大阪YWCA会報(大阪版)

2006年11月号(抜粋)


<目 次>

[一面]
「平和を創る発想転換」
 奥本 京子(トランセンド研究会事務局、大阪女学院大学准教授)

[二面][三面]
YWの窓
 「初めてのフィリピン」

男の目
 「高齢者介護相談の1コマ1コマ」

[四面]
「祝・大阪YWCA 釜山YWCA姉妹提携」

平和を創る発想転換

「平和を実現する」ことを目標に活動するYWCA。
言うは易く、行なうは難しい、永遠の課題とでも言うべきこのテーマに学問的に取り組んでいる筆者に、
新しい発想法について寄稿して頂いた。

 平和を創るために、紛争転換という方法があります。双方の対立の妥協点を調整するのではなく、対立や矛盾から飛躍して新しい創造的な解決法を探し出すという方法なので、「超越法」 (Transcend Method)とよんでいます。超越法では何が必要かというと、「対話」です。紛争の当事者がどのような目標をもっているかを聞き出します。相手の気持ちを理解すること、すなわち「共感」が大切です。しかし、「共感」は、自分も相手と同じ意見になり感情移入する「同情」ではありません。
 紛争転換のための超越法で重視するのは、
  A(態度)における「共感」
  B(行動)における「非暴力」
  C(対立)における「創造性」
の3つですが、特に「共感」について考えてみようと思います。
 共感するというのは、相手の都合に耳を傾けることです。自らの意見も大事ですが、まずは、当事者である他者の意見や気持ちを聞きます。そして徐々に、自分も意見や気持ちを開示するのです。ですから、「対話は足し算」です。お互いに足しあっていくのです。こういうことができるようになるためには、トレーニングが必要です。
 平和ワー カーとして紛争当事国と対話をし、活躍できる人材を養成することも大切です。「トランセンド」(www.transcend.org)という国際NGOは、各種プログラムを企画・立案・実践・訓練し、外交官や国連職員や国際NGOの人々など、実際に紛争を調停する役割を担う人 々のトレーニングも行っています。日本では、トランセンド研究会 (www.transcendjapan.org)が活動しています。
 平和ワーカーの知識と技能は、第3者の紛争に介入して転換するためだけのものではありません。自分自身が、日常の紛争に巻き込まれたり、当事者になったりしたときにも役立つ方法なのです。対立する相手方の目標を理解し、共感することも、訓練によって上達します。共感、非暴力、創造性という3つの能力を身につけるために、紛争転換トレーニングは有効なのです。
 この秋、大阪YWCAでは平和のためのワークショップが予定されています。興味のある方はぜひご参加ください。

奥本京子(おくもときょうこ、トランセンド研究会事務局、大阪女学院大学准教授)

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YWの窓
「初めてのフィリピン」

 今年の夏、大阪YWCAの人たちとフィリピンのセブ島へ行ってきた。旅の目的は、現地で住んでいる友達(DEGRA卒業生)に会うため、また彼がボランティアをしているNGOの現場を訪問するためだった。
 アジア初心者で元来潔癖症、お腹をこわしやすい、という私にとって今回の旅は、期待と不安が入り混じっていた。
 しかしNGOのスタッフに案内をしてもらい、現地で住んでいる人たちの現状を見ていくにつれて、当初感じていた私の不安など忘れてしまうほど、衝撃的な現実がそこにはあった。高速道路ができたため潮の流れが変わり以前のように漁業ができなくなった村、潮の流れが変わったことで無数のゴミが流れ着いてしまっていた海岸、津波で被害にあった海沿いの家々の中で病院にも行けず病気に苦しむ老人の姿、元「ジャパゆきさん」の話。日本が間接的に関係している出来事もあるものの、なかなか日本には入ってこない現状。そしてその厳しい環境の中でお互い助け合いながら、たくましく生きている人々に出会い、豊かな心を持っている人たちだと感じた。今回の旅で、自分の周りに溢れている情報だけを現実と思うのではなく、実際に自分の目で見て、自分なりに何かを感じること、またそれをたくさんの人に伝えていくことの大切さに気付いた。
 出発前には予想していなかったことだが、またフィリピンへ行きたいと思っている。そして他の地域へも行ってみたい。色々な国へ行き、見られる限りのたくさんの現実をこの目で見たい。今回のメンバーのように、同じような志を持った人たちと。
(会員)

