大阪YWCA会報(大阪版)

2006年10月号(抜粋)


<目 次>

[一面]
「これからの支援−『犯罪被害者等基本法』の成立を受けて」
 楠本 節子(大阪被害者支援アドボカシーセンター事務局長)

[二面][三面]
YWの窓
 「遠くて近い ジョクジャカルタ」

男の目
 「恋愛」と「点字」

[四面]
ボランティア・社会貢献活動報告
 「千里プログラム」配食サービス、いこいの集い

専門学校あれこれ
 「ランゲージコース」


「これからの支援」

「犯罪被害者等基本法」の成立を受けて

 思いもかけない理不尽な犯罪の被害によって、自身や大切な家族が傷つき、安全で信頼できると思っていた社会や人への不信感が生じる。そんな折、安心して相談でき、早期の支援や様々な情報を得ることができれば、回復への手がかりを得るきっかけになると言われている。
 当センターは、1996年に大阪YWCAの活動の一環として犯罪・事故・災害の被害者のための「大阪被害者相談室」として開設されたが、2002年にはNPO法人格を取得「大阪被害者支援アドボカシーセンター」として独立し、今年で10年を迎える。
 実際の活動は、電話相談(月〜金 10:00〜16:00)、面接相談、直接的支援(裁判所、検察庁、病院などへの付添い等)、自助グループの支援、啓発活動(講演会の開催など)、広報活動(ニュースレター発行等)などを行っている。
 2004年12月「犯罪被害者等基本法」が成立した。この法律によって、それまで認められていなかった犯罪被害者の法的権利がようやく明文化された。その後決定された「犯罪被害者等基本計画」の中では、基本方針として@尊厳にふさわしい処遇を保障することA個々の事情に応じて支援が適切に行われることB必要な支援等が途切れることなく行われることC国民の総意を形成しながら展開されること、また5つの重点課題として、(1)損害回復・経済的支援への取組(2)精神的・身体的被害の回復・防止への取組(3)刑事手続きへの関与拡充への取組(4)支援等のための体制整備への取組(5)国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組、があげられている。具体的には258の施策が盛り込まれており、その実現のために国の行政機関や関係諸機関が連携・協力して取り組んでいくこととなった。
 法律の成立により、私たち民間被害者支援組織の重要性や社会的な責任は益々大きくなってきている。今後も被害者のニーズにこたえて、適切で充実した支援を行っていきたい。

楠本節子(くすもとせつこ 大阪被害者支援アドボカシーセンター事務局長)

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YWの窓
「遠くて近い ジョクジャカルタ」

  ジャワ島中部地震発生の朝、ジョクジャカルタ市に留学中で神戸出身の学生から息子に 電話があった。「阪神大震災と同じだ」、事態の深刻さが伝ってきた。一瞬、阪神淡路大震災の直後に大阪Yメンバーと被災地を訪問した記憶が鮮明によみがえった。
 わが家にとってジョクジャカルタは息子のパートナーのふるさと。結婚後日本に住んで6年。2歳になった長男の子育てと舞踊家としての仕事の両輪で頑張っている。その彼女が地震直後に単身で里帰りをした。余震や大雨の情報もあり、無事を願わずにはおれなかった。
 1ヵ月後ジャワ島に行った息子たちは、芸術家の恩師たちの住む村が壊滅的な打撃を受け、打楽器の合奏音楽ガムランの楽器や舞踊の衣装が、瓦礫に埋まってしまったことを知った。 しかし、失意の中にも芸術家たちが様々な角度からこどもたちのトラウマケアの活動を始めたという。継続的支援をする。芸術面の支援は、物資、医療、教育と同じく緊急に必要な「人道支援」であって「芸術は心の薬」であることを確信したと関係者はいう。
 私は高齢者ケア現場で「癒しと安らぎの環境づくりにとって芸術は不可欠」だと常々思っている。 絵、音楽、踊りは人々によろこびと希望を与える最高のものではないだろうか。
 息子夫婦のかかわるジャワ島芸術面復興支援の、外野として応援していこう。
(シャロン千里 シルバーハウジング生活援助員)

