まれてくる、それがすごくいいな、と。
◆それには映像が一番?
 そうね、フィルターをかけずそのままを提示できるのが私のテイストにすごく合う。
 それであまり時間を入れ替えないようにしています。ドキュメンタリーは人とお付き合いしなければ撮れないのね。そのお付き合いが深まるにつれてその人の内面が見えてくる。そういう人間関係の中で、私と撮られる人との関係性も変化する、そのプロセスそのものを撮るんです。そして観る人に、あなたが自由に受けとめて、と投げるんですよ。
 言葉にはならない何かが残ると、観た人は自分でずっと考えなきゃいけない。そういうものが種になると思うの。観る側が自分で自分に蒔くのよね(笑)。
監督作品3部作
◆『ヒバクシャ〜世界の終わりに』はグローバルな視点ですね。
 被曝の本質に迫って、それが私にとってどういうことなのか知りたくて始めた、映画という名前の旅みたいなもの。
 放射能汚染が世界に広まって、イラクの子どもたちを救う道は閉ざされている。この絶望的な現実、命が奪われていく仕組みを知らせない限りは変わらないと思ったから、現実をシェアしようと作りました。
◆その次の『六ヶ所ラプソディー』を撮られた思いは?
 放射能汚染の根っこに、電気を使う私たちの暮らしがある。自分自身が加害者であることを見つめて、そこから変化の糸口を見出さなきゃ、と。六ヶ所村は日本全体のエネルギーにとってとても重要な場所。原発に行くのか自然エネルギーか、生物多様性を守るのか破壊するのか、その岐路に立っています。
現実の中に希望を探す
◆三部作の集大成『ミツバチの羽音と地球の回転』は…
   『ヒバクシャ』『六ヶ所村ラプソディー』に続く3本めなので、いろんな人たちの思いを引き受けて、現実の中に希望を探す旅に出ましょうかと。私がちっちゃなハチで、映画を作るという営みも鎌仲がブンブンとしているだけ。でもその映画からまたミツバチが発生していくような願いは込めてある。
 祝島(いわいしま)の島民たちもミツバチ。28年間もあそこを懸命に守って、未来の世代のために原発を止めようと生活を投げ打ってきた思いがブンブンブンと届いてきたとき、私たちはそのブンブンブンに共鳴して、繋がっていけるんじゃない?
 未来の世代のために、今の自分が何かしなきゃと思えるかどうかって、すごくおっきなことなんですよね。
国際的な経験を積む

◆国連生物多様性条約会議の際は、上関の多様性を守ろうと場外ロビー活動をされました。
 NGOの力が日本ではまだまだ弱い。世界と連帯したり世界に日本の状況をアピールしたりっていう経験が不十分で、戦略がないし、英語を話せる人が決定的に少ない。国際会議の場なのに英語の資料を作ってなかったりして。
 でもそうやって学んでいくもんだと思うんですよ。ゴールを共有し、それに向かって戦略を作っていくことを。

人生のスキルアップ

若い人へのアドバイスを 
  会社の中の人間関係だけだととっても限定的。遊ぶ友達だけだとまたそこも限定的。世界が狭いというか。 社会に参加するプラットフォームとして、環境団体とかいろんなところがある。そこに行くと、自分とまったく違う生き方をしている人や逆に似たような考えを持った人が、なんかすごく思い切ったことをやっていたりして、人生を豊かにしてくれる。
 絶対、人生のスキルアップにつながると思うなぁ。

(聞き手:山高万寿子編集委員)
鎌仲ひとみ(かまなか ひとみ)
  映像作家。環境、エネルギーなどマスメディアが扱わないテーマを追求し、ドキュメンタリー映画を市民に自主上映してもらう方法で作品を届けている。映画の枠を超えて現実とつながるスタイルを志向中。

聞き手=山高万寿子(やまたか ますこ)
 大阪YWCA会員暦25年。80年代に世界YWCA機関紙の翻訳に関わったことで、平和やジェンダーへの思いを深める。昨春までJICA研修監理員として世界各国からの研修員との出会いを経験。