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男の目
「高齢者介護相談の1コマ1コマ」

 全てがそうではないけれど・・・、おじいちゃんのつぶやきは、「妻が作ってくれた料理じゃないと食べられない」「一戸建購入が決まっていたのに妻が亡くなって自暴自棄になり資金全部放蕩して使い果たしてしまった」「仏壇の妻と一緒に朝ご飯を食べないと一日が始まらない」。
 おばあちゃんの日常は、「この団地のこの階と上の階(約20世帯)は、全部おばあちゃんの一人暮らしなのよ」と訪問したお宅の中に招き入れお茶を入れてくれたのは隣家のおばあちゃん。何人か集まって話をする。はてこのお宅の主はどなた?と思う。みな我が家のように行き来して、施設や趣味の催しも連れもって飛び回る。
 若い時は未来の夢を、老いては来し方に想い馳せる「今以外を生きる」のが男性なら、現状をあるがままに受け入れ「常に今を謳歌する」のが女性なのかもしれない。と哲学してしまう今日この頃です。
(シャロン千里在宅介護支援センター相談員)

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新しい歴史の1ページ
「祝・大阪YWCA 釜山YWCA姉妹提携」 2006.10.17

〜韓国YWCA訪問・交流の旅報告〜

韓国・釜山YWCAと姉妹提携を、と話し合われてから丸2年、ようやくその時がやってきた。
ちょうど今年は釜山YWCA創立60周年の記念すべき年、そのお祝いの宴の中で姉妹提携式が執り行われた。
(大阪YWCAからは会長、副会長をはじめ会員・職員12人が参列)

 釜山YWCA60周年記念式は、ロッテホテルを会場に八百余人のお客様を集めて厳粛に、また晴れやかに執り行われた。合唱団の清らかな讃美の歌声で始まった記念礼拝の後、釜山Y会長の挨拶、大韓YWCA連合会会長の激励の言葉、市議会議長や商工会議所会頭ら各界名士の祝辞と続き、いよいよ釜山・大阪YWCA両会長による姉妹結縁状の調印・交換が行われ、関係者一同、喜びに包まれた。辻加代会長は、挨拶の中で「政治レベルでの未解決の課題も多くある今日、だからこそ顔の見える関係の中で共通の課題解決に向けて協働プログラムの展開を願う」と述べられた。
 続く晩餐会では、地域Y会長らによるケーキカットが行われ、乾杯!乾杯!(ただしグラスの中身は‘水’)とお祝いムード満点。続いて人気歌手による『後援の夕べ音楽会』が開催され、ヒット曲『マンナム(出会い)』の大合唱でお開きとなった。10年前に姉妹提携を結んだテジョンYWCAや5月に来訪されたアンドンYWCAの方たちとのうれしい再会もあり、YWCAに連なる喜びを実感する思い出深い一夜となった。
 釜山YWCAは、成人会員7千人、青少年3百人、年間プログラム参加者60万人の大きな会で、本館のほかに託児所、女性能力開発センターと2つの社会福祉館を運営している。青少年育成、女性の社会教育と職業教育、高齢者と子どもの福祉などに取り組んでいるが、特に力を入れているのは、“いのちを愛する共同体”運動で、その一環として生活協同組合を持っている。本館の地下には組合のショップがあり、有機農法で作られた産地直送の野菜・果物をはじめ安全でおいしい食べ物が売られている。また、北韓離脱者の支援活動も行っている。活動の広さと確かさに圧倒される。
 韓国YWCAは、この三年間「いのちの風、この世を生かす女性」の文言を掲げて活動する。シンボルは『たんぽぽ』。野原に咲くタンポポの種子のように、風に乗って散らされ、置かれたその場所で一人一人が新しいいのちの花を咲かせる、なんと優しく、そして生命愛に満ちた力強いイメージだろう。多くの出会いと気づきを与えられた旅となった。
(プロジェクト長)

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