大阪YWCA会報(大阪版)

2003年8・9月合併号(抜粋)


<目 次>

[一面]
キッズゲルニカ
 地球全体が子どもたちのキャンバス
 金田卓也

[二面][三面]
◇世界YWCA総会 わたしたちの“世界総会”体験記
 貴重なおしゃべりの時間
 ネットワークを密に
 刺激が目標に

◇男の目
 ふっと気づいた

◇YWの窓
 アブラさんのお話

[四面]
◇専門学校あれこれ
 韓国語クラス ハングルを学ぶ楽しみ

◇マミーズカレッジ 親子で遊ぶリズム遊び


その他



地球全体が子どもたちのキャンバス
キッズゲルニカ


国際平和壁画プロジェクト
 パブロ・ピカソが残虐な爆撃に対して巨大な作品「ゲルニカ」を発表してから65年の歳月が経った現在も、未だに世界は暴力と悲しみにあふれている。キッズゲルニカは、世界各地の子どもたちの手によって、ピカソのゲルニカと同じサイズ (3.5 m× 7.8m) の巨大なキャンバスに「平和」をテーマにした絵を描くという国際子ども平和プロジェクトである。'95年に始まって以来これまでに制作された作品数は28ヶ国65点超え、どの作品にも参加した子どもたちの平和への強い願いが込められている。

みんなで作り上げる 共同制作
 「平和」の絵を描いたからといって、すぐに世界の紛争が収まるわけではないが、子どもも大人も、このプロジェクトに関わることよって、平和の意味を深く考え、協力し合ってひとつの作品を完成させるというプロセスそのものが大きな意味を持つと考えている。キッズゲルニカにおいて描かれる平和の絵というものは個人的な作品ではなく、お互い力を合わせて制作する共同作業から生まれる。イスラエルとパレスチナの子どもたちの共同作業による平和壁画も制作されたが、キッズゲルニカは平和な世界へ向けてみんなで協力し合うことのシンボルでもある。
 またキッズゲルニカは夢を見ることでもある。このプロジェクトが始まったとき、いったい誰がこんな短期間に世界各国でこれだけ多くの作品が生まれると想像しただろうか。そして、その作品が美しいヒマラヤやアルプスの国で展示されるとは誰も想像できなかったに違いない。平和への夢を共有するところにキッズゲルニカの大きな意義がある。平和な世界をイメージする力、つまり夢見る力なしには、平和な世界を築くことはできないように思われる。

平和の世界同時多発イベント
 '00年にはヒマラヤの国ネパールで、'02年にはイタリアのアルプスで大きな展覧会が開かれ、今年もフランスとオーストリアで展覧会が開催中である。緊迫した国際情勢の続く中、子どもたちの心の中に平和の種をまき、子どもたちの純粋な平和への願いを大人もいっしょに共有できるよう、この8月には東京、山形、そしてインド、米国のそれぞれの地方都市でもキッズゲルニカの展示が予定され、平和の世界同時多発イベントをめざしている。

金田卓也(かねだ たくや キッズゲルニカ国際委員会代表・大妻女子大学助教授・絵本作家)
http://www.kids-guernica.org/ja-index.html


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世界YWCA総会
わたしの“世界総会”体験記

100ヶ国の会員が一堂に
 7月4日から7月10日、オーストラリアのブリスベンで、世界YWCA総会が開かれ、世界約100カ国から1000人以上の人々が集い、総会と平行して様々な会議や研修が行われました。大阪Yからは3名が参加。事前の学習が足りなかった、英語力をもっと…など反省も多々ある中、学びとってきたものも多いことでしょう。一段と成長した3人の体験談を総会の裏話もまじえてお届けします。


貴重なおしゃべりの時間
 会議会議の日々の中で大きな変化がありました。それはずーっと会議場の中で過ごした私たちの昼食のことです。パンとサラダとおかずがそれぞれプラスチックの箱に入って、プラスチックのナイフ・フォーク・スプーンも入っています。もちろんメインのおかずは2種類以上(お肉と野菜やチキンとツナ、など)用意されていました。
 ですが、(お昼に限らず)オーストラリアの食事はサイズが大きく、いつも食べきれない量がでてきて「ごめんなさい」をしてしまいます。ランチボックスもみんなの食べ残しを入れたまま、ゴミ箱はすぐにいっぱいになっていました。それが会期中後半、ランチはボックスに入らず、お皿にのせてあり、スプーンやフォークも戻して使えるものに変わりました。きっと誰かが(みんなが)「もったいない」と言ったのでしょう。
 そして缶詰状態の会議参加中はいつものことながら「ブロイラー状態」になってしまいます。午前中と午後の休憩の時間にはコーヒー・紅茶とケーキやクッキーが用意され、だめだと思いながらも(疲れているので?)ついつい手が出てしまうのです。ですが、同時に休憩時間やランチタイムは実は一番重要な「おしゃべり」の時間でした。英語が母語でないからかもしれませんが、韓国・インド・ネパール・マレーシア・ビルマといった国々からの参加者とチャット(おしゃべり)で盛り上がって今後のネットワーキングに繋がるかなーと期待して帰ってきました。
(職員)


