大阪YWCA会報(大阪版)

2006年2月号(抜粋)


<目 次>

[一面]
「ステップハウス開設」

「開設記念式典」

[二面][三面]
◇平和・環境部委員会「子や孫と平和について語り合う大人になろう」

YWの窓
 「子どもに見せたいアニメって?」

男の目
 「YWCA会員の親睦旅行に参加して」

その他


DV被害からの回復と自立へ

「ステップハウスの開設」

 大阪YWCAは昨年11月DV被害からの回復と自立をサポートするステップハウスを開設した。日本YWCA創立100周年を記念する年に実現できたことを不思議に思う。
 大阪YWCAのDVへの取り組みの源流は1995年阪神淡路大震災直後立ち上げた「こころのケアネットワーク」である。その活動を支えて下さった東京医科歯科大学の山上皓教授を始めとする専門家の全面的な協力により、1996年「大阪被害者相談室」を開設した。これらの活動を通して、被害者に寄り添う支援の大切さを痛感した。
 1999年本流である「女性への暴力」被害者のためのサポーター養成事業(文部省委嘱)を3年にわたって実施した。「女性への暴力」に対する社会の認識や理解が深まり、問題解決への働きかけの一助になることを願った。また、主催者自身が自分と出会い他者と出会ながらネットワークしていくものであることを体感させられた。
 2000年日本YWCA全国総会で「女性への暴力の問題に取り組む」が運動の課題として掲げられ、「私たちの問題『女性への暴力』プロジェクト」が設置された。各地域Yの取り組みを分かち合い、DV被害者の自立を支援するステップハウスの必要性が話し合われた。2002年日本Y主催のアメリカシェルター訪問ツァーに大阪Yから3名参加、意義ある学びとなった。同年DV被害者のためのサポートグループとカウンセリングを、2004年にはDV家庭の子ども支援者の養成を開始した。
 2004年8月理事会で新規事業としてステップハウス開設を決定し、DV被害者サポートプロジェクトで準備を進めた。矯風会ステップハウス見学、ステップハウスのためのスタッフ研修、関係機関への挨拶回りなど一年余りを準備の時とした。
 YWCAは創立以来、祈りと奉仕をベースに心の豊かさ、人間関係の暖かさを大切にしてきた。そして、すべての人の人権・正義・平和の実現をめざす社会づくりのために、具体的かつ実践的な活動を地道に重ねてきた。ステップハウスもその一つとして、安心・信頼できる場、DV被害からの回復と自立に寄り添う場として、被害当事者から学び、自己決定を大切にした健康的なサポート体制を構築していきたい。
(大阪YWCA会長  辻 加代)

*ステップハウス  シェルター(緊急一時避難所)などに避難をした後、本格的な自立をするために、住居や就労の準備をしながら、敷金・権利金なしで6ヶ月間入居できる施設。 DV被害当事者と支援者の安全のため、ステップハウスの場所は非公開になっています。 **寄付のお願い** ステッステップハウスでは、お金や物資(食料品・日用品等)のご寄付を受け付けております。皆様のご支援をお願いいたします。


「開設記念式典」

 開設記念式典(2005年10月10日)
 記念礼拝「神の愛の形」
 奨励:徐貞順(ソ・ジョンスン)牧師
バビロニア天地創造では神が奴隷として人間をつくった、としているのに対し、イスラエル創世記では、すべての人間は等しく神の代理人としてつくられたと語っている。
 また、ヘロデ王の大蔵大臣の妻であったヨハンナが、イエスに出会って、それまでの夫に従順な妻から、イエスに従う生き方を始めている。自分へ気づき、社会へ気づいて、自己の再構築をはかったのだ。
 大阪YWCAのステップハウスが、DVに苦しむ女性たちのエンパワメントの実現のために創られたことはすばらしい。神と多くの人の支えによって、「神の愛の形」がそこに結実していくことを祈りたい。
(要約・金香百合)

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平和・環境部委員会

「子や孫と平和について語り合う大人になろう」

 今年度、平和環境部委員会では、ピースアクション2005で使われた「子や孫と平和を語り合う大人になろう!」のメッセージを具体化するためのプログラムを進めてきた。
 10月に小林圭二氏(元京都大学原子力実験室講師)の講演会、11月にはDVD「日本国憲法」上映会と佐高信氏講演会を開催し、3月には「イラク戦争から『核』の危険性と平和憲法9条の意味を考える」講演会を予定している。
 2006年は教育基本法の〈改正〉や憲法9条を「変える」ための、憲法〈改正〉の動きが進んでいる。
 子や孫の時代に〈核のゴミ〉も〈戦争する普通の国〉も引き継がないよう、今私達の行動が問われている。

「原発は本当に安全なの?」
 十月二九日、小林圭二氏を迎え講演会を開催した。(大阪教区核問題特別委員会賛同)氏はその半生を原子物理学の研究者として歩まれ、実際に原子炉の運転・保守に従事した経験を通して現在反原発運動を支援しておられる。
 内容は原発の仕組みから理解する入門編としても解かり易く、同時に現在の問題点の理解も深める事が出来た。
温かな語り口のお話から「原発はいらないし、やめなければいけない」というメッセージが、強く伝わってきた。
 特に印象に残ったのは原発がその危険性から「差別」を前提として成り立っている問題である。地域差別、階層差別、先住民差別を生み出している。そして世代差別である。被爆の影響は年齢が小さいほど大きい。そして膨大な死の灰は未来永劫に子孫の安全を脅かす。
 また、原発が核兵器製造に直結している事がよく理解できた。
 現在世界の国々が核兵器の問題にぴりぴりしプルトニウムを使う事を止めようとしている中で何故日本は「もんじゅ」を動かそうとするのか。政府の中心部には核兵器の保有に肯定的な発言もある。いつでも核兵器に転用出来る用意か。どうもきな臭さを感じる。

