「平和ことはじめ」が企画されるまで
9・11後、YWCA有志による「サイレントアピール」が始まり、若い会員が平和に取り組む新しい小さな流れが現れた。自分の言葉とスタイルで平和を訴えたいという考えから、漠然とした疑問や不安を抱いているフツーの人たちと話をする場を作りたい、という思いが生まれた。こうして、「平和運動まったくの初心者さん」を対象としたプログラムを作ることになった。企画者として集まったリーダーも皆、若者を対象にした平和のプログラムを作るのは初めてのことだった。
大阪城フィールドワーク
大阪は、敗戦間際に十数回の空襲を受け、数ヶ月で約1万5千人の死者が出た。一方で現在の大阪城は、かつてアジア最大の軍需工場があった場所で、朝鮮から強制連行されてきた人たちもそこで働かされていたという歴史がある。
私たちは砲兵工廠科学分析場跡や、反戦の川柳を読んで当局に抵抗し、獄死した鶴彬が収監された陸軍刑務所跡などを、大阪城戦跡マップを片手に歩いて回った。参加者の一人で、高校で平和教育に取り組んでいた校長先生から、工場の建築様式にいたるまで詳しく解説してもらえるという嬉しいおまけもついた。
かつては風格のある建物だったであろう煉瓦造りの化学分析場を見て、ほんの60年程前の日本に軍需産業が栄えていたことを思った。
有事法制ワークショップ
2日目は、クイズで学ぶ“有事法制にチャレンジ”。クイズは三択問題。「有事法制はいつごろから考えられていたか」「自衛隊が作戦を行うのに妨げになる建物を壊すのに、どのような手続きが必要か」などの問題を3人一組のグループで話し合い、答えをA・B・Cの選択肢から選んで得点を競った。優勝チームには有事関連3法案の全文がプレゼントされた。
戦争体験を聴く
大阪Yリーディングボランティア養成講座の講師でもある道井恵美子さんをゲストにお迎えした。道井さんが羽織っているコートを脱ぐと、三編み頭に必勝はちまきをしめたもんぺ姿の軍国少女に早変わり。戦時中、若い男の人は20代で死ぬものとされていたこと、特攻に出る若い兵士を送り出した悲しい思い出など、戦争の悲惨さについて伺った。加えて、戦時中でも強い心をもって小さな抵抗を続けた人がいたことや、もんぺが国民服になってからもなんとかおしゃれ心を働かせていたこと、戦後の混乱の中、たくましく生活を切り盛りしたのは女性だったことなど、元気をもらえる話もしていただいた。
「国の言うことが180度変わることを私たちは体験している。何でも疑ってみること。疑って、信じて、また疑ってみる。最後に信じられるものを見つけること」との言葉が胸に響いた。
ふりかえり
参加者からは「ニュースを受身で聞くだけでなく、自分達で考え、話し合えてよかった」「参加が大切。これからは選挙に行きます」「人に流されず、自信を持って自分の意見を言いたい」などの感想が出た。企画リーダーもそれぞれに成長した。平和について関わる場が欲しいと思っている若者がいることや、世代・時代をつなげて平和を創っていくことの大切さなどを実感できた。平和への思いを絶やさず、来年度も企画に取り組みたい。
(職員)
ふりかえりの川柳から
・戦の地 君がいること思ってみる
・ささやきが 満ちて大きな声となる
・もうだめよ あなたの正義についていけない
・ジョージくん 情事なくても常時変