大阪YWCA会報(大阪版)

2006年4・5月合併号(抜粋)


<目 次>

[一面]
イースターメッセージ 「倒れても立ちあがる」
 日本基督教団大阪教会伝道師 村上修子

[二面][三面]
「総幹事の谷川です よろしく」

YWの窓
 「小学生に株?」

男の目
 「YWCAボランティアに参加して」

[四面]
「グループパレット研修」

その他


イースターメッセージ

「倒れても立ちあがる」

 人生に失敗はつきものです。私たちは誰も失敗や挫折を望みませんが、後から振り返ってみると、それらの苦々しい体験が人間的成長のために必要だったと気づかされることがあります。大事なことは、倒れても立ち上がることです。キリスト教信仰は私たちに、どんな倒れ方をしても再び立ち上がることができるという「再生」の希望を伝えます。 聖書には、よみがえられた主イエス・キリストが弟子ペテロに出会い、「わたしを愛するか」と三度問いかけたことが記されています(ヨハネによる福音書21章)。ペテロは主イエスが「わたしを愛するか」と三度も言われたので、心を痛めました。主イエスが十字架にかけられる前、主イエスを三度も知らないと言って裏切ったことを思い出したからです。ペテロは、あれほど愛していたはずの主イエスを裏切ったという大きな過ちから立ち上がることができずにいました。
 けれども、主イエスの三度の問いかけは、ただペトロを責めるためのものではありませんでした。主イエスはペテロを赦し、再びペテロ自身の口から『主よ、あなたを愛します』という告白を語らせたかったのです。主イエスの大きな愛にすっぽり包まれて、ペテロは生まれて初めて「愛」とは何かを知りました。
 私たち人間は、一つの愛を最後まで貫くことのできない不真実な者です。しかも、神に出会うまでは、自分たちの不真実に心を痛めることさえ知らないのです。倒れることは問題ではありません。問題なのは、倒れもせず真実の愛に目覚めることもないことでしょう。今私たちの世界は児童虐待、人権侵害、戦争、環境破壊など、大きな愛の破れを経験し、そこから立ち上がれずにおります。しかし、主イエス・キリストは私たちを再び愛する者へと立ち上がらせるために、死人の中からよみがえり、今も私たちに向かって、「わたしを愛するか」と語りかけて下さるのです。
(村上修子 日本基督教団大阪教会伝道師)

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 総幹事の谷川です よろしく

 今年度4月より新しい総幹事が就任します。専門学校主任を長らく勤めていた谷川いづみさんです。会員活動では女性エンパワメント部を担当していました。

 06年4月から総幹事の任に就くことになりました。
 「仲良きことは、美しきことかな」。家庭内や地域、国家間に至るまで世界中の多くの場所で暴力による争いが絶えません。「仲良く」あることは本当にすばらしいと同時に、難しいことなのかもしれません。YWCAのAはAssociationの略ですが、YWCAの仲間が集う(=associate)ことによって醸し出される雰囲気は独特です。YWCAの文化と言い換えてもいいかもしれません。それは時には議論もたたかわせますが、あくまで非暴力です。そして人を目覚めさせる不思議な力を持っています。力が湧いてくるのです。大阪YWCA89年の歴史を紐解くと、その文化の上に、勇気と決断力、行動力をもって事にあたってきたことがわかります。今回の総幹事人事でもそれを感じます。そんな大阪YWCAが大好きです。力の足りない者を勇気を持って用いて下さったことに感謝し、仲間と共にこれからも社会で必要とされる働きを「仲良く」続けていけたらと願っています。
(谷川いづみ)

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YWの窓
「小学生に株?」

 今年の1月に入ってからだと思うが、大手証券会社が小学生向けの「株式講座」を開くという記事を見た。お金を得るということが真面目に働くということから離れて一人歩きを始めたら、労働の代価としてのお金の意味が根本から問われる。まして子供に人が働いた結果に投資するだけで、売り買いしてお金を稼ぐ方法を教えるなど、何を考えているのだろう、と憤慨したのは私だけだろうか。
 その後、インターネット専門の証券会社が小中学生に株を教え、実際に現金を渡して取引をさせていると知って、そこまでしているのかと驚いた。
 高校生くらいになれば株の仕組みも理解できるかもしれないが、小学生には、こんな風にパソコンの前に座って操作するだけで、こんなにお金が儲かるんだというゲーム感覚のみが強く印象づけられるのではないだろうか。
 ただでさえ人間本来の生きることの感覚が乏しい今、株式投資が子供時代に体験しておくことだろうか。昔から変わらない人間同士のふれあいや働くことへ敬意こそ大切だ。その実体験がないなら、いずれ子ども自身が大人になったときに、そのつけはまわってくるだろう。生きる上での価値がわからず苦しむことになると思う。
(会員)

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男の目
「YWCAボランティアに参加して」

 私は現在大阪YWCAにて日本語教師養成講座420Hコースを受講しています。この在籍中に様々なYWCA主催ボランティアに参加しました。
 第一に、男女の違いを認め合い、やはり男性がやる方がより効果的である大声での売り込みや重量物運搬等において、サマーキャンプ・クリスマスバザー・ケーキ作り等に参加し、日常生活ではなかなか体験出来ない事が出来、完売や異文化交流の触れ合い等により、また参加しようという気持ちが起こりました。
 第二に、YWCAに日本語習得の為通っている学習者に対して、日本語会話の話し相手をするF.F.P.(Foreign Friendship Program)や中国帰国者会話実習ボランティア等に積極的に参加しました。限られた語彙で話し合い、お互いの意志が通じた時の嬉しさは格別です。不慣れな日本での勉学や生活で少しでも楽しく暮らし、はやく日本語を上手くなるように支えてあげることが、私たち日本人の役目だと思います。日本語学習者には、老若男女の日本人との会話が必要です。
 ヤル気がある時そしてヤレる時が旬です。
 我等男性の皆さん、YWCAボランティアにドンドン参加しましょう!
(日本語教師養成講座受講生)

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「グループパレット研修」

知的障がいを持つ人の『自己決定』を考える

 グループパレットでは2回シリーズの研修を企画、2月11日に1回目「わたしたちのことは私たちが決める〜ピープルファースト大阪の活動に学ぶ」を実施しました。
 ピープルファーストとは「障がい者である前に人間だ。障がいを見るのではなく、まず人間として扱ってほしい」という当たり前の願いからアメリカで始まった運動で、親や職員ではなく「自分達のことは自分達で決める」という自己決定を尊重し、その運営や活動、会議などは全て当事者が中心となり行っています。
当日は講師として、ピープルファースト大阪から当事者と支援者の方に来ていただき、ピープルファーストの内容や活動の様子、支援者に望むことを話してもらいました。当事者が実際にどのように活動の主体となり、役員会や会議を開催し、支援者はその場で何をするべきか、何をしてはいけないのかを具体的に聞くことができて大変参考になりました。
とくに「支援者は助けるだけ、考えるのは当事者」「当事者は経験したら自信がついて何でも言えるようになる」「当事者はゆっくり時間をかけるとたいていのことはできるようになる」という言葉は、パレットの活動にも思い当たることが多々ありました。パレットでは月2回のプログラムをメンバーとボランティアが共同で話し合い、決定しています。ゆっくりメンバーの意見を聞き、考える時間をとって自分で決定する手助けをと思いつつ、ついその場を仕切ったり、結論をせかしたりしがちです。そんな自分達に気付かされる機会を得られ、有意義な研修となりました。

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