小泉大勝と日本国憲法
 「上品」では戦えない。女性団体が活動している会場でチクリと一言。「確かにスカートをはいて戦争は出来ないから平和なんだけど」と思いつつ、11/19「9条の会・関西」と共催で行われた佐高信さんの「小泉大勝と日本国憲法」というタイトルの講演を聴いた。
 日本の政治は、米国や企業の利益優先で小泉政権になってからは行革という名の下で反対する者は悪であるかのような世の中になった、と具体的に企業名を挙げて企業ぐるみの選挙の実態を話された。
 いよいよ本格的に動き出した憲法改悪について、憲法とは権力を持った者を拘束するものであり、これを変えようとする人は権力を持とうとする人で、戦争には行かない人たちである、と。
 1977年厚着基地の米軍機が住宅街に墜落し、幼児2名が大やけどで死亡、母親が重傷で生き残ったものの若くして亡くなった土志田和枝さんの悲劇、最近では沖縄国際大学の米軍ヘリの墜落事故、これに対し政府の対応や自衛隊の行動にふれ、日米安保の実態や軍隊は決して国民を助けるものではないと、平時に置いてもこれなのに、戦争ともなれば、これは歴史が証明していることでもある。
 講演の中で一番元気が出たのは、市民運動についての内容である。
 市民運動は相手に伝わらなければいけない。そして冒頭の言葉である「上品」では戦えない。運動を続けるのには、まず情報などを疑う。疑問を持つ中で考え、学習をする。権力とのかけひきの中で、ウソをついてもよい、危なくなれば逃げなさい。嬉しくなるような言葉である。
 さしずめYWの平和運動は「上品」を装ってしたたかに、危ないと思ったらさっと変身(心)し、お先真っ暗でもしつこく言い続けるということだろうか。

冊子「語り継ぐ9条」を制作中
 ピースアクション2005では、年代別にピースメッセージを語ってもらった。平和委員会では、もっと多くの方に体験や思いを語ってもらいたいと思い、敗戦60年という節目に冊子を作ろうということになった。
 国会では、憲法改正へ向けての動きが始まっている。特に、戦争放棄を掲げた憲法9条について取り上げられている。子ども達を二度と戦場に送ることがないよう、私達は今、行動しなければいない。
 戦争の体験、戦後の暮らし、9条への想い、平和を語り合うために、など、ひとりひとりの体験や思いを募集したところ、たくさんの平和へのメッセージが集まった。
 この冊子を手に、子や孫と平和を語り合う大人になりましょう!
(文責 平和環境部委員会)

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YWの窓
「子どもに見せたいアニメって?」

 いつも不思議に思うのは、「親が子どもに見せたくないテレビ番組」にアニメ「クレヨンしんちゃん」が毎年のように上位にランキングされていることだ。わたしは逆にこれなら自分の子どもに見せてもいいなと思っているのに。
 「クレヨンしんちゃん」のいいところは、人間の価値を外見から判断せず、いっさいの権威から自由であること。そして、暴力シーンがないことだ。幼稚園のしんちゃんの友達は多種多様。はなをたらしている子も、おしゃべりや運動が苦手な子も、お金持ちでかっこ良くて、スポーツも勉強もできる子も、とってもおませな女の子も、みんなそれぞれの違いを認めつつも子ども特有のくったくなさでいっしょに遊んでいる。登場人物は性別や社会的役割にとらわれたステレオタイプな人間ではない、まさしくジェンダーフリーなアニメ。「ドラえもん」の登場人物とは対極にある。しんちゃんたちは素直な目で大人の欺瞞を見抜きつつ、アクション仮面に夢中の無邪気さも持つ。
 お金や社会的地位や暴力などの権威をふりかざす大人は徹底的におちょくられ、ユーモアによって撃退される。自分と異質な存在を「バイキン」として排除し、「アンパンチ」で何でも解決の「アンパンマン」とは大違い。
 困難な状況に打ち勝つには何よりもユーモアと友情と家族の愛だとメッセージを送るアニメは他にあるだろうか。
(会員)

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男の目
「YWCA会員親睦旅行に参加して」

 妻の是非参加して欲しいとの要請により、初めて参加しました。初日は、あいにくの雨模様。どうなることかと心配していましたが、一路岐阜県中津川市加子母「福崎バンガロー村」に出発進行!自己紹介・ゲームなど楽しい車中になりました。ドライブインでトイレ休憩の後、ビンゴゲームを担当させていただきました。乗り物等の景品に、子どもたちが目の色を変えて楽しんでくれ、やって良かったと思いました。到着後、ほおば寿しを賞味し、明治座(築105年の芝居小屋)で東京芸大の第九を生で聞けるとは思いませんでしたので、感激しました。夕食は、大好物の飛騨牛バーベキュー。夜遅くまで、電車談義の夢のような時間を過ごさせていただきました。
 時間に振り回されている毎日ですが、この二日間時間がとまったかに思われました。そして人間性を取り戻す、いい機会でもありました。加子母の豊かな自然の森林浴「森のロマンと深呼吸」という副題も理解できる旅でした。
 また、妻がなぜYWCAの方とボランティアをしているのか、それは会員一人一人が、一生懸命取り組んでおられる姿勢をみてきたからだと思いました。私自身も東大阪市青年指導員をしていますが、地域性が重要であったのが、異なった団体に接したことも、いい経験になりました。今後もさらなる活動を期待しています。本当にお世話になりました。
(会員の夫)

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