◇男の目
「DEGRAを学んで」
愛、国、心―愛と心に国が割り込んだー国民
この短い言葉の中に、今回、小泉内閣が強行しようとしている教育基本法改悪の意図がズバリと言い当てられています。国旗や国歌を人びとに強制し、それを批判する人々の声を上からねじ伏せ、更に「心のノート」と称する一方的に国を愛する心を植え付ける副読本で小中学生をマインドコントロールする等、昨今、国が行ってきた一連の動きの集大成が、この教育基本法の改悪であると言えます。教育の荒廃の原因と責任を、全て教育基本法に押し付け、教育基本法に則った教育行政を行ってこなかった政府の責任は不問に付されようとしています。私達が抱く愛国心は人それぞれで多様であり、しかも国から押し付けられるものでは決してありません。内心の自由は憲法で保障されており、人びとの心の中にまで国家権力が土足で入ってくることは許されることではありません。
さて、教育基本法は前文と11条から成る短い法律です。書き出しの言葉は「われらは」となっています。つまり教育は国民の手に委ねられるべきであるという基本方針が「われら」という主語に端的に表されています。そして以下11条は教育権を持つ私達が、国や地方公共団体に対してこの法律に書かれている教育の基本を実現するように要求しているわけです。
更に特筆すべきは前文に『世界の平和と人類の福祉』の実現は『教育の力にまつべきものである』とあり、決して戦争のできる国になるための国の方針に「是」と答える国民を作ることではありません。 現在進められている日本国憲法改正国民投票法案と同じように、憲法改悪への布石のひとつでもあるこの教育基本法改悪に、私達は反対していきたいと思います。
馬上貴美子(もうえきみこ 日本YWCA 憲法改悪阻止チームメンバー・名古屋YWCA会長)
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