大阪YWCA会報(大阪版)

2006年8・9月号(抜粋)


<目 次>

[一面]
「私達の針路が問われる「沖縄」」
 大城 美代子(沖縄YWCA 会長)

[二面][三面]
YWの窓
 「介護保険制度が今年4月に改正」

男の目
 「男でも甘いものが好きなんです」

[四面]
専門学校あれこれ
 「子どもと子どもの本の講座」

「私達の針路が問われる「沖縄」」

 「在沖米軍基地再編は沖縄の負担軽減」どころか、負担増です。今回の再編による辺野古への新基地は、1966年の米軍が計画していた案が元になっており、場所も形も酷似しています。人口密集地にあり古くなった基地を、最新鋭で、かつ人目につきにくい場所に建設し、費用も日本が負担するという、米軍に至れり尽くせりの計画です。しかも、これまでは米軍専用であった基地を自衛隊が共同使用するという。まさに要塞化でしかありません。

 戦後61年、基地返還・縮小を訴え闘っているのに、なぜ、実現できなのでしょうか。それは、日本国民の多くのが「無関心」で「他人事」としているからです。基地問題は沖縄問題ではなく「日本の針路」そのものが問われているのです。
 沖縄戦体験者は「戦争するんですよ。私たちには分かります。当時と同じですから」といわれます。今、大阪地裁で係争中の裁判は、まさにそのことを示しています。元軍人と遺族らが、渡嘉敷島と座間味島の「集団自決(強制集団死)」の記述をめぐり、岩波書店と大江健三郎さんを訴えています。原告は、皇民化教育や軍国主義思想の強制等を一切不問にし、日本軍による住民虐殺を否定しています。住民は国を愛する崇高な思いで自発的に死んだのであって、軍の命令による強制はなかったとしています。「軍隊は住民を守らない」という沖縄の常識を覆し「日本軍の名誉回復」を計りたい旨です。
 原告は直接の命令を争点にしていますが、戦場ではすべては軍の統制化にあり、民政はありません。直接の命令を誰がしたのかを問うだけでは、真実は見えなくなります。当時は「上官の命令は天皇陛下の命令」という時代でしたから。軍の方針「軍民一体共生共死」が住民に強制されていたのです。第5回口頭弁論は9月1日に予定されています。裁判所を取り囲むほどの人々が、駆けつけてくださいますよう、関西在住の方にお願いいたします。

大城 美代子(沖縄YWCA)

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YWの窓
「介護保険制度が今年4月に改正」

 2000年4月に施行された介護保険制度が今年4月に改正されました。
 個々の家族が担っていた介護を「保険」という形で社会全体が支えるという制度は、この5年で高齢者の生活を大きく変えたと思います。
株式会社を含む多様な事業所が介護サービスを提供し、需要拡大に応じてきました。しかし、想像以上のスピードで膨らんできた需要は、財政面で制度自体を圧迫しています。それが今回の改正の大きなポイントです。
 さらに制度改正のキーワードに「予防」があります。予防することにより、要介護状態になる事を少しでも遅らせる事を目標にしており、介護サービスを受ける機会が減れば財政面でも制度維持が可能になるということです。
もちろん高齢者自身が一番要介護状態になりたくないと思っているのです。しかし、予防につながるといって、誰もが筋力トレーニングを望んでいるわけではありません。その人らしい予防プランが必要です。
 高齢者は、楽をしようとして介護保険を利用しているわけではありません。社会に参加し、日常生活を続ける為に権利として利用しているのです。誰もが自分らしい生活を全うするためには、介護保険制度をよりよく存続させる努力が必要です。現行の制度の不備に声を上げながら、次の改正に向けて、今から目を光らせておきましょう。
(シャロン千里ケアマネージャー)

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男の目
「男でも甘いものが好きなんです」

 少し前、TVでこんな報道を見ました。「コンビニでデザートを買う男性の割合が高くなってきている」というものです。言われてみれば、確かにデザートコーナーで佇む男性を以前より見かけるようになった気がします。
 かく言う私も、実は無類の甘い物好き。月に一度はケーキを食べる程です。さて、そんな私も自分で驚く&恥ずかしい出来事がありました。ちょっとお洒落なパン屋さんでのこと。「あれもいいな、これもいいな・・・。」、と悩んでいると店員さんがオススメを教えてくれたのです。
 まあ、ここまではどこにでもある普通の話。私は店員さんの次の一言に驚いたのです。「失礼ですが、パンかお菓子の職人さんですか?」その一言を聞いた途端、「えぇっ!?」と驚いてしまいました。悩んでいる眼差しが、職人に見えるほどに真剣だったのかと思うと恥ずかしい。
 職人に間違えられるまでいくと、甘い物好きも程々にと思ってしまいます。とは言え、やっぱり甘い物は大好き!皆さん、周りにこんな男性がいても、どうか暖かく見守ってあげて下さいね。
(青少年部リーダー)

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専門学校あれこれ
「子どもと子どもの本の講座」

 「ちいさなねこ、おおきなへやにちいさなねこ。おや、ちいさなねこがにわにおりた。」松野正子先生の読み聞かせの実演で「読み聞かせボランティア養成コース」の授業は始まります。1999年に始まったこの講座、リピーターが多いことが特徴です。昨年の「ストーリーテラー養成コース」に引き続き受講中の三人にお話をうかがいました。子どもが卒業した小学校で図書ボランティアをしている平原麻美子さん、堺市の小学校でストーリーテリングを行っている近藤裕子さん、牛尾明希子さんは絵本とおもちゃの店で子どもの本を担当されています。
 「読み聞かせの方がストーリーテリングよりやさしいと思っていたけれど、松野先生が読まれるのをきくと、こんな風にとても暖かい読み方があるのだ、と驚きました」(平原さん)と、読み聞かせの奥深さを再認識したそうです。講義の内容もさることながら、松野先生の読み聞かせをきくだけでも勉強になるそうです。「松野先生の読み方は、目から鱗が落ちたようでした。私も子どもたちにゆっくり声を届けようと思っていましたが、『ゆっくり』の間合いが違います。私はまだまだ足りない。聞く人を包み込むような空気を感じ、読み聞かせの高い目標を見せてもらっています」(近藤さん)と、松野先生の人間性にも感銘を受けられた様子です。
 受講後はこのコースで学んだことをいかして「店に来てくれる子どもにあった本を薦めることや、読み聞かせをやっていきたい」(牛尾さん)と夢が広がります。
 これからも、受講生にノウハウではなく、子どもと子どもの本についての考え方の根幹を伝える講座でありたいと思っています。
(担当職員)