大阪YWCA会報(大阪版)

2004年10月号(抜粋)


<目 次>

[一面]
アウシュビッツから沖縄へ
 松井 洋子

[二面][三面]
◇中国帰国者との共生を目指して

YWの窓
 「介護保険」に関心は?

男の目
 「トイレのマーク」「女性専用車両」

[四面]
専門学校あれこれ
 ランゲージコース 韓国語クラス

青少年部 活動報告
 わんぱくキャンプをふりかえって

その他



アウシュビッツから沖縄へ
 ―子どもたちとともに

 「戦争をなくすためにはどうすればいいのですか?」
 『からころ(からだとこころの出会いの会)』の子どもの一人が、元アウシュビッツ収容所の囚人で、戦後アウシュビッツ博物館の館長を勤めていたスモーレンさんに質問しました。150万人もの人たちがナチによって虐殺されたポーランドのアウシュビッツ収容所は、今では戦争の悲惨さを証す博物館になっています。スモーレンさんはすかさず「いろんな国を旅し、いろんな人々に出会い、素晴らしい体験をしてください。その国の人々と仲良くなり、文化に触れたなら、殺したり、文化を破壊したりすることはできなくなります」と答えました。私は目が覚めるような思いとともに、深く共感しました。
 その後、戦争とは何かを考え続けた私たちは、日本での唯一の地上戦である沖縄戦に行き着きました。島全体が戦場となった沖縄は、三ヶ月の戦闘の結果、爆風で町は廃墟と化し、野山がえぐられ、見る見る形を変えていったといいます。天皇陛下のために死ぬことが真の日本人になる尊い道だと教えられ、米軍につかまるとひどい目に合わされると吹き込まれた沖縄の人々は投降することも許されず、絶壁から海へ身を投げたり、『ガマ』と呼ばれる天然の洞窟の中で互いに殺しあうという悲劇が起きました。こうして沖縄の人たちの四人に一人の尊い命が失われたのです。
 昨年に引き続き、子どもたちとともに今年も沖縄に訪れ、ガマの中で地獄絵さながらの体験をしつつ生き延びた安里要江(あさととしえ)さんの話を聞きました。自分の体験を話すために生きていると言う彼女は、85歳の高齢ですが、若々しい素敵な人です。
 また、沖縄戦の生き残りの人たちの聞き取り調査をし、貴重なフィールドワークを重ねている、沖縄国際大学の石原昌家先生の教室も訪れました。"講義"の後、ゼミの学生たちと話し合い、お父さんが米軍基地で働いていて、基地反対の気持ちとジレンマを抱いている学生たちの生々しい声も聞くことができました。私たちも舞台を通じて平和のメッセージを発信しようとしていることを語り、平和をつくるために自分に何ができるかを真剣に考え、実行することを誓い合いました。
 戦争の体験者からじかに話を聞き、感動しても、刺激の多い日常に戻れば思いが薄れがちです。「戦争は絶対に許さない」という揺るぎない心をもつために、私たちは体験者の話を何度も聞かなければなりません。私は、これからも沖縄をはじめ世界の国々を訪れ、多くの人たちと対話を重ねつつ、平和の礎(いしずえ)を築いていきたいと心底思います。
(松井 洋子/『からころ』主催、会員)

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YWの窓
「介護保険」に関心は?

 介護保険制度がスタートして5年目、来年には全面的な見直しがあります。若い世代には「介護保険=まだ先のこと」の様ですが、無関心では済まない課題が出て来ました。
 今、介護サービス費の財源は税金と40才から支払う保険料です。しかし、予想外の利用増で、新たな財源と目されるのが20才からの保険料負担です。「年金だけでも大変なのに。」と反対の声が高まる中、その不満に対し障害者施策との統合を視野に入れ、現在65才までは特定疾患を持つ人だけ対象となる介護サービスを、事故が原因でも利用できる案が出ています。反論も多く今回は見送られるようですが自分自身のこととして関心を持って見守って下さい。
 他に見直しの焦点としては、
◎軽度認定者を介護保険サービスから新たな介護予防サービス対象者にする。(介護保険財源急減への対策?!)
◎地域に根ざす在宅介護センター(認知度は?)の再構築。
 そして利用者側からの特に強い要望
◎痴呆症への適切な対応
 まだまだありますが、私にとって「ケアマネージャーの質の向上」は責任の重さの自覚であり、そのための環境整備は求めて行かねばと思っています。
 終わりに「介護をする。される。」は突然にやって来ます。「まだなだ」ではなく「その時」にまず何をするか、「頭の引出」の手前に置き、すぐ役立つ様にしておいて下さい。
(会員)

