ウラン採掘地であるインド東部・ジャドゴダでは、住民にガン、白血病、流産や先天異常が多発している。巨頭症であったり、はにかみながらそっと出した手が少指・多指であったり、目が片方しかなく自分で立つこともできない子どもたち・・・。穏やかな物言えぬ被害者たちは、死の陰に坐している。 イラクのバグダッドとバスラでは、劣化ウラン弾※によると見られるガン、白血病、肝臓・腎臓障がい、腫瘍、先天障がいが多発している。 2カ月前までは元気だったのにと母親が訴える5歳の男の子は、顔も目も腫れ上がり高熱にじっと耐えている。何十年も苦労した老人のような顔の幼児、水頭症の子や腹水が溜まり高熱に苦しんでいる子ども、頭髪が抜けていたり、小児白血病の子どもたちが病院にあふれている。先天的障がいで生まれ、短時間で死んでいく子どもたちも多いと聞く。 子どもたちの遺体が1日に数体運び込まれるバスラの子ども墓地では、放射能で未来を奪われた世界を見た思いがした。 日本YWCAは70年の全国総会で、「核」否定の思想に立つことを決議し、原子力発電を含むあらゆる「核」に反対し、「核」を生み出した現代文明の質を問い続けている。07年の世界YWCA総会では、日本YWCAが提案した「劣化ウランの脅威」の勧告決議が採択された。ベルギーでは「劣化ウラン兵器禁止法」が可決され、コスタリカでも検討中。国連でも、関係諸機関が劣化ウラン弾影響を行い、国連総会に報告することになっている。125カ国2500万人の世界YWCA会員のネットワークで、劣化ウラン弾廃絶に向けて運動を強めたいものだ。 10年はNPT(核拡散防止条約)再検討会議の年である。日豪両政府の提唱による有識者会議「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」(ICNND)に意見を届けるための「ICNND日本NGO・市民連絡会」に日本YWCAも加わっている。しかし、何より私達は、被爆国として日本国憲法の「平和主義」を順守するためにも、核先制攻撃容認をやめ、アメリカの「核の傘」から脱却し核抑止力に頼らないという方針転換と、北東アジアの非核地帯を拡大すること、そして「核兵器禁止条約」の制定をめざすことを、日本政府に訴えていく必要がある。 ※原発の核燃料や核兵器の生産による、ウラン濃縮過程で生まれる「劣化ウラン」を使用した放射能兵器
立春を過ぎたとはいえまだ寒風の舞う2月5日の朝、韓国・春川YWCAから職員10人をシャロン千里に迎えた。迎えたのは、千里委員会を中心とする大阪Yのホスピタリティ溢れる会員・職員16人とパネルのヨン様。まずお抹茶と和菓子で日本を味わっていただいた後、おやこひろば、聖書を読む会などの活動見学、ディサービスやケアハウスの施設見学を行った。美しく飾られたお雛様や、食堂に貼られた職員の顔写真など全てに興味津々の様子。ケアハウスの昼食と会員手作りのケーキを一緒に美味しくいただいた後、次の訪問地有馬温泉へと旅だって行かれた。3時間足らずの短いひとときであったが、春川という韓国の地がまたひとつ近くなり、いつか訪問したい場所のひとつに加わった。