「やったぁ!出来たぁ・・・」というような感激はなかった(あると思ったのに)。2004年の秋からはじめたピースタペストリー作りは、最後まであれがない、これが足りないとドタバタしたなか出来上がった。
9条改憲の流れの中、9条の大切さを何かの形でアピールしたいと、ただそれだけで出発したタペストリーの製作。参考にするものは月刊誌の折込になっていた、伊藤若冲の「鳥獣花木屏風」の一部分、今では展覧会などで結構有名になってしまった江戸時代の画家の作品である。月に一度会員ルームに集り、あーでもない、こーでもないと喧々諤々の議論(?)をしながら5年間も費やしてしまった。しかし色を求めて京都の市(いち)に布を探しに出かけたりと楽しいおまけも沢山ついた。主に5〜6名で作業を進めたが一辺が3cm四方のピースを7500枚余りつぎ合わせる作業は多くの人に支えられた。これは目的を同じくする会員が集っている団体の強みでもある。
武力と武力の衝突はあらゆる物を壊し、人をも壊してしまう。そこから生まれるものは報復の恨みだけ。特に弱い立場の人たちはなすすべもなく権力の犠牲になっている。憲法9条もその権力の横暴な行使によって国民投票という法律で変えさせられようとしている。政権が代わったとはいえ、9条を変えさせないために、また国民投票法を使わせないためにも9条の大切さ、投票法のいいかげんさを広めたいとの思いが詰まったタペストリーです。
古い着物地で作ったタペストリーは素敵です。伊藤若冲の多くの作品も古さを感じさせません。そして9条の文言はもっと素敵です。少しも古くありません。超未来的でさえあります。
私達はこのタペストリーを大切にしまっておくつもりはありません。集会などの折に使っていただけたらと思います。 |