大阪YWCA会報(大阪版)

2004年7月号(抜粋)


<目 次>

[一面]
地球温暖化 国が沈む…
 雀部 真理

[二面][三面]
◇イラク人質事件から新聞報道を考える

YWの窓
 「心のノート」小中学校道徳教本

男の目
 「気温33〜42℃の下で」

[四面]
専門学校あれこれ
 国際関係開発学科(デグラ)

会員活動
 グループパレット

その他



地球温暖化 国が沈む…

 今年3月、気候変動に関する太平洋協会会議に出席するため、キリバス共和国を訪れた雀部さんの報告です。

 太平洋の真ん中、赤道と日付変更線の交わる辺りに、東西に広い海域を有する島国・キリバス共和国はあります。太平洋戦争の際には日本軍の統治下に置かれたこともあり、広い海域で獲れる魚は日本の食卓を賑わし、多くのキリバス青年が日本の漁船で働くなど、日本との関係も浅くはありません。
 飛行機が着陸態勢に入ると、隆起珊瑚の細長い島々でできたタラワ環礁の最も幅広いところに、ささやかな滑走路が見えてきます。バスに乗ると、海岸沿いの1本道が、コーズウェイと呼ばれる建造物で結ばれた島々を走っていきます。少し幅のあるところには学校や教会、その他には民家がひしめいていますが、海岸通りに面した家々のすぐ後ろもまた海。家の前も後ろも海なんて、想像できますか?
 首都のあるタラワ環礁の場合、ほとんどが海抜2m以下。海面上昇の影響は既に現れ、満潮時には家の目の前まで海面が迫ったり、井戸に塩水が混ざったり、海岸浸食でヤシの木が倒れたり、塩水害で芋の生育が悪化したり・・・。事態は深刻です。
 地球温暖化の原因を作っているのは、二酸化炭素をはじめとする温暖化ガスを大量排出している先進工業国の私たち。被害を受けるキリバスなどの国々では、微々たる量の温暖化ガスしか出していません。この不条理は、「今の世代の横暴で後の世代が苦しむ」という世代間の不公正と共に、「不正義の問題」としての温暖化問題を物語ります。
 冷暖房を最低限に抑える、電化製品の使用・所有を減らす、車の使用を控えて徒歩・自転車・公共交通機関にする、ペットボトルを買わず水筒を愛用する、ゴミの分別をしっかりする、コンビに弁当などのパック入り食品を食べない、近隣で作られたものを購入する・・・等々、私たちが日常的にできることは数限りなくあります。と同時に、炭素税の導入など、経済界の圧力に負けずに環境施策を進める政治家を選ぶ・送り出すといった努力も大切。そして、最大の環境破壊である戦争は何としてでもやめさせなければ。
 おかしいことにはNOと言える、自分で判断できる子どもを育てること。子どもが真に自主性を育める教育環境を死守すること。少々不便でも自然なあり方を選べる感性を大人たちに取り戻すこと・・・。YWCAのなすべきことは、まだまだてんこ盛りです。
(雀部 真理/会員)

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YWの窓
「心のノート」小中学校道徳教本

 「心のノート」を始めて開いて見て、大抵の人はこの本のどこが悪いの?パステル調できれいだし、内容も「ありがとうの気持ち、ずっとずうっと忘れない!」いい事書いてあるじゃない・・・と思うでしょう。しかし、よく読んでみると、何か変です。主語のない文体、CMのコピー文のようなちょっと現実離れした文章。実際には、実に多様化してきている日本の社会があり、世界中には内戦・紛争が絶えず、そのために多くの人々が家族を失ったり、飢餓に苦しんでいます。それらには一切触れず、「正直に明るい心で元気よく」「勇気をもった自分でいよう」などと書かれています。その上、その行動ができたかをまず自分でチェックし、先生にチェックされ、先生はこのノートを適切に指導しているかをチェックされます。
 「心のノート」はどうやって生まれたのでしょうか。2000年小渕元首相の私的諮問機関であった「21世紀日本の構想」懇談会(座長・河合隼雄)が出した答申の中に「国家にとって教育とは一つの統治行為である」と明文化されています。この答申を受けての流れが教育基本法「改正」、「心のノート」へと繋がっているのです。
 今、この本は市販されています。私たちも大人の眼でこの本をチェックし、「何か変」から「ここが変」と言えるように、そして行動へと移す必要があると考えます。
(会員)