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男の目
「トイレのマーク」

 一般的なトイレのマークは、男性用が青でズボン姿、女性用が赤でスカート姿ですが、ある施設ではどちらも灰色の人の姿です。従って区別は文字を読まないと分かりませんし、遠くからはそれがトイレのマークとは気づかず不便に感じました。差別につながるような区別はやめようということでしょうが、区別がないと不便な場合もあります。
 ジェンダーフリーという言葉を数年前に聞きました。このマークはその影響かと想像しています。ところが今年になってその言葉についての批判や男女混合名簿の廃止論などが出ていると聞きました。

「女性専用車両」

   先日電車に乗ったら、すぐには気づきませんでしたが、その車両は女性専用車両でした。その電車は普段使っている路線ではなく、階段を上がったら、出発の合図が鳴っていたので、飛び乗ったわけです。「前から何両目」という設定はわかりにくいです。
 JRも私鉄も地下鉄も統一して、車両全体に色を塗るなどして欲しいです。
 ところで女性専用車両に乗らない女性もおられますが、女性の皆さんは女性専用車両についてどのように思われているのでしょうか。

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専門学校あれこれ

ランゲージコース 韓国語クラス

「イニョン(縁)」

 私の初めての韓国デビューは25歳の時。「韓国へ行きたい」という母親の希望で実現した家族旅行でした。出発の一週間前に韓国人と一緒に仕事をしていたものの、知っている言葉といえば、「アンニョンハセヨ」と「カムサハムニダ」だけ。
 全くのお客様気分で乗り込んだ韓国は、ハングルの海と、市場の活気、ぶつかり合いながら歩く人混み、そのどれもが新鮮で、わくわくの連続でした。不思議な出会いがあったのは1日目の夜でした。
 なんと、一週間前に一緒に仕事をした仲間と街中で偶然に再会したのです。とにかくうれしくて楽しくて、みんなで朝まで飲み明かしました。今思えば韓国式飲み会だったのでしょうか。4人で始まった人数は、いつしか8人、10人と膨れ上がり、最後には20人近い人が小さな店に集まっていました。言葉は全く通じなくても、楽しい気持ちをみんなで分かち合った最高の夜でした。
 あの夜から5年。私の韓国語もあの頃よりは上達し、「お客さん」ではなく「チング(友達)」として、韓国を訪れるようになりました。
 授業で勉強した「イニョン」という言葉があります。日本語で「縁」を意味するこの言葉を、韓国人はよく口にします。私と韓国の出会いは、まさしくこの「イニョン」だったのではないでしょうか。
 「オンニ(年上の女性に対する総称)がいてくれてよかった」来日中、仕事で失敗した友達がぽつりと私に言いました。「だって私達、イニョン(縁)があって出会ったんでしょ」みんなで飲み明かしたあの夜に言えなかった言葉を、今では韓国語で言うことができます。
(受講生)

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青少年部 活動報告

わんぱくキャンプをふりかえって 8/7〜10

 「チャレンジャー!!」「ハッスル☆ハッスル☆」を合言葉に、わんぱくキャンプの幕が開きました。メンバーの参加人数は15人で、わいわいがやがや、元気いっぱいで出発しました。
 キャンプの初日は、泉南郡岬町にある、休校中の孝子(きょうし)小学校に宿泊し、昼間は田舎の雰囲気を楽しみ、夜には小学校といえば定番の肝だめしをしました。
 そして翌日から海洋センターに移動し2泊しました。海水浴を楽しみ、浜辺ではスイカ割りをしたり、リーダーを砂に埋めたりと元気いっぱい遊んできました。
 もちろん、自分たちで自炊もしました。作る料理の相談、食材の買出しから調理まで、すべて自分たちで考え、とってもおいしい料理をつくりました。ギョーザやお好み焼き、焼きそばなど、盛りだくさんで、お腹いっぱい食べました。
 最後の夜には、中高生メンバーが中心となってキャンプファイヤーをしました。頭を悩ませるゲームや、マイムマイムを踊り、漫才、歌の合唱があり、とても楽しい一時でした。中には涙をみせたリーダーも(?)。
 キャンプ最終日には、みんな小麦色になり、一人ひとりが凛々しい顔つきになっていました。今年度のわんぱくキャンプも、太陽に負けないぐらいのまぶしい笑顔で、山と海を満喫してきました。
 まだまだ書きたいことがたくさんありますが、少しでも雰囲気を味わっていただけたらと思います。
(青少年部リーダー)

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