ネットワークを密に
 全体で撮った集合写真は圧巻。1000人規模の集合写真を撮るのはただでさえ大変なのに、そこに集った人は様々な文化・習慣・考え方を持った人々。「ここから上は写らない」と言われていてもそんなことは無視して勝手に列を作ってしまう人、「全員が入らないから詰めて並んで」と言われてもドーンと居座って絶対に詰めようとしない人、そうかと思えば自分が写らなくなりそうなくらい周囲の人に場所を譲ってる人、歌ってる人、笑ってる人、本当に色んな人がいた。もちろんカメラマンが全員をフレームの中に入れようと悪戦苦闘している最中も遅刻した人がやってくる。遅れてきているという意識はなさそうで悠長に歩いてくる。実は遅れてきた人のほうが前の方の席が割り当てられるので、完成した写真にはいい感じに写ることができるのだ。不思議なのは、カメラマン以外に前に立って写真を撮ってる人が1人しかいなかったこと。こんな写真を撮るチャンスは滅多にないのだからもう少しそういう人がいてもいいと思ったが、そこはYの女性「私は写るわよ!」って感じなのだろうか。
 地域のYで活動しているとなかなか世界とのつながりを感じることができない。YWCAが世界中にあって色々な人が関わっているのだと実感した世界総会だった。「もっとネットワークを密にしよう!」という意見がよく聞かれた。世界のあちこちに仲間がいるのだ。このつながりを大切にし、もっと強めていきたい。
(会員)


刺激が目標に
 ギリギリギリ・・・昔からプレッシャーがかかると歯軋りするのが癖。大学受験前、就職したての頃、朝起きるとあごが疲れている事が度々あった。その持病が出発2週間前から復活。原因は仕事が終わる目処がたたない事か、中学時代から大の苦手の英語を使いこなさなくてはいけない事か・・・。とにかく不安一杯の旅立ちだった。
 その不安は初日の夜、オープニングセレモニーで吹っ飛んだ。時間ぎりぎりに行った私の目に入ってきたのは、階段の下で、今か今かと開始を待つ、パワフルな顔と色とりどりの民族衣装。世界中の女性たちとの刺激的な瞬間に、何よりも参加できる喜びを強く感じた。
 その後はすべて楽しかった。会議は主に英語で進められ、スペイン語とフランス語の通訳付き。日本語訳はないので、よく迷子になったが、概略だけでもつかもうと必死だった。
 英語ができないもどかしさを一番感じたのは、グローバルカフェ。会議の参加者が議論できるように設けられた場で、結婚式場の様な円卓を囲んで、話し合うプログラムだ。机の上にあるメニューには「今日の議題の中で一番関心があったもの」などとテーマが書かれている。大会議場では聞くだけなので、ここで話して鬱憤を解消したいところだが、そうはいかない。隣でオーストラリアの若い女の子が生き生きと話すのをため息混じりに眺め、自分の番になるとしどろもどろで、いいたい事はほとんど言えなかった。機会が設けられているのに話せないのは、予想外のストレスだった。
 また参加する機会があったら、流暢な英語で、意見や日本のYWCAの事を話したい。新たな目標とすばらしい機会を与えてくれたYWCAに心から感謝。
(会員)


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YWの窓

アブラさんのお話
 今回、私は初めてパレスチナ人の方からお話が聞けるということで、いつになく心待ちにしながら会場で待っていました。アブラさんは、とてもあの緊迫している所から来られたとは思えないほど落ち着いた物腰の方というのが私の印象でした。
 アブラさんは分かりやすく和やかに話され、お話の最中は終始、穏やかな雰囲気でした。しかし、お話の内容やスライドの中でのパレスチナの日常生活は、そんな状態とは裏腹に非常に耐え難いものでした。世界はどうしてここまで彼らを放ってきたのかと憤りを感じさせます。
 そうであると同時にアブラさんのお話やスライドの中で、私がいつもパレスチナの話や写真を見てきたものに共通点があることに気づかされました。
 それは、パレスチナの人々があの不条理な状況の中で、必死で生き抜こうとする姿と子供たちの笑顔です。彼らが希望を持ち、ひたむきに、そして力強く生きている様子が伝わってきます。それらを見ていると、「このパレスチナの現状をなんとかしなくては」、そんな気持ちを強く揺すぶられ、考えさせられます。その気持ちを心に留め、今後それを何かの形に変えていきたいと思います。
(会員)


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