大阪YWCA会報(大阪版)

2005年2月号(抜粋)


<目 次>

[一面]
DVへの新しい取り組み
 アメリカ西マサチューセッツYWCA メアリー・ジョンソン総幹事

[二面][三面]
クリスマスミニコンサート

Kids Night Outプログラム

YWの窓
 「子どもの視点からの子育て」

男の目
 「イタリヤ便り」

専門学校あれこれ
 「中国で活躍する修了生」

[四面]
その他


DV(ドメスティック・バイオレンス)への新しい取り組み

     DV問題*に早くから取り組んでいるアメリカのYWCAでは、被害者に対して多角的なアプローチがなされている。
     昨年11月に来日した西マサチューセッツYWCAのメアリー・ジョンソン総幹事から、その具体的な取り組みについてきいた。

 西マサチューセッツYWCAが女性への暴力の問題に関わったのは、30年前のDVホットラインの実施からであった。現在はDVをめぐる社会問題に関する事業に全力を注いでいる。

 開放型へ
 今年、公開型のシェルター*を含む総合施設「CAMPUS」をオープンさせたが、これはアメリカでも初の試みである。「非公開シェルターでさえこんなに危険なのに、公開するなんてとんでもない」と最初はほとんどの理事や職員に反対された。しかし「それなら非公開で運営されているシェルターの総てが安全なのか。厳重なセキュリティーシステムを持った公開型より、非公開型の方が安全だ、となぜ断言できるのか」。「犯罪者でもないのに、なぜDVを受けた女性が逃げ隠れしなければならないのか」と、シェルターに対する発想を転換し危機回避のための安全管理システムを詳細に説明することで同意を得た。
 安全性を
 土地を探すことから始め、郊外に7エーカー(約8600坪)の土地を購入できた。建築に当たっては、まず敷地内前面部に事務所や会議室などのある一般エリアを建築し、その後ろにシェルターエリアを建築する、というように安全については細心の注意を払った。
 日中は入口の門は開いていて自由に出入りできるが、24時間監視カメラが作動し、敷地内に人が潜入すると反応するようにコードが張られ、窓は防弾ガラスになっている。
 内部構造
 シェルターには広いロビー、14の居室、共同で使う食堂、台所、居間、カウンセリングルーム、そして母親が子どもの泣き声や雑事から解放され、一人静かにできる瞑想の部屋も設けられている。住居以外の部屋はほとんどがガラス張りで、廊下を行き来するだけで、どこで誰が何をしているかがわかるようになっている。 職員エリアは、職員が"燃え尽きる"のを防ぐため、一人で静かに過せるコーナーもあり、廊下には、職員が重要なことを立ち話できるちょっとしたスペースも設けられている。しかし一番大切に考えたのは、このシェルターをHOME(家)らしくするということであった。
 未来へ
 女性への暴力というと重い問題を考えるとき、私たちYWCAができることは限られている。病院、警察、保健所、福祉事務所といった関係機関との連携はもちろんのこと、忘れてはならないのは地域社会との連帯である。YWCAは地域と連帯していくことで、地域をも変えていく力を与えられる。この希望を持ってこれからも事業を展開していきたい。
(メアリー・ジョンソン総幹事/文責:編集部委員会)

*DV…夫や恋人など親密な関係の中で起こる暴力
*シェルター…暴力の被害にあった女性や子どものための緊急一時保護施設

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クリスマスミニコンサート

12月13日(月)15:30〜17:00

 ♪メリーメリークリスマス、メリーメリークリスマス、今日は楽しいクリスマス♪
 子ども達の楽しい歌声が大阪YWCAうめだの教室から流れてきました。
 12月13日午後3時30分より東神戸教会で牧師をされている川上盾さんを招いて 親子で楽しむクリスマス・ミニコンサートを開催しました。
 川上盾さんは、大地震子ども追悼コンサート実行委員会に関わっておられて、"神戸マス・クワイア"というゴスペルグループのリーダーでもあります。
 ハイハイの赤ちゃんから幼稚園児までの子どもたちとその親23組が参加し、子どもたちは曲に合わせて体をゆすったり手をたたいたりと思い思いに楽しんでいました。
 大人たちも川上さんのギターとハーモニカと素敵な歌声に心癒されていました。お茶菓子もでてほんとに楽しいひと時でした。
 クリスマスは楽しいイメージばかりがあるけど、クリスマスには悲しいお話もあると話して下さいました。ヘロデ大王が新しい王が生まれたと言ううわさを聞いて2歳以下の赤ちゃんを殺せと命令をした、と。その赤ちゃんの母親たちがどれほど悲しんだか想像すると、胸が痛みました。
 ジョンレノンのHappy Christmasという曲は平和を願う歌だとの話しもありました。"戦争は終わるあなたが望めば"川上盾さんの歌声で胸がじんとし、平和の大切さをあらためて感じました。また、子どもたちにはいのちの歌を教えてくださいました。「胸に手を当てて手を耳にして音を聞いてごらん。聞こえてくるでしょ。どっくん、どっくん。これがいのちの歌です。あなたのいのちの歌です。大事にしようね。」と言い、いのちの歌を歌ってくださいました。どっくん、どっくんとみんなでそろって歌いました。
 そして、震災の子どもたちを追悼する歌も歌ってくださり、「忘れないでね。忘れないでね。」と繰り返す歌詞があり、母親に「なんで忘れないでなの?」と聞いている子どもがいました。母親はそれに答えていました。
 楽しさあり、感動ありの1時間半はあっという間に過ぎ去りました。