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男の目
「恋愛」と「点字」

 私は68才。YWCA点字子ども図書室所属のボランティアである。ある新聞に「50代から始める7つの習慣−これを守れば認知症は予防出来る」という記事があった。その一つに「恋愛をする」というのがあり、解説を読むと「別に不倫を奨励ではなく、積極的にコミュニティの会合に参加して気に入った異性を見つけよう。そうすればおしゃれにも気を遣い、会話の話題にも注意をし、ニュースや流行などに敏感になる。ときめきが脳への刺激になるなど良いことずくめ」とあった。
 点字子ども図書室のメンバーは総勢約50名であるが、男性は2名しか居ない。もう一人の男性は、ここが「YMCA」だと思って参加してそのまま定着。私たちの回りは若い人から素敵に人生の年輪を重ねられた方まで素晴らしい女性ばかりである。この記事が言う「恋愛」の対象には事欠かない。また、点字の読み書きに習熟することは、脳に対する最高の活性化の手段でもある。
 生来怠け者の私は、能力向上の歩みは緩慢であるが、今や「点字」は生き甲斐になり、それに加えるに「恋愛」である。最近急になんだか若返ってきたような気がする(妻は錯覚だとばっさり切り捨てるが)。皆さん、点字子ども図書室で「点字・点訳」と「恋愛」を両立させるというのはいかが?
(点字子ども図書室)

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ボランティア・社会貢献活動報告
「千里プログラム」

配食サービス
 配食サービスが始まって早や十年が過ぎた。無事故でこられたのはボランティア達の心意気を示すもの。主婦業の延長とはいえ頭も体力もいる仕事だが「お弁当の日が楽しみなの」、この言葉には喜びを飛び越えて未だ余りあるものを感じている。
 昨今の人の死につながる事件の殆どに安全管理の甘さが指摘されるなかで、「今迄は大丈夫だったから」という経験による判断の危うさがある。この事は私共も心すべき事と思う。8月8日に行われた配食衛生講習会で学んだ事と合わせてこれからも安全なお弁当を提供していきたい。
(K.M)

いこいの集い
 月1回地域の一人暮らしの方との昼食会を開いています。阪神淡路大震災(1月)の年、3月に高齢者昼食会としてスタートしました。今日では常時35名前後の地域の方々が参加されます。Yの豊富な人脈を介してすてきなプログラムゲストを迎え楽しい時を過ごし、キッチンボランティアの方々の協力で心のこもった美味しいお食事をいただきます。和やかにそしてにぎやかに語り合いながらのひとときは心身共に満たされています。ゲスト、キッチン、プログラム企画などのボランティアに支えられています。今月も元気な笑顔を、新しい笑顔を待っています。
(K.K)

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専門学校あれこれ
ランゲージコース「リズムで英語〜マザーグースを通して〜」

 大阪府・大阪市教育委員会教職員自主研修支援「大学等オ-プン講座」の一環として7月28日に実施。定員いっぱいの15名が参加した。

 「マザーグース」とは、イギリスの伝承童謡です。日本では「マザーグース」と言われていますが、イギリスでは「ナーサリー・ライム(幼児の押韻詩)」と呼ばれています。マザーグースは、遊び歌や子守歌だけではなく、なぞなぞや早口言葉、ナンセンス詩、風刺詩、男と女の心の動きをうたったものなど、その数は七百とも千ともいわれています。
 英語の強弱のリズムを体感し、押韻の面白さを楽しんだ後、「Pease Porridge Hot(豆がゆ熱い)」で手合わせ遊びに挑戦。輪になって楽しく遊ぶ「Ring-a-Ring o’Roses(バラの輪作ろう)」に、実は十七世紀半ばのペストの流行をうたったもの、という説があることを学びました。ロンドンにある教会の鐘の音のやり取りをうたった「Oranges and Lemons(オレンジとレモン)」でアーチゲームをした後、オレンジ組とレモン組に分かれて引っ張りっこをして、大いに盛り上がりました。
 参加者からは「マザーグースの広い世界を知ることができました。」「子どもたちとともに遊び、英語に親しむ時間を持ちたいと思います。」「子どもたちが初めて英語にふれるときに楽しく学べるので、ぜひ授業で遣いたいです。」という感想をいただきました。今回の講座の手応えを次回に繋ぎたいと思っています。
(講師)

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