りさーら

(大阪YWCA国際部パレスチナグループ発行ニューズレター)

第10号 2003年5月発行


<目 次>

パレスチナと日本との往復書簡 〜その2〜

私とパレスチナ

パレスチナグループ定例会報告


パレスチナと日本との往復書簡 〜その2〜


パレスチナYWCA ナーヒドさん から
大阪YWCA国際部 パレスチナグループ へ

親愛なるパレスチナグループの皆様へ
 まず、今日のパレスチナ問題についてお話します。これは、約100年前に始まりました。その時からユダヤ人はパレスチナに移住し始め、定住するようになりました。そして、ユダヤ人たちは自分たちの土地を確実に広げていきました。パレスチナの人々が自分達の置かれている状況に気付き立ち上った時にはもう遅すぎました。イスラエル国家はどんどん強力になって、至る所でイスラエル軍による虐殺が起きるようになっていたのです。そして、そこに住んでいたほとんどのパレスチナ人は他国に逃げるよりほか、なくなってしまったのです。しかし、それでも一部のパレスチナ人はイスラエルに留まりました。その人達を"the Parestinian of the 48"と呼ばれています。くしくも私はそのひとりです。
 イスラエルに住むユダヤ人とパレスチナ人が共存できるかというあなた方からの質問ですが、彼らが私達に対してやってきたことは許せません。イスラエルは土地だけでなく私達がかつて持っていた文化をも奪い去り、私の村に住んでいた約3000人の人々をも追い出しました。私達は今あらたに自分たちの権利をどのように守るか考えなければならない時期に直面しています。 そこで私からあなた方への質問です。もしあなた方が私達と同じ立場にいたらどうしますか?どのように自分たちの権利を取り返し、自分たちの誇りを守りますか? 
 イスラエルのメディアは、パレスチナの人々に対しての軍事行動など政府をバックアップするように組織されており、それはアメリカのCNNも同様です。アラブのメディアはそうではありませんが、充分な影響力を持ちません。イスラエルにも私達の権利を理解し助けようとしてくれる人達はいますが、パレスチナYWCAをサポートしてくれるわけではありません。今、状況は更に悪くなる一方で、人々は仕事に行くことも、食料を買いに行くことさえもできずにいます。子どもたちは食が満たされないため、他のことを考える余裕がありません。そして、将来を考えることもできないのです。冗談だと思いになるかもしれませんが、ガザ地区にあるキャンプに住む親たちは、政府に商人達が出入りするのをやめさせるよう呼びかけました。子ども達がこれ以上目の前にあるにもかかわらず、食べられないという思いをしないようにです。私はこのような悲しい状態を今まで目の当たりにしたことがありません。
 あなた方からの質問にあったパレスチナとイスラエルを区切る壁(ウエストバンク)の建設についてですが、中断すると布告したにも関わらず工事は今でも続いています。彼らはアメリカのサポートがある限りやめないでしょう。
「侵略」は私達が行おうとする全ての権利を侵害します。そして、人々をとても疲労させ、苛立ちを起こさせると同時に絶望へと導きます。この問題は他国の干渉がなければ終わることができないのです。紛争の傷を癒すのには最低4世代もの歳月が必要でしょう。どうかこの話を聞いて動揺しないでください。しかし、これが私たちの日常における現実だということも忘れずにいてほしいのです。
 とても長い手紙になってしまいました。あなた方はこの長い手紙にさぞ驚かれたことでしょう。しかし、次々と思いが溢れてペンを止めることができなかったのです。この手紙が私の怒りや苛立ちを吐き出す事ができる唯一の場所なのです。

全ての人々の健康と幸せを願って
ナーヒド

(この手紙は2002年7月に頂いたものです)


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私とパレスチナ

 僕がパレスチナ問題にこだわるのはただ関心を持つというだけではありません。【戦争と平和】という問題について専門家ではない自分達が身近な問題として意識を持ち続ける事が必要と考えるからです。
 パレスチナからは程遠い日本にいる僕たちに出来る事は限られています。ある専門家がいっていました。『平和を本当に願うのなら、ただ平和を叫ぶのではなく、戦争という現実に目を背けずに向き合わなければならない。』小さなことでもその積み重ねがやがて社会を変えていく力になることを信じてこれからも活動していきます。
(パレスチナグループメンバー)


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パレスチナグループ定例会報告

私たちパレスチナグループは2ヶ月に1度のペースで学習会などの定例会を行っています。

【2002年11月定例会・11月15日(金)】
 11月定例会では、ゲストに聖ステパノ教会牧師の小林聡さんをお招きして、6月にパレスチナを訪れた際の貴重な話を聞きました。
 小林さんは、憎しみや暴力は誰の身近にもある問題で、そのような自分達の心の有りようがパレスチナで起こっている対立や紛争につながっているのだと思う、と話されていました。一緒にパレスチナを訪問した日本人グループの1人が、パレスチナ人に対する非人道的な扱いや破壊の有りようを目の当たりにして、イスラエル人を「あいつら」と呼び始める。その気持ちは十分に理解しえるが、それでは憎しみと対立の悪循環にわが身をも置いてしまっているのでは・・、ともおっしゃられていました。
 パレスチナ問題には政治的な解決が必要ですが、私達の日頃の心の有りようから、平和のためにできる小さな一歩を探せると良いですね。

【2003年1月定例会・1月22日(水)】 
 1月は、国際連帯運動「ISM」を通してパレスチナで活動している清末愛砂さんをお招きして、定例会を行いました。
 ISMは、パレスチナで現地の住民とイスラエル兵との仲介役をしながら、パレスチナの人々の権利を支援しています。非暴力・直接行動という抵抗手段をもって立ち向かい挑んでいます。イスラエル人とトラブルが起こったときには、瞬時に状況判断し行動しなければならす、それが出来るようにトレーニングも義務付けられています。
 報告では、イスラエル兵が戦車で子どもを追い掛け回したり、夜中に突然やって来て有無も言わさず家族に立ち退きを迫り家を破壊するということ、検問でイスラエル兵が通してくれず、その場で出産をしたというパレスチナ人の話などを伺いました。
 そのような中で、特に印象的だったことは、「たとえ家や建物を破壊されても、また一から建て直す事が私たちの抵抗だ」といっていたパレスチナの人々の言葉でした。


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パレスチナってなんだか難しい問題で、自分には手におえないって思っている人、多いと思います。でも、手におえない問題だからって見てみないふりをしていていいのでしょうか。私たちのグループも中東問題について格別詳しい訳ではありません。でも、こんな私たちにでもできることがあります。 それは事実を正確に見ること、色眼鏡かけずに現実を直視すること、そうすれば何かが見えてくるはずです。見えてきたら、感じたこと少しだけつぶやいてみてください。そう、少しでいいから口に出してみてください。私たちは自分が思うほど無力ではないのです。小さな声を少しでも大きくしてみませんか。私たちはあなたの参加をお待ちしています。興味ある方はぜひメールを。3月か4月に定例会も予定しています。
大阪YWCA 国際部パレスチナグループ membership@osaka.ywca.or.jp


発行:大阪YWCA国際部パレスチナグループ

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