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Kids Night Outプログラム

12月18日(土)17:30〜21:00

 日本では、「子育ては365日、24時間営業だ。」と言われます。しかし、アメリカでは、親がしばらく子育てから解放されてリフレッシュすることは、良いことだ。」と考えられています。ですから、多くのプロテスタント教会は、週末の夜に子ども達を預かるキッズナイトアウト(略してKNO)というプログラムに積極的に取り組んできました。このプログラムを大阪YWCAで出来ないかと、子ども&子育て支援委員会では約半年間検討してきました。子育て世代にこのプログラムが受け入れられるかどうかとの心配をよそに、新聞に掲載されたこともあり、約40組のキャンセル待ちがでました。
 第一回目のKNOは、12月18日土曜日に、行われました。2歳から6歳まで14名の天使のような子ども達を迎え、スタッフとボランティア11名で託児をしました。初めて預けられる子どもも多く、5時半から9時半までの長時間ということもあって、泣いてしまう子がいるだろうと予想していました。しかし、親と離れがたそうにしていた子も、暖かい雰囲気にすぐ慣れ、とても楽しい時間を過ごすことができました。今後も皆様のご意見を聞き、YWCAの精神に添うようなプログラムとして発展していけたらと思います。

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YWの窓
「子どもの視点からの子育て」

〜安心の中で育つ子ども〜の講演会に参加して

 親は皆、「子どもが幸せになるために、自分には何が出来るだろうか。」と、日々考えています。その答えを求めて、育児書を読んだり、講演会に出かけたりします。時には、答えに近いものを得られることもあるでしょう。けれども、「理想的な親と子の姿」が余りにも違うことに愕然としてしまうこともあるのです。「自分の今までの子育てが間違っていたのだろうか。」「もう取り返しがつかないのではないだろうか。」と落ち込むこともあるかもしれません。私も、幾度となくこのような経験をしてきました。
 けれども、今回の橋詰さんの講演に参加して、子育ては、案外、シンプルなものかもしれないなと思いました。なぜなら、親が子どもの幸せのためにしてあげられることは、唯一つ、「欠点をも含めて、親に、全部を受け入れられているという安心感を子どもに与えてあげること」だからです。その安心感さえあれば、子どもはその能力を生き生きと発揮して生きてゆけるのです。
 現代のマニュアル化した「子育て論」とは違う、講師からの暖かいエールをもらって、子育て真っ最中の若いお母さん達も元気になって帰っていかれたように思います。子どもが小さい時には、いつも子連れで外出しなければならず、母親も孤立しがちです。YWCAが、そのような母親達にとっても安心できる居場所であるように、そして、素敵な先輩会員との出会いの場であるように願っています。
(会員)

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男の目
「イタリヤ便り」

 私が会社の仕事の関係でイタリヤに来たのは2001年の7月。ミラノに赴任して3年3ヶ月になります。
 イタリヤの印象と言えば有名ブランドとイタリヤ料理、そしてラテン系の陽気なひとたち。
 その印象通り、ミラノの中心街モンテナポレオーネにはブランド品店がずらりと並び、年に2度のバーゲンシーズンには、多くの観光客と現地人で沢山の店に行列が出来ます。
 イタリヤ料理は日本人に馴染みやすく、やはりパスタとピッツァは本場の味。驚くべきことはどこの店に入っても当たり外れが極端に少ないことです。
 イタリヤ人は本当に陽気です。人に対してとても親切でとても優しく接してくれます。少しいい加減なところもあり、迷って道を聞いても10人中9人教えてくれますが、8人は間違った道を教えるという冗談を聞きます。これは、「知らない」と答えるのが失礼になり知らなくても教えてしまうという親切心の国民性を表しています。基本的に親切な人が多い国です。
 最後に一つ、自国をこよなく愛し、料理を自慢し、自国語しか話せない人が他のヨーロッパの国に比べて多くいるイタリヤ。私はそんなイタリヤがとても気に入っています。

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専門学校あれこれ<日本語教師養成講座>
「中国で活躍する修了生」

 '04年8月下旬に大阪YWCA専門学校鹿野校長と谷川主任が学生募集のために中国浙江省寧波市の愛心国際語言学校を訪問しました。
 その日本語学校は、日本語教師養成講座の修了生が設立に大きく関わっており、そのつながりから大阪YWCA専門学校に何人もの優秀な学生を受け入れてきました。
 '03年には日本語教師の派遣の依頼があり、同年3月に日本語教師養成講座を修了した松下三千代さんをご紹介しました。

〜寧波(にんぽう)の空から〜

 思いがけなくも中国暮らしを始めてはや5ヶ月。ひとコマ2時間の授業が週12回、日によっては午前・午後・夜のフル稼働もあり、アパート→学校→スーパーの3地点を回る循環バスのような毎日です。私の担当は聴解です。「ビジネス会話」クラスは受講者のほとんどが日系企業と何らかの関わりをもっています。日本事情を紹介することも多く、私自身教材準備の段階から楽しませてもらっています。受講者は職業も日本語能力も様々。中には細かいニュアンスまで理解し、通訳を買って出て助けてくれる人もいます。
 日本語能力試験は学生達の大きな目標です。寧波には試験会場がないので、学生は前泊して主に杭州で受験します。試験が近づくにつれ殊に1級受験者の熱気と集中力は、こちらまで緊張で胃が痛くなるほどでした。とにもかくにもここまで無事にやってこられたのは、馬校長先生を始めたくさんの学生さん、そして家族の支えがあったからだと感謝しています。
(松下 三千代)

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      担当:木下