大阪YWCA会報(大阪版)

2004年2月号(抜粋)


<目 次>

[一面]
ファシリテーター 〜心にともし火をともす人〜
 日本国際飢餓対策機構 清家 弘久

[二面]
NGO/NPOワーカー養成コース
 「今」のあなたに必要な実践力を磨く講座
受講生の声

[三面]
◇男の目
 「定年後に備える」

その他



ファシリテーター
〜心に灯火をともす人〜

日本国際飢餓対策機構 清家 弘久

 日本国際飢餓対策機構はアジア・アフリカ・中南米において緊急援助、自立開発協力、教育支援を行っています。現在派遣されているスタッフは15名です。彼らの多くが先ず最初に現場で体験することは、村人が持っている、外国人、日本人のイメージによって、「何かをしてくれる」「何かをもらえる」といった先入観からの期待であると言います。スタッフたちは自ら仕える人になって、共に汗を流し、一緒に生活しながら彼らが自立する手助けがしたいと願い、出かけて行くのですが、現実は理想とはかなりのギャップがあります。しかし、その村で長く仕事をしていく中で、着実に人々の暮らし、考え方、物の見方が変わっていくのです。それは彼らが何かをしたのではなく、よいファシリテーターであり続けたからなのです。

ファシリテーターは開発者
 開発とは英語ではDevelopmentです。その本来の意味は内にあるものを外に引き出すということです。つまり、スタッフたちがそこに起こっている問題の解決者ではなく、そこに住む人が本当の解決者です。しかし、彼らの多くは受動的であったり、運命論や習慣、風習に縛られているケースが多いのです。村人が持っている潜在能力を上手く引き出すことがファシリテーターの役割なのです。内側にあるものを外に出し、この村の問題は何なのか、どうしたら解決することができるのかを自分達で見つけていく、まさしくそれが開発の本来の意味です。

ファシリテーターは灯火を灯す人
 毎年1月に奈良の若草山で山焼きが行われます。火が入れられると、33ヘクタールの山はわずか30分ほどで全焼します。野火が放たれると火はあっという間に広がっていくのです。ファシリテーターはその火付け役です。人々の心に火が点けば自分達でやることができると自信をつけ、彼らから他の人々へ火は点火していくのです。中国の故事にこういう言葉があります。「最善のリーダーはことを成しえた時、人々が『自分達で行なった』と記憶させる人である」そうなれば、隣りの村にも手を差し伸べる必要がなく、村人自らの手で活動が進められていくのです。「人々のために(for)」から「人々のところへ(to)」さらに「人々と共に(with)」の視点から「人々の手によって(by)」そして「人々から他の人々へ(from)」へと変化していくのです。ファシリテーターはその火付け役です。
 良いファシリテーターがたくさんいれば、この社会は変わります。教師の中に、議員の中に、企業リーダーの中に、そして市民生活の中にです。 YWCA国際関係開発学科(DEGRA)では、よいファシリテーターの育成を目指しています。DEGRAからさらに多くの「心に灯火を灯す人」が生まれることを期待しています。

(大阪YWCA 国際関係開発学科 国際関係学U講師)

*日本国際飢餓対策機構は、人間の尊さを重んじ地球家族に奉仕する非営利のNGO(民間援助団体)です。


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国際開発学科が時代の流れをくんで、今年、新しく生まれ変わります。


「今」あなたに必要な実践力を磨く講座

NGO/NPOワーカー養成コース

新しい講座はこんな人にぴったりです。
NGO/NPO経験者のプラッシュアップに
人と接する仕事人の「対人援助スキルアップ」に
NGO/NPOをこれから立ち上げたい人に
NGO/NPOで活動してみたい人に

 実際にNGOやNPOで活動する人が日々の活動の中で抱く、何かが足りない、もっとこうできたらいいという思いに応えることができる内容になりました。ディスカッション、プレゼンテーション、ロールプレイなどを効果的に活用した授業なので、「自分の頭で考え、予測を立て、行動し、評価検討する」という思考行動スタイルを主体的な学びの中からしっかり身につけることができます。
 今回の大きな変更点はカリキュラムの内容と講座の時間帯です。これまでのカリキュラムに「実務スキル・マネジメント」に関するものを加えて、大きく3つの分野に再編成しました。

対人スキルアップ
 「対人援助」のスキルと優れた「人間観」を磨き、あらゆる対人援助の現場で必要とされている能力を育てます。YWCAならではの「聴く」姿勢を、自分自身を教材にして学んでいきます。

講座例
 ☆人間関係トレーニング
 ☆コミュニケーション・グループワーク
 ☆カウンセリング

実務能力スキルアップ
 国際協力・社会福祉・教育活動・・・あらゆる「組織」において「運営していく力」は必須です。これまでの歴史あるNGO組織としての経験、そして秘書教育を実践していたYWCAの教育事業ならではの「マネジメント」スキルを提供していきます。

講座例
 ☆パソコン実務
 ☆会計
 ☆広報
 ☆簿記
 ☆資金調達

社会活動センスアップ
 NGO/NPOで活動する、働く、ということは社会(問題)に対して反応するセンスが必要です。社会と向き合い、社会サービスの分野で事業を展開していくための視点やセンスを磨きます。

講座例
 ☆宗教学
 ☆ジェンダー論
 ☆国際人権
 ☆開発
 ☆貧困・暴力・難民 ※これらのカリキュラム(講座)はすべて、平日の夜(週2回)と土・日(月3日〜5日)に開講します。

エクステンション
 大阪YWCAでは、留学生や中国帰国者、ハンディキャップをもった方達への支援交流、高齢者のヘルプ、子どもに関する活動などを多様に行っています。カリキュラム編成に伴ない、それらの活動・教育事業を活かして、実践的に活動できる場を提供します。また、YWCA主催の講座やセミナーを関心に応じて受講できます。ぜひとも積極的にチャレンジしてください!


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受講生の声

国際関係開発学科(DEGRA)03年度学生の感想です。

 DEGRAのある一日

10:00 エンパワーメントカフェ メンバーによる「世界がもし100人の村だったら」朗読

10:30 国際人権 今日の講師は具さん。在日外国人問題。マイノリティとは。

12:00 お昼だー。 今日はランチサービスの日!ハンバーグおいしい!!

13:00 比較宗教学 「ブッダとはだれか」笠原先生の素敵な声にもっちと私はおねむモード。

14:45 O.A 今日はHPの作り方。タグを覚えました。

16:15 疲れたけど、バイトへGO!


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大阪版広告主 募集中!!


大阪YWCAの広報誌‘大阪版’では、発行を支えてくださる広告主になってくださる方を募集しています。
連絡先:大阪YWCA
     〒530-0026 大阪市北区神山町11-12
      TEL:06-6361-0838  FAX:06-6361-2997
      担当:中山


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