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男の目
気温33〜42℃の下で

 私はサハラ砂漠の南西端に位置するセネガル共和国において、青年海外協力隊として2年半、生活しました。日中の気温33〜42℃(体温計が使えません)、砂漠から乾燥した熱風が吹き、日中は休む時間も取りますが、人々はよく働きます。
 女性、女の子は数百m〜数km離れた井戸までの水汲みを、30リットルもの水を入れたタライを頭にのせて、一日に何往復もし、また杵を使って穀物の脱穀、精白、製粉を毎日します。これらはとても重労働です。他にも薪探し、料理、衣服の手洗い洗濯などをします。さらに加えて、家畜の世話などもして学校に行けない女の子達もいました。
 男性は家にいる事が少なく、雨期には耕作し、また、お金になる仕事に就き、街など出稼ぎに行けば、バナバナと呼ばれる路上売り子などをします。国民平均年収2万円という、とてつもない経済格差のあるセネガルと日本ですが、少なからずの女性隊員が国際結婚をして、主に日本で暮らしています。私は健康面など、アフリカで一生暮らせる自信が持てませんでしたが、「彼らに何かしたい」と一生思い続けられる事こそ協力隊参加の一番の意義と思っています。

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専門学校あれこれ

国際関係開発学科(デグラ)
〜自分を知り 他者との関係を学ぶ〜

 私は、大学生の時に国際協力に興味を持ちはじめ、どうしても勉強したいという思いから国際関係開発学科に入学を決心し、埼玉からこちらに来ました。そして、現在授業も始まり2ヶ月がたとうとしています。
 ここでは、大学のような大きな講堂でたくさんの人が授業を受けるのとは異なり、少人数でディスカッションやワークショップという形態で、主に平日の夜と土日に授業が行われています。人前で話すのが苦手な私にとっては、毎回難しい場面が多々あります。そのことに、特に気づかされたのが「人間関係トレーニング」という授業でした。ここでは、自分自身について知ることや他者・グループでの関わりを実践を通して学んでいきます。例えば、会話一つでも相手の話した内容を自分の言葉で繰り返そうとしても、私は相手の話の細かい部分を見落としていたり、自分なりの解釈をしてしまっていたりなど“傾聴すること”の難しさを学びました。その他にも、相手が理解できるような説明の仕方を考える場面があったりと、私には常に緊張を伴った授業ですが、得るものはとても多かったと思います。国際関係開発学科は、こういった自分の弱い部分を克服できる場所であると感じています。
 また、クラスには、いろいろな経験・考えを持った方がいらっしゃいます。他にも、授業ではたくさんの方との出会いがあり、このような環境の中で、じっくり話すこと・きくことのできる特別な学びの場所でもあると感じています。現在私の日々の生活は、とても充実しています。
 まだまだ勉強が足りない私ですが、多くの先生方や仲間に支えられながら、この一年という貴重な時間を大切にし、多くのことを経験し成長していきたいと思っています。
(受講生)

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会員活動

グループパレット 恒例のバーベキュー

 パレットは、知的な障害をもつ女性たちとの交流と社会参加への支援をする活動です。 プログラムはお菓子作り、ボーリング、カラオケ、押し花、一泊旅行、水泳など多岐にわたっています。
 私が関わるようになって5年、当時何か自分ならではのプログラムができないかと思い、バーベキューを始めました。以来5月の恒例行事です。
 今年は1週間ほど前からぐずついた天気が続き、外では無理かとあきらめつつありましたが、当日は皆の思いが通じて絶好のバーベキュー日和となりました。
 私は先発隊として先に公園へ行き、コンロや椅子の準備。そこにメンバーさんも到着。さあ、まずは火起こしです。炭に着火材をなじませて火をつけ、あとはひたすら団扇であおぎます。皆お腹が減って早く食べたいので火を起こすのにも力が入ります。手があいている人には箸やお皿を配ってもらいます。炭が良い感じになってきたところで、お待ちかねのお肉の登場です。タンにカルビ、レバー等次々と焼かれて美味しそうな匂いがしてきます。やはり青空の下で食べるのは格別で、持参したおにぎりを食べるのも忘れバーベキューはまたたくまに完食でした。食事の後は、木陰でお昼寝をしたり、バトミントンをしたりと各々ゆっくりとした時間を満喫、帰りは中之島のバラ園を見学して帰りました。来年もまたできたらいいなあとと思います。
 パレットの活動に参加したいと思われる方、ぜひお越し下さい。
(会友)

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