ハロハロワールドスクール ごちゃまぜを体験しよう。

 大阪YWCAのさまざまな活動の一つ、国際部のハロハロワールドスクール(以下、ハロハロ)には、「国際」というキーワードに興味のある個性豊かな若者たち=ボランティアリーダーが集っています。
 実際どのように活動が行われているのでしょうか?現場に潜入&押しかけインタビュー!(編集部)
ミーティングが肝心
 とある平日の夜、梅田にある大阪YWCAの一室にリーダーたちが集まり、ミーティングを行っています。プログラム本番までに、何度も話し合いを重ね、内容を具体化していくのです。
 どのプログラムにおいても、「子どもたちに伝えたいことは何か」をまずは共有し、どうやったら面白いと感じてもらえる内容になるか、アイデアを出し合います。和気あいあいと、時には議論を白熱させながら、いろんな意見や思いを紡いで、混ぜて、かたちにしていく・・・それは、世界の課題を自分たちの身近な問題に捉え直していく作業でもあるようです。ミーティングを通して積み重ねる学び、そしてリーダーのチームワークが、ハロハロの肝なのです。リーダーが皆ミーティングの大切さ・醍醐味を語るのにも納得です。
本番、子どもたちと共に
 2010年度秋プログラムは、年一回のお泊りキャンプとして吹田市自然体験交流センターで開催。テーマは「私とつながる!地球をめぐるお金の旅」。オリジナル版『貿易ゲーム』※をハロハロ流にアレンジしたゲームにもチャレンジしました。
 リーダーは、プログラムを進める人、子どもの傍で寄り添いながら一緒にプログラムに参加する人など、各々の役割の中で持ち味を発揮。中国帰国者の子どもや南米にルーツを持つ子どもたちの参加があり、アメリカ人のゲストも迎え、まさにハロハロが大事にしている多様な人との出会いの場が生み出されていました。何よりも、子どもたちの楽しそうな顔・顔!その様子を見ながら、または子どもと一緒に走り回りながら、うれしそうにしているリーダーたちの姿も印象的でした。ハロハロで体験する楽しい出会いや自分発の学びは、子どもにとっても、リーダーにとっても、ちがいを認め合い、平和な社会を築いていくためのチカラになるはずです。
 そして全てのプログラム終了後、リーダーは即うちあげに!と思いきや・・・しばらくお預け。荷物の片付けと、ふりかえりのミーティングを行うべく、颯爽とYWCAの会館に戻っていきました。おつかれさまです!

※ 貿易ゲームとは
 貿易の疑似体験ゲームを通じて、世界経済の格差やその構造について体感し、自分の暮らしとのつながりに気づく参加型ワークショップ
リーダーに聞きました
 ハロハロで活躍するボランティアリーダーの1人、大阪YWCAの日本語学校で学ぶ留学生の黄立安(コウタツヤス)さん(台湾)にお話を伺ってみました。
◆台湾でのボランティア経験は?
 大学のクラブに入って、中学生の支援をしていました。生活相談や宿題、遊びなど。
なぜハロハロのリーダーをやろうと?
 日本に来て初めの頃は暇だったので、何かしたいと思って先生に聞いたらボランティア活動を紹介された。
ハロハロの魅力は?
 全体的におもしろい。リーダーたちと相談して、一緒に何かしたり、活動計画をしたり、子どもと遊んだり。熱い雰囲気も。みんなの笑顔を見ることが楽しい。
続けてみてどうですか?
 ハロハロは最初から最後までできる活動。ゼロから考えるところから最後までやること。一番勉強できる。日本人のリーダーと交流しているうちに日本のことを知ることができた。
 ハロハロでは一緒に何かをつくる雰囲気がいい。考え方、計画の立て方。立てるうちにみんなが仲良くなる。ハロハロの一番いいところ!
(インタビュー/文責 編集部)

私たちにできること パレスチナとつながり、平和を創り出す

 YWCAでは、世界費広がるネットワークを活かし、『オリーブの木キャンペーン』を展開しています。出口の見えないイスラエルによる占領下で、パレスチナでは10万本以上のオリーブの木がイスラエル軍に破壊されました。根こそぎにされたその場所に再び苗木を植え、生きる希望を紡ぐキャンペーンです。
 大阪YWCAにはボランティアが運営する「パレスチナグループ」があります。パレスチナの人々とつながりたいと、子どもたちと文通計画を進めています。他にも、パレスチナに関する勉強会や講演会の開催、情報発信のためのかわら版の発行等、自分たちの足元からできる活動が特色です。世界とのつながりを大切にしながら、私たちの暮らす日常の中で、平和を創り出すための活動を続けています。
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